表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/58

26.領主

領主屋敷の門衛に領主に取り次ぎを頼んだ。

「すぐに確認します」と、とんでいった。

しばらくして、若い執事がやってきて屋敷内の待合室に通された。


貴族用だろうか、上品な彫刻や装飾の施された調度品。

メイドが運んできた紅茶のカップなどにも美しい絵柄が施されている。


かなり上客として遇されている。

すごいな「顔パス」

一体どれほどの立場と見なされているのか心配になる。


まあいいや。


ノックとともに執事が「準備が出来ました」と、呼びに来た。


美しく磨かれた木の廊下に絨毯が敷かれ足音がしない。

中庭の手前、右側の部屋に通された。

「こちらでお待ちください」

部屋中央のソファを勧められ腰を掛ける。


先ほどの部屋と同じくかなり上品にまとめられている。


すぐにノックがあり、執事に続いて背の高い精悍な男が入ってきた。

長い髪を後ろで束ね、シャツにパンツと簡素ながら質の高いものを身につけている。

「お久しぶりです、サキさん。今回はどういったご用で?」

「ご無沙汰しております。いえ、先日辺境の村で年貢の納め方が変わったと聞きまして」

「ああ、その件ですか。少し外してくれないか」

言うと給仕をしていたメイドたちが退出し、執事だけが残った。


「実は、王国と教会との関係が良くないのです。

ご存じの通り、教会はその寄進を元に貸し付けなどの業務を行っております。

少なくは町中の店や大きくは貴族にまで。

その利息取り立てによって、領地の耕作地を差し押さえられた貴族もあると聞いております。」

「土地をですか?」

「そうです。」

「それは問題では?」

「そう、土地は王からその功績によって統治を許されたもの。それを借金の差し押さえに徴収されたとあっては統治がままなりません」

「ほう。で、それと今回の年貢のあり方とが関係あると?」

「はい。我が王国もですが貨幣を保障しているのは金なんです」

「金本位制という奴ですね」

「そういう言葉があるのですね。これからそう表現しましょう。

そう、その金本位制ですと、莫大な蓄財をしている教会に対抗できる経済活動が出来ません。

そこで、王国から紙幣という為替や借用書に似た新たな金銭を発行してはどうかとなったのです。

ただ、未だ周辺では物々交換が多く硬貨ですらあまり流通していません。

そこに紙幣をとつぜん導入されても全く理解でき菜だろうと言うことになりまして。」

「紙幣に慣れる前段階として、年貢徴収手続きに簡単な為替を導入していこうとなったのですね」

「そうです」


これは「先物取引」ではなく「信用経済」の発芽だ。

その裏に国家と宗教の競合?体制保持の権益に保有資産量が関わっている。

ひょっとすると、貨幣の金銀含有量による国際的な相場も関係しているかもしれない。

さらには宗教を介在させた経済・武力戦争も展開的にあり得るのかもな。


「国家間で不穏な動きなどは?」

「さすがですな。

ご存じの通り我が国は大陸の南西に位置しており、三方を大小合わせ5カ国に囲まれております。

幸いにも大陸を分断する大きな山脈が縦横に走り、武力衝突などはこの300年間起こっておりません。

この平和な300年間に経済、文化的交流も増え豊かにはなりましたが、思想や宗教も同じく影響を与えております。危険なものは王国がその芽を摘んでおりますが、一定健全なものは活動を取りやめさせられることはありません。」

「その期間中に、経済的な力を蓄えたと」

「法王国は中央山脈の山岳地帯を首都とする小さな国家です。

しかし、周辺各国に教会を建て、信者も多く、土地を持たずとも膨大な寄進を集め、今や経済直では大陸でも3本の指に入る力を有しております。

各国も信者と言うだけで排除することも出来ず、といっても法王国の方針次第で自国内に武力放棄する芽を認めざるを得ないということで、大変難しい状態です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ