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19.集落

携行物の見直しをするかどうか悩んだが、何が起こるか分からないので、捉えずそのまま持って行くことにした。


ドアノブはズボンのポケットに入れている。

少しもっこりするが仕方が無い。


さて、道は前に続いている。

これは「見える先に行け」と言うことなのだろう。


気持ちを切り替え出発だ。


気温は20℃くらい、時刻は日の高さから見て7時ごろか?

道の脇の木々に若葉が見える。

散った花びらも見られる。

晩春もしくは初夏といった頃。

道脇の森からは小鳥の鳴き声が聞こえる。

遠く川のせせらぎが聞こえ、丘の向こうの山々も青く萌えている。

いい天気だ。


丘の頂上から振り返ると、道は森の間を縫うようにつながっており、右に曲がって見えなくなっている。

どこかにつながっているのだろうが、森の先に建造物は見当たらない。

割と整備された道だったことから、軍事、経済を担う主要な街道の一つなのだろう。

また機会があれば、あちらにも行ってみたい。


中世程度の世界と言っていた。

統治方法なのか、技術水準なのか。

道は整備されているとはいえ、凸凹もあり両脇は雑草が生え放題。

水はけも悪そうだ。

道を開いてはいるものの、道路敷設の技術は低そうだ。

まあ、都市部に行ってみない事にはこの世界全体の技術水準は図れないが。


さて、行先を見てみる。

広がる畑、その向こうに堀と木の柵に囲まれた集落が見えた。

堀と柵で囲っているということは何か外敵があるのだろう。

動物もしくは敵性勢力。

集落を越えた先には川があり、そこからいったん柵外の堀を経由し集落内と耕作地それぞれに水を引き込んでいるようだ。

聞こえていたのはあの川の音だろう。

水路への分岐部分には堰があり、水量を調節しているようだ。

ただ、堰は上下の開閉式で複数の滑車を使って操作するようだ。

まだ、ねじはないのかもしれない。

上流には直径3メートルほどの水車が1つあり、その横に小屋が経っている。

小屋からは集落内に向けて水路がめぐらされているようだ。

集落から川に戻る水路の水が少し濁っていることから下水をそのまま流しているようだ。

集落内の衛生環境は比較的良さそうだ。


柵の高さはおよそ3m。1mごとに柱が立てられており、高さ50cmごとに横桟が張られている。

柵の下には逆茂木が置かれている。

柵の見た目からかなり長期間設置されているようで、最近作られたものではない。

俺が転移したせいではないようでほっとした。


道の正面に内開きの門が構えられており、門番はいない。

門の正面の堀には橋が渡されている。

柵の内側の建物は3つの見張り台が5mほどである以外はすべて柵と同程度。

高さ50cmほどの石積みの土台の上に木造の構築物が乗っている。

屋根は切妻型で、20軒ほど、煙突が見える。

調理してる。

畑や家畜小屋があることから予想していたが、調理しているようだ。

あの実は何なのだ?

まあ、今は置いておこう。


広さに対して建物が少ない事から、柵の中には畑と家畜小屋でもあるのだろう。

水路の下流側から少しにおいがする。

家畜小屋とひょっとすると共同トイレか?


防衛的には火に弱そうだ。

とすると、あの集落を襲う「なにがしか」は火を使わないのだろう。


畑には黄金色の小麦のような穀物が育っている。

もう一月もすれば収穫だろうか。

その間には水路が巡っており、ゆるくカーブを描いて川に戻っている。

いくつか畑の間にも堰が見える。

水路整備が細やかなことから、測量及び土木技術の高さがうかがえる。

金髪のやつは食文化の設定を変えたと言っていたが農作物の種類まで変わったのか?

ん?農作業をしている第一村人を発見。

隣の畑にも一人。

見れば10数人が畑仕事をしている。

様子を見ても困惑していることもなく、手慣れた様子で雑草を刈り取っている。


手には鎌を持ち、服装は麻のような植物性のシャツにズボン。

それに麦わら帽子のようなものをかぶり、腰帯に手ぬぐいをはさんでいる。

靴は革製で足に合わせた袋状。

余り洗濯はしていなさそう。

まあ、俺の着ているものと同じようなものだ、俺は裸足だが。


金髪が「設定を変えた」と言っていたが大きな混乱はないようだ。


丘から確認するのはこれくらいでいいか。


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