24.奇跡
「なんだよこりゃ」
「木が丸裸だぞ、それに地面に抉れた穴が二つ・・・足跡?爪痕?」
「空から何か落ちてきたのか」
「何も落ちていない。それにそれが足跡ならきちんと着地したんじゃないのか?」
「じゃあ、そいつはどこいったんだ?」
言うなり騎士たちは乗馬したまま互い違いになり、全周囲を警戒する。
盾を外側にしてゆっくり時計回りに馬を歩かせる。
「何か見えるか」
「何も」
「あれが足跡である場合、大きさは我々人間程度だ」
「ああ」
「爪痕の場合、鳥だとすると馬の数倍の大きさとなる」
「そんな大きなものを見逃すはずはない」
「そうだ。恐らく人間程度の大きさだ」
「見えるか?」
「いや」
騎士たちはその場を数周回ると、領都に向けて駆けて行った。
氣志團とかがやってきて見つけられたら面倒だ。
ここは一度拠点に戻ってやり過ごそう。
拠点で一晩過ごし早朝に街道に戻った。
違うところに出たらどうしようかと思ったが、金髪のオーダーをクリアしていないからか、昨日の雑木林の中だった。
道も木々もすっかり元通り。
よし、博愛の効果は万物対象だ。さすが博愛。
あたりを確認してると、領都から騎馬の一団がやってくる。
知らんぷりを決め込んでさっさと領都に入ろう。
騎馬の一団は通過すると想いきや、目の前で全員が停止した。
「ちょっと君…あれ?サキさんじゃないですか。ご無沙汰しています。」
「ああ、どうも。おはようございます。みなさん大勢で何かあったんですか?」
「いやこの先の街道の木が丸裸になっていたでしょう?」
「いえ?気づきませんでしたが」
「そうですか、我々は少しこの先の調査に向かうところでして」
「それはご苦労様です」
「では失礼。行くぞついて来い」
ドガガガと、騎馬団が行ってしまったので領都に向かう。
耳を傾けていると、雑木林あたりから「奇跡だ」などと聞こえてきた。




