52.狩りへ
掲示板の張り紙を2枚とも剥がして、場所を確認。
オオカミに困っているのは領都から国境方面に向かって徒歩半日ほどのO村。
イノシシに困っているのは首都方向に向かって徒歩1日ほどのI町。
まあ、いきなり肉食動物と対峙するのは怖いので、まずはイノシシからか。
以前なら拠点を経由して楽に向かうところだが、欲しいのはこの世界の人とのふれあい。
歩いてこう。
まあ、途中野宿は嫌なので拠点で寝泊まりしようと思うが。
門をくぐると、畑を塗って街道が続く。
トンネルから続く道路は今も延伸工事が続いており、この領都から首都へと続く道も石畳が敷かれ中央部には馬車用の軌道が敷かれている。
実はトンネルを出たところで馬車の規格が変わっており、トンネル用のものの倍の幅となっている。
これによって輸送効率はぐんと上がっている。
もちろん旅客用の馬車もあるが、定時運行はされておらず、人数が集まるか、一台分の料金を払えば都度運行されるようだ。
王国の治安は、トンネル開通前からかなり良い。
開通後は更に食料状況や景気も良くなり、街道での盗賊騒ぎなど聞いたこともない。
法と監視体制の整備が大きいのだろう。
法があっても検挙されないのならば犯罪を行う「楽」を選ぶ者は後を絶たないだろう。
しっかりとした捜査と検挙と法に則った罰。
う~ん。王制国家でこれだけの体制はすごいな。
平穏な、ある意味退屈な道中。
色々と考えながら歩いているうち、前方に馬車が止まっているのが見えた。
貨物用の軌道馬車だ。
馬は馬車から距離を置いて木に結ばれている。
馬車は前の車輪が脱落しており、前のめりに傾いている。
御者と人夫が道脇の草地に荷物を下ろしている。
人も馬も怪我はないようだ。
「大丈夫ですか?」
「おや、サキさんじゃありませんか。こんなところで、お久しぶりです。」
「どうも」
「よろしければ、お手伝いしましょうか?」
「助かります。なあジャン。」
「ああ、エリック」
「ひとまず荷物を全部あっちに移して。それから馬車を道からよけてしまわないと、後から来る馬車の邪魔になっちまいますんでさあ」
「なるほど、では一緒に運び出しましょう」
「ありがとうございます」
変に思われるのも嫌なので、彼ら同様に一箱ずつ運ぶ。
しばらくして運び終えると、エリックは脱輪した側を下から支えた。
「サキさんとジャンは、後ろから押して下せえ」
「せーの!」
押すと前輪が軌道から外れ脇に向かう。
空馬車はそのまま草地へと。
「さて、壊れた車軸を直さなきゃどうにもなんねえな」
「荷台の裏に換えの車軸があっただろう?」
「そうだそうだ。ほんとに領主さんは偉いねえ。こんなことも先回りして考えてくれちゃって」




