47.土魔法見学
「ではこれから砂の搬出を行います」
国家元首会議の後、各国山脈の麓に砂で塞がれた穴が発見された。
大陸内流通網計画の調査として、各国が派遣した全ての調査隊から報告が上がったのだ。
その方位などから山脈を貫く洞窟ではないかと推測されたが、そんな都合の良いことが起こる訳がないと否定派が多数を占めた。
山脈を越える街道敷設前の技術確認などのデモンストレーションとして行われることとなったのだ。
さて初めて目にする魔法に興奮しつつ、術者の仕草を見つめていた。
一般的に土魔法は、地面に穴を開ける、壁を作る、耕す、固める等の結果を生むらしいが、農業や土木現場ではかなり重宝されているらしい。
さて、このたびは砂の撤去。
もし山脈を貫くほどの砂、人類が経験したことのない量となる。
各国がバラバラバラに行うよりも、つながっていると思われる両端から砂を排出してみることとなった。
今回の術者の役割分担は以下の通り
①砂を規格サイズのブロックに固める魔法で排出する。
②排出されたブロックを街道に並べる。
③並べられたブロックに強化魔法をかけ、石田畳として強化する。
この①と③の工程を魔法で行うとのこと。
さすがに②は人力、馬力で行う。
間口直径メートルほどの穴が直線距離で20キロを越えて存在するとなると、排出される砂を使わなければ損である。
「ストーンウォール」
術者が言うと、地面には縦横60センチメートル厚さ10センチほどの小さな石壁が現れた。
出来た小さな石板を人足が運び、待ち構えていた技術者の指示に従い並べていく。
そこはすでに中央部分を少し盛り上げられたかまぼこ型に整地された地面。
50名を超えるの術者が次々と石板を生み出し、人足がせっせと運んでいく。
ものの5分もすると、砂が減っているのが分かった。
術者が言うには、目の前の砂を素材にイメージするとその砂が使われるような気がするらしい。
更に、何もない地面に壁を作るよりずっと楽に板を作ることが出来るらしい。
ものの1時間で砂壁は10メートルほど掘り進められ、すでに石畳は幅6メートル長さ200メートルを超えている。
術者は洞穴の中に進み、人足は似場所に積み込む者、運ぶ者、並べる者と役割を分担し次々と道を延ばしていく。
数名の技術者は穴の壁面を確認し、その強度を確かめているようだ。
砂の覗かれた穴は何かで切り取られたようになめらかだそうだ。
照れるなぁ。
半日掛けて50メートルほどを掘り進んだところで山脈の向こう側の様子と合わせて、道路計画の再検討が飛鳥ではないかとなり、これまでの調査結果が元首会議に諮れることとなった。
また、現場は会議までもそのまま作業を続け逐次報告を上げることとなった。
両側合わせて単純計算で1日で100メートル掘り進められるのであれば、一月掛からず開通してしまうのだ。
しかも補強工事が必要ないと来ている。
都合が良すぎると言っていた者たちも、楽で安く作業できるのならそれに越したことはないと、手のひらを返している。
このまま一気呵成に掘り進めていただきたいものだ。




