29.法王
ドアを閉め部屋を後にする。
教義はある程度はまともなことだ。
神を信じ、神を頼らない。
おごらず慎ましく生活を律する。
生まれた境遇を受け入れよい行いを心がける。
欲を捨て、満足を得る
善行を尽くし、悪行を憎む。
善人を求め、悪人を赦す。
まあ、よくある教義と言って差し支えない。
ただ「金」に話を絡めてからはそれまでの教義に感じていた厳かさは影を潜めた。
「初めは何にも影響されない『金』は神の象徴でした」
から、貨幣の歴史談義となり、借りたお金を返すときのお礼が利息となり、貸借における市場の拡大から銀行業の始まりに至る話となり、ある意味実業家もかくやという熱の入りようだった。
更に興味深かったのは算術の進歩。
まあ、これは今回は関係ないか。
聖王国は特段経済的な優位獲得を目指した戦争を企図しているわけでもなさそうだ。
借り入れ契約上の担保を受け取っているだけという感じだ。
彼らが言うにはその担保すら、返済期間の延長を教会側から助言し、手放すことのないように配慮を重ねた上で、どうしようもなく受け入れているとのこと。
更にその土地をあるべき国家に市場価格相当での買い取りを打診し、他国関係者からの買い取り希望については一切受け付けてないという。
こちらもかなり誠意を尽くしていると言える。
ここ数年の天候不良による収穫量減少がそもそもの問題かな。
あと、こいつら直接話した方が早いんじゃないか?




