真相
その夜…美味しい夕食を堪能して遊び疲れた皆は熟睡していましたが私ときぃちゃん、はじめ子供たちは
寝付けなくてトランプをして遊んだあと皆で二階にある大風呂に行くことになったのですが部屋から出ようとするとハトマ姉さんと江戸に止められたのです
「きぃ様、お待ちください、みんな、行かない方がいいぜ…」
「そうよ…トト、プールにいた仲居さん、憶えてるでしょう?」
「姉さん、見えてたの?」
「ええ…あまり騒ぐとせっかくみんなが楽しんでいるのに水を差すから黙っていたの…それに…邪気は感じなかったのよ」
「いま、大風呂に行くとかち合うぜ…」
その時、突然部屋のスタンドが消えて真っ暗になり小さい子達はパニックを起こして悲鳴をあげても
いつもならすぐに起きるパパとママがパパがぐっすり寝ていて一向に起きてくれませんでした
「大丈夫よ、みんな、落ち着いて…」ハトマ姉さんが魔力で羽根に灯りを点すと…いつの間にかあの、仲居さんが私達の目の前に座っていたのです
『脅かして…申し訳ございません…』
俯いたまま不気味に謝る彼女に江戸が口火を切りました
「あんた…その前にこの世の者じゃないよな…」
江戸の言葉に全員が青ざめるなか、途端に仲居さんは涙声になりすすり泣きながら話し始めたんです
「私は…10年前…娘を亡くしてしまったんです」
以下、仲居さんの語り↓
※
娘は可愛い盛りの5歳の女の子でした
当時、こちらで仲居をしていた頃、よくプールに入って遊んでいたのですが…
私がかまってやれずに寂しかったのでしょう…夜の8時ごろ、いつものようにひとりで泳いでいて吸水口の蓋が外れていたのに誰も気づかず
あの子は身体が吸い込まれて溺れてしまい…従業員から知らせを受けた時には冷たくなっていました…
娘は私の生きがいでした
翌日、後を追うように私は自害したのですが…あの子に会えないまま時だけが過ぎ去り…
このホテルにいれば…プールの傍にいれば…いつかあの子と会えるんじゃないかと思って…私はお子様連れのお客様がみえるとこっそり部屋係に紛れ込んでいたんです
私が傍に…ついていれば娘は…あんな事故にあわなかった…そう思うと…プールでお嬢様方が泳いでいらしたのが心配で…
二度とあんなことがあってはならないように見張っていました
「そうだったの…」
ハトモコは彼女の肩をそっと抱きしめると水晶玉のねぇダマときぃ玉を懐から取り出した
「忘れちゃったの? もんぽ姉さん…亡くなったお嬢さんは…あなたの妹のきぽきぽちゃんよ…」
「…妹…?」
「あなたの涙を見て気が付いたわ…あなたの前世は私達の姉妹、もんぽ姉さんときぽきぽちゃんよ…思い出して」
仲居さんは…ねーさんの顔をじいっと見つめると叫びました
「ハト…モ…コ…、ハトモコ!!」
「よかった、思い出したのね…きぽきぽちゃんに会わせてあげるわ…ねぇ玉、きぃ玉よ、きぽきぽの魂をここへ映したまへ」
やがて…二つの水晶はひとつに合わさり大きな玉となって…きぽきぽの霊は深い霧の中で前世の姉、もんぽを泣きながら探し求めていた
「見つけたわ! 行くわよ、きぃちゃん」
「OK! ねーさん、もんぽ姉さん、待っててさん」
数分後、魔力で瞬間移動した私達は迷いの森であの世に逝けず姉を探していたきぽきぽを抱きしめて戻ってきました
「きぽきぽ!」
「おねえちゃん…もんぽおねえちゃん…会いたかったよぉ…」
あーんあーん
姉に抱き着いて慟哭するきぽきぽを見つめていると背後にジニーママが立っていてピーン♪とワンドを振り二人を蘇生したんです
「ママ、いつからそこに…」
「ハトモコの声で目が覚めてな、プールにいた時は俺ももジニーも気付かなかった」
「気付くのが遅くなってごめんなさいね。辛かったでしょう…二人とも…もう大丈夫よ…あなた達は鳩娘として生まれ変わったから」
「パパ、ママ…私…」
「おねえちゃん、抱っこ~」
甘えるきぽきぽを抱きしめながら姉のもんぽは私の羽根を握り
「ありがとう…ハトモコ…気付いてくれて…きぽきぽを連れてきてくれて…」
姉は安心感から緊張の糸が解けて気を失ってしまったのです
「それにしても…流石は番い大魔王ね、ハトモコ…今回もお手柄だわ」
「そんな言い方やめて…番いは離れていてはいけないのよ…ママ、二人を蘇生してくれてありがとう」
「ねーさん、大好きさん」
きぃちゃんに抱き着かれた途端、メロメロになるハトモコだった
その後、二人の姉妹はジニー家で幸せに暮らしています
あの日、魔女箱根に行かなかったら二人の番い姉妹がお互いを思い出せないまま再会出来なかったと思うと…心底ゾッとするのです
※
ワーワーパチパチパチ
パチパチパチ…
割れんばかりの拍手を聞いて頬を染めるハトモコときぃちゃん
「なんと今日はその再会されたお二人が観覧席に来てくださっています!」話を振る田峯
「カメラは向けないようにとのことですので…私から改めて二人の妹たちに…もんぽ、きぽきぽ、本当によかったわね…おめでとう。
そしてハトモコ、流石は番大魔王だわ」
姉の鳩代に褒められ喜ぶきぃちゃんと江戸、と口を端をあげて微笑みながらも照れるハトモコだった




