結界…
「あ~爽快だった、やっぱりアクション映画はいいわね~」
「本当ね、キニー。ホラーとは違った醍醐味があるもの」
「わたくしもハマりそうですわ」
「わたくしも胸がスカッとしました♪ランチはどうします?」
「近くに美味しい中華が出来たのって、妹のハトミがやっているんだけどね(笑)」
「まあ~、素敵じゃない! ハトミちゃんの中華料理食べたいわ」
「奥様、私たち外食の中華料理は初めてです」
「聞いたらお腹が空いてしまいましたわ(笑)」
「よ~し、決まりね♪皆にお土産も買っていきましょ」
ピジョンタウンで話題のアクション映画を楽しんだキニー達は妹が開店した中華料理店「ハオ!ポッポ」へと向かって行った
※
「あ~美味しかった♪きぃママ子ちゃんのご飯大好き」
「ミーモも♪食べた後も幸せな気分になるの」
「俺も美味し過ぎて何度もおかわりしちゃいました♪」
「ママのご飯は何でも美味しいんだじょ~くるる」
「そうだろう♪きぃママ子ちゃんはすべてが神なんだよ♪素晴らしいんだ」
「まったく、ハトたろ兄さんは幸せ者だなっ」
「きぃママ子ちゃん、ごちそうさまでした。デザートも楽しみだな」
「ええ、スネイプさん、梨のタルトにミルクソフトを添えてお出ししますね」
「やった♪コハ、それ大好き~」
「僕も~」
「なにそれ~!! は、はやく食べたいっ」
「ピュルル、ママ、お皿とティーカップはピュルが出すね」
「ありがとうピュル」
「あらピュルちゃん、怖いお話するんでしょう? ミーモちゃんとキーモちゃん待っていてよ。クスクス、
私とコキマがやるから座っていなさいな」
「そうよ。いつも八百屋さんで立ちっぱなしなんですもの」
「小きぃママ子姉さん、コキマちゃん、ありがピュルル。じゃお言葉に甘えて怪談しましょうか」
「やったぁ♪待ってましたっ」
「待って待って、番い毛布、皆に配るから。ルディ~傍に来てよぉ」
「OKミーモ♪俺のモフモフに抱き着けば怖くないさ♪」
「待って~キーモも」キーモとミーモにバフッと抱き着かれて番い毛布にくるまりながらルディもわくわくしていた
「どうなすった? みんな、青い顔して…ふふふ、私達がいるから怖くありませんわ」
「灯りは消すなよ」
「なんだ、コージュ。怖いのかい?」
「い、いや…その、キニーもいないし…」
「おやおや、可哀想にな…僕もきぃママ子ちゃんがいてくれないと失神するからわかるぞ」
「パパってば、恥ずかしいよ…」
「まあ、コハ、パパは可愛いひとなのよ。ね、あなた…」
「パパにカナン貸してあげる」
キーモはいつも抱いて寝ているお気に入りのパグのぬいぐるみのカナンをコージュの膝にそっとのせ番い毛布を取りに行くとふんわりと背中からくるんでくれた
そんな娘の優しさと成長に感動したコージュは涙ぐみながらキーモの手を握り抱きしめる
「ありがとう。キニーは優しいな…パパ嬉しくて怖さも飛んじゃったよ」
「本当に? じゃあキーモが隣にいてあげるね」
「キーモちゃんはキニーちゃんに似て母性豊かで面倒見いいね」
スネイプは優しく微笑んだ
「あの…初めてもいいピュル?」
「ああ、ごめん、ごめん、ピュルちゃん。スタンバイOKだよ」
「では…はじめます…」
ピュルは魔力で黒いフードを被ると静かに語りだした
※
あれは…ポタージュに使うトウモロコシをお店のキッチンでともピュルと茹でていた時のこと…
グツグツグツ…
「まきピュル、トウモロコシがお湯の中で踊ってるみたいピュル」
お鍋の中でくるくる回るトウモロコシを見てともピュルの言葉に私も思わず笑ってしまったの
すると…
『うまそうだな…』
お店の前でしわがれた声が聞こえて私が固まっていると突然ともピュルが老婆に向かって翼を広げて威嚇し出したからびっくりして…
「無礼者! あっちへ行け!!」
『生意気な…気の強いインコめが…頭から喰ってやる…』
土気色の頬のこけた白髪頭の老婆が白眼をひん剥いて近寄って来たからともピュルとどこでもドアで逃げようとしたんだけど金縛りにあったみたいに
身体が動かなくて魔力が使えず何とか助けを呼ぼうと焦っても声も出せない
「貴様になど食べられるものか! 私はインコに似てるだけでれっきとした鳩だピュル!!
鳩は素晴らしいってジニーちゃんが言ってたピュル」
※インコの八百屋さんという店名だがピジョンタウンの住人たちはピヨのように見た目がヒヨコの鳩やカメちゃんのような見た目オカメインコの小鳩や
皇帝ペンギンの雛にそっくりのハトたろのように見た目が違っても全員が正真正銘の鳩人間でそのことを誇りに思っている
私が怯えて動けないのを見てともピュルの怒りに火が点いてしまい
「トウモロコシよりインコのほうが美味そうだ…」
「近寄るな!! 無礼者が!」
ともピュルは罵倒しながら羽根から針を出して老婆を攻撃するとその針はスルスルと老婆の体内に吸収されて…
老婆は長い舌をベロリと垂らしながら骨ばった腕でともピュルの羽根を掴もうとした時…
「下郎が…」
突然、背後からママの声がして…老婆は叫ぶ間もなく一瞬で塵になったわ
いつもは穏やかで優しいママとは思えない低くて冷たい声だったけどママは怯えている私とともピュルをすぐに優しく抱きしめて家に連れ帰ってくれたの
「遅くなってごめんなさいね。パパと原稿を届けに出かけた隙にお店にはっていた結界が弱くなって通りがかりの悪霊が目を付けたのね…」
「ぼくらは家にいたからピュルお姉ちゃん達が怖い目にあってなんて知らなかったんだけど霊感の強いゴロだけが異変に気付いてママをテレパスで呼んだんだよ」
「大魔王のママにとっては下等な相手だけど小鳩の私達は逃げたくても逃げられなくてママが駆けつけてくれなかったら危なかったの
いつもは大人しいのに腹を立てると頭に血が上って相手かまわずに立ち向かおうとするともピュルをママがゆっくりと言い聞かせようとして…」
「ゴロちゃんが知らせてくれてよかったわ…
ともピュル、あなたがまきピュルを守ろうとしたのも鳩である誇りを傷付けられて怒るのもわかるのよ。でも聞いて…
あなたは小鳩でとても弱いの。下手に相手を刺激するとまきピュルを巻き込んでしまうのよ…
もしまきピュルが襲われたらどうするの? 二度と無茶をしないとママに約束して頂戴」
ママに注意されると ともピュルは泣きながら謝って…
「いやだ、まきピュルが襲われたらいやだ、いやピュル! ママ、ごめんなさい。もう無茶しないからごめんなさい…」
「ママ、ともピュル姉ちゃんを怒らないで…まきピュル姉ちゃんを守ろうとしただけなの。許してあげて…」
その様子を見ていたゴロちゃんが泣きながらともピュルを庇ってくれてママは微笑みながら私達三人をもう一度ギュッと抱きしめると
「ゴロちゃんはいい子ね。でもねママは大事なあなた達を危険な目に合わせたくないの…だからね、わかってほしいのよ…
ともピュルがいい子なのはわかっているわ」
「ママ、私、二度と無茶しない…私に守護と攻撃の魔法を教えピュル」
「まあ、ともピュル、あなたは勇ましいのね…わかったわ」
ママは優しく頷いてともピュルの頭を撫でていたわ…
それからともピュルは毎日毎日、ママに教わりながら一生懸命守護の魔法を勉強しているピュル
「そんな…ことがあったんだ…大変だったね、二人とも…」
「たまたま餓鬼の類が通りかかったんだろうな…」
「でもともピュルちゃん、魔法を勉強して偉いよ、ねっ、キーモ」
「ほんと尊敬する、魔法は使えるようになったの?」
「うん、攻撃魔法と守護魔法をひとつずつ覚えたよ、まきピュルを守りたいから」
「偉いぞ。だが二人とも今度、怖い目にあいそうになったら心の中でわたしの名を呼びなさい。一瞬で駆けつけるよ」
「そうだな、コージュおじさんも呼ぶといいぞ」
「スネイプさん、コージュさん、ありがピュルル」
「もう大丈夫ですわ…結界を強固にしたから。スネイプさん、コージュ兄さん、ありがとう」
「きぃママ子ちゃんは昔から強いんだよ。僕も雛も頃はよく助けられたからなぁ。はっはっは」
「そうなんだ。でもお店に結界はってるなんて知らなかったぁ」
「ピジョンタウンは平和だけれど一応魔界でもあるからね…」
「そっか~なんか怖くてお腹空いちゃった」
「俺もお腹空いたぜ~」
「コハも~ママ、なんか作って~」
「はいはい、待っててね」
「強くてかっこよくて可憐で美しく母性豊かで料理上手で大和撫子! いゃあ~素晴らしい妻なんだ…
きみよ…きみの微笑みが向けられる度…僕は何度でも恋に落ちるんだ…知っているかい?」
「でた~ママに捧げるパパのポエム♪」
「流石は妻ヘよするの作者だな♪ハトたろ兄さん」
「いやいや、からかうなよ~はっはっは」
ピュル姉妹の怪談はハトたろのおのろけで締めくくられた(笑)




