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ハロウィンタウン4

ジャッコ姫の姉、ジャクコの嫁ぎ先…ノアール王国


お城から窓の外を眺めてジャクコはハロウィンタウンに想いを馳せる



みんなどうしているかしら…


今頃は観光客で賑わっているわね きっと


ジャッコ…可愛いジャッコ…


くるくると華麗なステップでお客様をお出迎えしているわね


会いたい…会いたいわ…


ここに嫁いでから一度しか帰ってない しかも…日帰りで あの人は泊まることさえ許さなかった



ふぅ…


ジャックコは深くため息をついて涙を零す


こんな…ことなら 結婚を承諾しなければよかった


結婚後も妹に会っていいという条件だったのにあの人はこちらに私がつといた途端に手のひらを翻して





「ねえ、あなた…来週妹に会いに行きたいのだけれど…泊ってきてもよろしいですか?」


ジャクコに惚れ込み毎日贈り物をし続け莫大なお金をハロウィンタウンに寄付したウェーブ侯爵は人間でいえば48歳の美丈夫だ


腰までのウェーブがかった銀髪と整った顔立ち…優雅な立ち居振る舞いにジャクコは恋に落ちてしまい100日通い続けプロポーズをする彼にイエスと答えてしまったのだ


「あなたのお気持ちにお応え致しますわ。その代わりわたくしの言うことを聞いてくださいますか?」


「おお…! ジャクコ姫、このわたしの花嫁になってくれるか! いいとも…なんでも言うがいい」


「わたくしには6つ下のジャッコという妹がおりますの。とても優しい家族思いの心配性の頑張り屋さんで小さいころから私を慕ってくれて、私もジャクコが

可愛くて私たちは何をするにもどこへ行くにも一緒でした」


「ふむ…姉妹が仲睦まじいのは良いことよ」


侯爵の反応にジャクコは安心して言葉をつづけた


「ありがとうございます、侯爵様…わたくしの願いはたったひとつ…嫁いでからも妹に会いに一週間に一度、ハロウィンタウンに帰らせていただきたいのです」



「一週間に一度…?」 侯爵の眉毛がピクリと動いた



「はい、あの子は離れるのは身を切り裂かれる想いなのです。けれどわたくしはあなた様を愛してしまいました…


あの子なしの日々などわたくしには考えられません…もしも…この条件を飲んでいただけないのであれば悲しいですがあなた様のもとに嫁ぐわけにはまいりません」



なんと…


妹の為に…わたしを拒むというのか…むむむ…


こんなにお前を愛しているというのに…


一週間に一度の里帰りだと? 冗談じゃないぞ


そんなことは断じて許せぬ…だが…今それを言えばジャクコは間違いなくわたしを拒むだろう


どうしたものか…


長年ウェーブ侯爵に仕えている部下のフランシスは密かに侯爵を愛していた


『僕の侯爵様が悩んでおいでだ…あんなカボチャ女のせいで…


侯爵様ならばあんなバケモノ風情にこだわらずともいくらでも嫁のきてがあるというのに…変わり者で女嫌い…


かといって男色の趣味もないストレート…


忌々しい小娘だがとりあえずは侯爵様の為にアドバイスしてさしあげねば…』


【侯爵様…聞こえますか? テレパスなのでジャクコ姫にはわたしの声は聞こえませんのでご安心を…】


ずる賢いフランシスはテレパスでウェーブ侯爵に話しかけてきた


【おお! 我が忠実なる友、フランシスよ! どうすればいいのだ…このままでは手に入れた小鳥が再び飛んで行ってしまう】


【お心を痛めなさいますな。その娘に偽りの約束をすれば良いのです】


【偽り…だと? 貴様、わたしに嘘をつけと言うのか?】


【侯爵様は姫を妻になさりたいのであれば…それしか方法はないかと…嘘も方便というではありませんか。


そわかった、お前の言う通りにしようと条件を飲む口約束をするのです】


【なんと! 純粋なジャクコを騙せと…】


【無理にとは申しません。わたしはただあなた様が苦しんでいられるのがつらいだけでございます故…出過ぎたことを申しました。


ならば姫のことはお忘れください】



【忘れる…だと? ダメだ…このわたしが生まれて初めて愛したひとなのだ…純粋で可憐で天使のような姫…お前を他の誰かに渡すくらいなら…


そうだ…もともとわたしは悪魔ではないか…何をためらうことがあろうか…】


【さようでございますとも侯爵様。なぁに…姫とて妹を恋しがるのは一時のこと…嫁いでしまえば侯爵様の深い愛情にたっぷりと溺れ国のことなど忘れるでしょう】



「ウェーブ侯爵? 聞いておいでなのですか? お返事を…」


ランソワとテレパスで会話している侯爵にしびれを切らしたジャクコが問いかけると侯爵は一瞬冷淡に口元を歪め笑顔で答えた


「愛しい我が姫よ…お前の条件をすべて聞き入れよう」


「まあ…よろしいのですか? では…では週末は国に帰り月曜日に戻らせてくださいませ」



週末に…泊りたいだと?? むむむ…どこまでシスコンなのだ…


【侯爵様、口約束ですよ…一時のね…】


フランソワの囁きに侯爵は頷きジャクコの条件を許すという約束にジャクコの父、ジャックもジャッコも泣く泣く嫁ぐことに承諾した




全部…嘘だった


嫁いだ途端に彼は本性を現して週末に帰るなどとんでもない


泊まるなど言語道断…お前は国も家族も捨てて我が妻となったのだ 一歩も白の外に出るのは許さんぞ



ああ…その時のわたくしの後悔がどれほどのものか…


どれだけ自分の浅はかさを悔やみ涙したことでしょう


食事もとらず部屋にこもったわたくしをあの人は見かねて渋々一度だけハロウィンタウンに帰ることを許してくれた


「お姉さま…お姉さま、お会いしたかった! こんなに窶れてどうなさったの?」


「ああ…ジャッコ…どれほど会いたかったか…わたくし、もう二度とあの人のもとへは帰らないわ…」


「どういうことだ? ジャクコ…訳を話してごらん 」


「お父様、ジャッコ…わたくしはなんと愚かだったのでしょう…聞いてちょうだい…あのひとは…」



ジャクコがウェーブ侯爵が嘘をつき約束を破ったこと


嫁いでから半ば監禁状態で城の外に一歩も出ることを許さず毎晩自分を抱きに訪ねてくるおぞましさを父に打ち明けようとした刹那…



【何を言おうとしている? ジャクコ…】


耳元でウェーブ侯爵の声が響きジャクコは恐ろしさのあまり気を失いそうになる


【お前が本当のことを父親に告げるならお前の大事な妹に何をするかわからんぞ…】


なんですって…ジャッコに何をしようというの…


【わたしはお前以外には冷酷無比な男よ…そんな小娘を殺めるのは遠隔魔力で十分…試してみようか…】



「頭が…頭が痛い…おねえ…様…」


さっきまで元気だった妹が頭を抱えうずくまり苦痛に顔をしかめるのを見てジャクコはテレパスで即答した


【おやめください! この子はわたくしの命です…何も…父には何も言いませんから…やめてください】


「可哀そうに…大丈夫、大丈夫よジャッコ、すぐに良くなるわ…」


「お姉さま…せっかくお会いできた…のに…」


涙をポロポロと零しジャッコを抱きしめるジャクコに侯爵の声が聞こえてきた


【そんなに悲しんで…わたしの愛しい妻よ…お前が泣くのを見るのは耐えられん…夕方には戻るのならばすぐにやめよう】


夕方…夕食すら一緒にできないというの…


ああ…けれどこの子がこれ以上苦しむのは耐えられない!!


【わか…りました…侯爵様の仰せのままに致します】


【いい子だ…では6時に迎えの馬車をやろう…それまで水入らずを楽しむがいい】


「あ…痛みが…痛みがなくなった…お姉さま、パパ、もう平気…」


嘘のように顔色が良くなり微笑むジャッコをジャクコは思い切り抱きしめ心に誓った


ごめんね…ごめんね…ジャッコ


わたくしがあんな男に騙されたばかりに…


今後一切…あなたに手は出させない…わたくしが帰らなければあなたはこうして今まで通りに元気でいられるのだもの


ああ…あなたに会えなくなるのは気が狂いそうだけれど…あなたを守るにはそうするしかない…侯爵の言うとおりにすることしか…



「バカみたい…なんて愚かなのかしら…わたくしはなぜ…生きているの…なんの為に…」


「ジャッコ、お父様…ごめんなさい…疲れて…しまいました…もう二度と帰れないのなら…」


過去を振り返り魔力でナイフを出すとジャクコが心臓に突き刺そうとした瞬間…


ナイフが霧のように消えていく


「本当にお馬鹿さんね…我が名は番い大魔王ハトモコ、さあいらっしゃい、ジャッコちゃんとお父様のところへ帰りましょう」


「番い…大魔王…?」


トタッ…


可憐な足音と共にきぃちゃん参上


「我が名はハトモコの番い姉妹、きぃ・セフィロス。詳しいことはあとで…さあ…!!」


これは夢? セフイロス様…聞いたことがある…確か魔界で知らぬ者はいないという実力者で魔界を去ったと聞いていたけれど…


いいえ。いっそ夢でも構わない…ここから逃れて家に帰れるなら…


「いらっしゃい、ジャッコちゃんが待っているわ」


ハトモコは翼でジャッコを包み込むときぃと共にどこでもドアで消えていった




「まったく吐き気がするやつね…」


ハロウィンタウンに着くとハトモコは忌々し気に呟いた


「ただいま~帰ったさん」


どこでもドアで見慣れた部屋に来ると会いたくてたまらなかった二人が目の前で微笑んでいた



「お姉さま…」


「おお…! ジャクコ! 」


「ジャッコ、おとう…さま…」


夢なら永遠に冷めないでほしい


一年ぶりに再会した親子は涙を流しながら固く抱きあい互いの存在とぬくもりを確かめていた


数時間後…


ジニーの水晶ですべてを見た父、ジャックとジャッコは怒りに身を震わせていた


「なんてやつだ…わたしの娘を人質にするとは…許せん…」


「お姉さまを…こんなに苦しめるなんて…」


「お父様、でもあの人は遠隔でわたくしたちに手を下すことが…」


「心配いりませんよ…」


青ざめるジャクコにダンとジニーが優しく告げる


「ウェーブ侯爵などわたしにとっては蠅も同然の小物だ…」


「そうねダン…我々大魔王の前では取るに足らない存在…この子たちを苦しめた罪は深いわ」


「このピヨも手を貸そう…」


「待ってさん…」


低い声で真っ黒な魔鳥に姿を変えたきぃが言葉を発した



「愛し合う姉妹を引き裂くなど言語道断…きぃとねーさんに任せてほしい」


真っ黒い翼のきぃにすりよりながらハトモコが呟いた



「心を持たぬ下種な輩に相応しい裁きをさせてもらう…パパ、ママ、いいわね?」


「おやりなさい…あなた方に任せるわ」


「ありがとう…」


瞳を真紅に光らせたハトモコときぃはミーモとキーモが見たことがないゾッとする冷酷さをまとっていた


「さてと…黙っていても飛んで火にいる夏の虫…」


「そのようね…きぃちゃん。あちらに向かう手間が省けたわ」


数秒後…灰色の霧と共にウェーブ侯爵が姿を息を切らして現れた


「やはりここだったか…さあジャッコ…今なら許してやろう…一緒に帰るんだ」


「いやです…二度とあなたのもとへは帰りません!」


まるで氷のように冷ややかな眼差しで自分を見返す妻に侯爵は唖然とした


大人しく穏やかで従順な妻が…まるで別人のように冷たくわたしを見ている


「従順じゃなく監禁されて脅迫されて何も言えなかったのでしょう…」


「愛し合う姉妹を引き裂いた罪…後悔するといい…」


物凄い圧で漆黒の翼を広げながらにじり寄るハトモコときぃにギヨッとして侯爵は慌ててひれ伏した


「セ、セフイロス様のお嬢様方…」


殺意…ものすごい殺気と憎悪を感じる…なぜだ?


「なぜだと?」


「ふざけるな…この愚か者が…その汚らしい舌で我らの名を口にするなっ」


怒りに燃える瞳のハトモコに頭を踏まれ激痛で声が出ない


ミシミシ…ミシッ…


「ふふふ…頭蓋骨に皹が入ってきたわ…」


「ねーさん、足が穢れるさん」


「平気よ…オーラでくるんでいるから…ウェーブ侯爵、お前は慕い合い愛し合う姉妹愛を引き裂いた…あまつさえ嘘までついてジャッコ姫を監禁し下種な部下の口車にのせられ…姫が自害しようとしたのも知らずにな」


自害…だと?


侯爵の顔色がみるみる青ざめる


「なぜだ? こんなにも愛しているのになぜ自ら命を絶とうとする?」


「やかましい…」


ゲホっ…きぃが言葉を発した瞬間、侯爵の口から血が滴り落ちゴボゴボと音をたて溢れてくる


「く…苦しい…息ができ…ない…」


苦しむ侯爵にハトモコときぃはニヤニヤと笑いながら言葉を投げる


「お前のような下種は楽に逝かせるわけにいかない…さて…どうやってお仕置きしよう…」


「そうね…二度と嘘をつけぬよう舌を切り刻みましょうか…」


顔色一つ変えずに侯爵に罰を下すハトモコときぃを憧れと尊敬の眼差しでミーモとキーモが見惚れていると騎士に姿を戻した江戸が止めに入る


「おやめください…こんなやつの為にあなた方のお手を煩わせる必要はございません…」


「江戸…」


「拷問は我が家系に伝わる専門です…わたくしにお任せを…」


「面白そうね…番い大魔王の名に懸けて許可しよう」


いつもふざけている江戸弁の江戸が…端正な美しい顔に凍り付くような微笑みをたたえているのをルディは息をのんで見つめていた


江戸…やるときはやる男だな…見直したぜ


怯えながら震える侯爵を冷ややかに見下しながらジャクコが言葉を発した


「いい気味…」


え…?


いつもは優しい妻の口から出た言葉に侯爵は我が耳を疑った


「ジャクコ……?」


「わたくしはあなたを許しません…わたくしの命より大切な宝物に手をかけようとして…何もしていない無防備なわたくしの妹に…」


ジャッコは瞳を金色に光らせると大きなコウモリになり翼からナイフを出すと侯爵めがけて突き刺した


「ぐあぁぁぁっ」


「痛いか…もっと苦しめ…もっともがけ…毒が全身を駆け巡るまで…貴様が我が妹にした苦しみを存分に味わうがいい…」


「お姉さま、やめて! お姉さまはそんなことしちゃいけない」


「ジャッコ…」


「優しいお姉さまに手を穢させたりしない…その男はわたしが始末する…このハロウインタウンの女王が…」


小鳩のジャッコの体から鋭い茨が出るとぐるぐると侯爵の体に巻き付きじわりじわりと締め上げていく


侯爵は妻とジャッコの逆襲に朦朧としながら


この小娘のどこにこんな力があったんだ…わたしはとんでもない愚かなことを…してしまったの…か


「ジャッコちゃん、ジャクコちゃん、そこまでになさい…」


ジニー様…? 女王様まで…いらしていたのか…


「とめないで…ジニーママ…」


ジャッコは泣きながらジニーに訴える


「ジニーママ…こんな私に優しくしてくれて嬉しかった…大好き…でもね…私はお姉さまを苦しめたこいつを許すことはできない…」


ジャッコの姿が霧に包まれオレンジの鳩から漆黒のマントを羽織った魔女へと姿を変えていく


「ジャッコ、ダメよ…わたくしの為にこんな汚らわしい男に手を下してはいけないわ!」


「二人ともおどき!」


ピヨがいうが早いか自分の黄金の翼を嘴で抜きとり侯爵の頭上に突き刺すと…一瞬で塵になってしまった


「ピヨちゃん…かっこいい…」


同時に言葉を発するミーモとキーモ


「あらやだ、ピヨ…羽根が勿体ないわ」


「構わんよ…お前たちが手を汚すことはない…きぃちゃん、ハトモコ…」


塵になったモノはジャクコのそばでまだ言葉を発している


許して…くれ…わたしが…悪かった


どんな罰でも受けるからお前のそばにいさせて…くれ…


「しつこい下種めが…」


「お待ちなさい、ハトモコ…」


ハトモコが魔力でとどめを刺そうとするのをジニーが止める


「あなた…自分の犯した罪の重さを理解する頭はあるようね…言葉を発することを許しましょう…」


ポン!


塵になった侯爵は一匹の蛾に姿を変えたられた


「ちょっとママ! なんでこいつを蘇生するさん?」


「そうよ…こんなやつ…二度とジャッコちゃんたちの前から消えるべきだわ…」


「きぃちゃん、ハトモコ…落ち着いて。侯爵に聞くことがあるわ」


ジニーはバタバタと飛んでいる蛾を指でつまむと手のひらから青い炎を出した


「ご存じかしら…炎はね、赤より青いほうが温度が高いということを…」


……


「あなたが100年…この業火に焼かれるのよ…どんな罰でも受けるのでしょう…」


「…わかりました…わたしはもっとひどいことを妻と妹ぎみにしたのですから喜んでその火に身を投じましょう…」


「いい覚悟だわ…」


ジニーの手の炎が蛾の侯爵を飲み込んで消えていく…


「終わったわ…100年間、焼かれて懺悔し続けることでしょう」


「ジャッコ…二度と離れないわ…もう二度と…」


ジャッコを抱きしめる姉の瞳からあふれる涙を見つめるジャッコ


「嬉しい! お姉さま…でも…でもいいの? お姉さま…体が震えておいでだわ…彼を…愛していたのでは…」


激しく首を振りながらジャクコは妹の言葉を否定した


「いいえ、いいえ! あんな男…愛してなどいるものですか…わたくしたちを引き裂いて苦しめて…一生…絶対に許せないわ…」


永遠に地獄の業火に焼かれればいい…なのに…なぜ…胸が痛むの


塵になってまでそばにいたいと言ったあの言葉にどうしてこんなに囚われているの


あの男はペテン師の冷酷非道な人でなしなのよ…


「ジャクコちゃん…」


戸惑いながら震えるジャクコを背後からジニーが優しく抱きしめ言葉をかけた


「あなたがよければ…使い魔として蛾の姿で傍においておあげなさい…もう彼にはなんの魔力も残っていないから安全よ…」


「そうよお姉さま、わたしは構わないわ…一生傍においてこき使ってやりましょうよ」


ジャクコは俯きながら暫し黙り込むと小さく頷いた


コクリ…


「そうね…一生醜いままでこき使ってあげるわ…」


「そうと決まれば…」


ジニーがワンドを振るとモフモフの蛾が手のひらから現れる


パタパタパタ…


「侯爵?」


「そうよ…あなたが望まない限り、彼は話すことすら出来ないわ…ただし…あなた方家族に危機が及んだ時に命懸けで騎士として守ることはできるけれど…」


「まあ平和なこの国でそんな危機は訪れないがな…意地悪な魔法で素敵だよ」


ニヤニヤと微笑むダンから口には出さない怒りを感じるミーモとキーモ


「ジニー様、ありがとうございます…お前は…今日からマース…英語で蛾って意味よ…ぴったりね…」


ジャクコは蛾になった侯爵に話しかけるとジャッコを抱きしめ愛しそうに頬刷りをする


「ああ…このやわらかなホッペ…どれだけ恋しかったか…もう二度と離れないわ…」


「嬉しい…お姉さま…あ~!!」


「どうしたの?」


「忘れてた、今夜はハロウィンコスプレ大会なの~ミーモちゃんとキーモちゃんにお衣装を…」


「いま何時かな…ん…お昼の2時だ。大丈夫さ、間に合うよ」


ジャッコの父のジャックが笑いながらピースをする


「そうだ、きぃちゃんと番いミイラにならなくちゃ」


「ねーさん、急ぐさん」


「俺はなにになろうかな…」


「オオカミ男はどうだい?」


「おう。それもいいなぁ、ルディはヴァンパイアだろ?」


「ジャクコにジャッコ、今日から来月までお前たちはゆっくり休むといい…仕事はわたしに任せなさい」


「ありがとうパパ…」

「お父様…」


グルル…キュルルル


突然お腹を鳴らすキーモとミーモ


「あは、ごめんなさい、朝から何も食べてないからつい…」


「そういえば腹減ったな」


「これは気が付きませんで…大変失礼致しました、さああちらで最高のブランチを用意致しますので10分ほどお待ちください」


「それじゃジャッコちゃん、ジャクコちゃん」


ジニーがワンドを振ると…ふたりの姉妹は可憐なオレンジの小鳩になった


「ふわふわでかっわぃ~」


「ふたりともぬいぐるみみたいさん」


「うふふ、ふたりとも私の娘よ、滞在中は思いきり甘えてね」


「はいっ、ジニーママ」


ジニーに抱き着くジャッコとジャクコを誰もが温かい眼差しで見つめていた














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