ピヨ…語る
ジャッコとジャクコがジニー家に来て二日後…父親のジャックも弟夫婦に国を任せて娘たちと楽しむために長期休暇をとり
ジニー家に訪れた
「ジニー様、ダン様、娘たちがお世話になっております。今日からわたくし共々、よろしくお願いいたします」
「ようこそ! ジャックさん。堅苦しい挨拶は抜き抜き♪来年の8日まで楽しみましょう」
「こちらへどうぞ。長旅でお疲れでしょう」
「パパ~♪」
「パパ、待っていたわ♪」
「ジャッコにジャクコや…おお、おお、二人ともいい鳩娘になって…」
オレンジ色の美しい鳩娘になった娘たちをジャックは目を細め愛おしそうに見つめた
「いやいや、ジャック、君もだよ。鏡を見てごらん」
「え?ダン様、何を仰って…」
ダンに言われリビングの姿見に眼をやると見事なオレンジ色の尾羽の立派な男鳩が映っている
「まぁ、パパっったらイケメンポだわ」
「ほんと~くるるっ、私たちと同じオレンジ色ね」
「ジニー様…これはいったい…」
ジニーはクスリと微笑むとジャックに説明する
「この子たちもあなたもうちの家族の一員…。ここにいる間は面倒なことは忘れて鳩人間として楽しんで頂戴ね」
「なるほど…しかし、嬉しいですな♪こんなに愛らしい姿になれるとは…!」
「パパ、羽繕いしてあげる♪」
「ええ、ええ、わたくしも♪」
カツンカツンカツン…
愛しい娘たちに嘴で羽繕いされてメロメロなジャック
「お父さんも鳩になると可愛いね、キーモ」
「ほんとねミーモ、それに三人とも幸せそう」
この国は優しさと慈愛に溢れている
ダンとジニーが納める争いのない平和な国・ピジョンタウン
ジニー家から見える緑色のファーの丘には大きなモミのクリスマスツリーが色とりどりのオーナメントと華やかなイルミネーションに彩られキラキラと輝いていた
「美しいところですな…今日からここで暮らせるとは夢のようだ…」
「ようこそ、ジャック叔父様、マショマロ入りのショコラとケーキをどうぞ」
ともっぽ姫がピジョンの姫君自慢のフルーツタルトとホイップたっぷりのホットショコラをテーブルに置いてご挨拶
「これはこれはともっぽ姫、ありがとう」
「美しかろう? この国は…ここに来たての頃は荒れ地と岩ばかりで野花も枯れ果ててひどいものだった…」
暖炉の傍にいたピヨがジャックの隣に腰を下ろすとゆっくりと語りだした
「そうなのですか…この美しい国が…信じられませんな…」
「ずっとずっと昔…魔界で敵国に襲われたり戦や争いが絶えず…私たちの家族も襲われ姉妹は離れ離れになり…そんな日々に疲れたジニーとダンが
魔界を出て新天地に移住することになったんだ」
※
以下、ピヨの回想
「魔界を出ていくだと? 正気なのか、ジニー…」
「ええ、ぴよ…体の弱い私に魔界の空気はあわないわ…それにしょっちゅう争いが絶えず…今度こそ私は平和な土地で子供たちを産んであげたいの。
ハトモコもきぃも悲しい想いを何度もして離れ離れになって…他の娘たちも何人が今まで悲しい想いをしていることか…」
「昔、リンバロストで迷子になった小さかったジニーを助けてくれた三人の鳩様の大魔王が我々に移住の許可を出してくれてな…そこがピジョンタウンだ」
「ピジョンタウン…鳩の街か…確かにここよりは空気もよさそうだ」
「ええ、ピヨ…だからダンと私は明日、魔界を出ていくわ。ピジョンタウンの長老様もそのほうが私の病気が良くなるだろうって仰ってくださっているのよ」
「ならばこのピヨも一緒に行こう!」
「ピヨ、あなたは大魔王としてかなり地位が高いのよ…ピジョンタウンに来たらただの大きなヒヨコになってしまうわ」
「地位なぞいらん! このピヨ、愛するお前と離れるなど考えられん。私がお前を心配してないとでも思っているのか?
そこで少しでもお前が上部になるならば喜んで行こうじゃないか…いいや、たとえ拒絶されても着いていくぞ! よいな?コジニーにココジニーよ」
※コジニーにココジニーはジニーの親戚でピヨに仕える姉妹の女バトラーである
「あなた、来てくださるわね?」
「ああ、もちろんだピヨ…わたしの運命はおまえと共にある」
「そうか、嬉しいよピヨちゃんと黒い伯爵が来てくれれば心強い! な、ジニー?」
「ええ、嬉しいわ…ピヨ…」
「そしてピジョンタウンに着くと背の高い三人の鳩様と鳩の長老様が我々を暖かく出迎えてくださったんだ」
「ここが…ピジョンタウン…」
空気は魔界よりはマシだが…土はひび割れ草花は枯れ大きな魔鳥がギャーギャーとけたたましく泣きながら飛び回りかなり恐ろしいところだった
ジニーは怖い怖いと毎日泣いてばかりいてな、私と夫の黒い伯爵、バトラーのコジニーとココドニー、そしてダンとで少しずつ、乾いた土地を耕しゴチゴチの岩ばかりの丘を
ふわふわの芝生が生えるようにとファーの種をまき時間をかけて少しずつ少しずつ、ピジョンタウンは変わっていった
乾きき切った土は潤いやがて野花が咲き始めどんよりとした灰色の空はアクアマリンのように美しい青空となり羊のようにふわふわした雲が浮かんだ
そして緑や木々が増えて美しい森が出来る頃…ゴツゴツの岩だらけの丘にはファーの芝生がみっちりと生え今のファーの丘になったというわけさ
そうして争いのない平和の象徴としてファーの丘に桜の木とハロウィンとクリスマスには大きなツリーを植えたんだよ
「そうでしたか…ではジニー様、お体のほうはすっかり?」
「ええ、それは…ダンとピヨたちがピジョン山のコンティ草をとってきてくれたお陰で私は病気が治りすっかり元気になったのよ」
「コンティ…草?」
「山の頂上に生息している不老不死のハーブだ…険しい場所にあり採ったとたんに炎に飲まれる」
「なんと…」
「あの時は大変だったなぁ…私もダンも皆で火に包まれ火傷を負いながらやっとの想いで採り我が家の庭に植えたんだ」
「そういえば…トトもハトトコの為にたったひとりでピジョン山に登り火に飲まれて以来…火傷の渇きを癒すため、生涯アイスを求めてやまない氷バトとなったからな」
「ピヨちゃん…私は後悔してないよ…だってそれで姉さんが元気になったんだから」
「トト…」
「そう…でしたの…だからトトちゃんはいつもアイスを食べていたのね…」
「そうなのよ…こんな小さい身体で大火傷をおって…ハトコ姉さんの病院で火傷は治ったものの羽根の下にはあとが…この子は私の命だわ…」
「姉さん…」
「ジニーママ、ダンパパ、ピヨちゃん、トトちゃん…皆、本当に…大変だったんだね…」
「本当じゃ…そのような想いをされ築き上げたこの国だからこそ愛と母性に溢れておるのだな…」
ピジョンタウンの歴史を聞いたジャック、ジャッコ、ジャクコは号泣した
「あら、あら、どうしましょう…ピヨ、泣かせちゃダメじゃない」
「いいや、話しておいたほうがよかろう…いずれここの住人になるだろうから…」
え…
住人って…ジャッコちゃんたち、ピジョンタウンに永住するってこと? ねぇ、キーモ?
わからないけど…ピヨちゃん、そう言ったよね…
「ねえねえ、そんなに泣かないでケーキ召し上がってください♪ピジョンの姫君自慢のフルーツタルトなんですよ」
「そうよ、ランチはバイキング形式にしたわよ」
「きぃ、お腹空いたさん」
「そうね。きぃちゃん…ジャッコちゃん、ジャクコちゃん、ジャックおじさん、食べましょうよ」
「あ、ああ…そうですね…歳をとると涙もろくなって申し訳ない…グスッ…」
「きみは優しいんだな…ジャック、それから俺たちは家族だぜ、敬語は禁止だ(笑)」
「あ、ああ、わかったよダン。ジニー。」
「そうよジャック、家族が増えて嬉しいわ♪」
「12月にクリスマスタウンに行くけどここのクリスマスマーケットも楽しいのよ、くるる」
「まぁ、鳩姉さま、そうなんですの? ぜひぜひ行ってみたいわ♪」
「ジャッコもみたぁい♪ねぇパパも観たいでしょ?」
「ここのマーケットはとにかくフードが絶品だからな…雑貨はパラレルも出してるしな…」
「それはそれは♪またまた楽しみがひとつ増えたな」
「うふふっ、その前に腹ごしらえしましょうよ」
ジニー、ダン、ピヨ、黒い伯爵、可憐な鳩娘たちにピヨの子供たち、そしてミーモとキーモとルディ
誰もが朗らかに笑いながら食卓を囲んでジニー特性のランチを楽しんでいた




