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21.村長

「おお、サキさんご無沙汰しておりますな。本日はどのような御用で?」

「ご無沙汰しております村長。いえ、近くまで来たものですから皆様のお顔を伺いに」

「それはそれは、いつもお気遣いいただきありがとうございます。テグ、私はサキさんと話があるから、お前は畑の方を頼んだぞ。」

「へえ、わかりやした。ではサキさん、これであっしは失礼しやす」

「テグさん、わざわざご案内いただきありがとうございました」

「いえいえこれくらい。では」


畑から村長の家に来る間も村人から親しく声をかけられた。

予想していた通り、柵の中には畑と家畜小屋があり、共同のトイレもあった。

家の土台と思っていたものは土台を兼ねた水路で、上水として使われているようだ。

上流から飲み水用、洗い物用、そして最下流のトイレときちんと分離されている。

中世ヨーロッパよりも衛生的では?


村長の家につくと2段ほどの階段を上がり、まずテグが入って行った。

事情を説明しているのだろう、しばらくしてから招き入れられた。


扉を入るとすぐに木床の居間となっており、6人ほどが囲めるテーブルと椅子。

正面には暖炉兼かまどがあり、そこで煮炊きするのだろう。

玄関の泥払いの(笑)時期に足をこすりつけ汚れを落としてお邪魔した。

村長はテーブル奥から歩み寄り笑顔であいさつを交わしてくれた。


「さて、早速ですがテグから聞いておられますかな?」

「ええ、とは言っても困っているとしか」

「そうでしょう、あいつは大雑把ですからな」

「いえいえ、おおらかな方ですから。少し詳しくうかがっても?」

「もちろんです。実は10日ほど前に領主様の使いの方がいらっしゃいまして、今年の年貢の取り立て方を変更すると仰ったのですよ。」

「どのように?」

「今までは作物そのものを納めておりましたが、今年からは銀貨で支払えと仰るのですよ」

「ほう」

「しかし、こんな辺境では商人もめったと来ませんし、近隣の村々とも物々交換が当たり前なもので、我々の作物がどれほどの銀貨と交換できるかわからないのですよ」

「その他に何か?」

「はい。そう伝えましたところ、昨年と同量の小麦を50万円で購入するので、年貢はその50万円を納めればいいと仰ったのです。すぐにお返事はできませんでしたので、一月後の収穫量を見てお返事をすると言っているのですが」


・・・先物相場っぽい?

それにしては期間が短いような。

いやもう少し詳しく聞いてみよう


「最近収穫量はいかがですか?」

「ここらでは安定しております。大体15haの畑で小麦4.5tの収穫です。種籾に1.5tを残して、3tは年貢となっております。北方では冷害などがあり今年も不作ではないかと噂されております」

「なるほど。即答を避けられたのはさすがです」

「いえいえ、分からなかったもので。今でもよくわかりませんが」

「使いの方が来られるのは20日後でしたか?」

「ええ、そうです。」

「ではその前日に戻ってまいりますので、それまでに催促の使いの方が来られても回答は避けていただけますでしょうか」

「分かりました。まあ、領都からは馬車で半日ですが、各村を回っているでしょうし。そんなに頻繁に来られることもありますまい。いや、こんな時にサキさんに来ていただけるとは神様の思し召しでしょうか」

「どうでしょうか。それと一つお願いをしてもよろしいでしょうか?」

「できる事であれば」

「各村の村長さんに前日にここに集まっていただきたいのです」

「それくらいでしたら。各村の村長も困っているでしょうし」

「お願いいたします。では、私は一度失礼して少し調べてまいります」

「どうぞよろしくお願いいたします。領都に向かわれるのでしたら、裏門ではなく正面の門をお使いください。」


村長の家を辞し、来た門と反対側の門から村を出た。

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