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ピジョンブラッド

私は姉とパラレルワールドという雑貨屋さんを営んでいますが仕事柄、色んなモノを扱っている為…不思議な体験をするのは珍しいことではありません


今回はその中でも忘れられない話を投稿致します


昨年の夏、閉店の時間になったので私達は後片付けをしていました


「姉さん、そろそろドアに看板かけておくね」


「そうね、トト、ここはいいからさっき入荷した宝石の荷物を見て来てくれる?

頼んでおいた極上のピジョンブラッドがあるはずなのよ」


「うん、ちょっと見てくる」


姉に言われてお店の荷物置き場に見に行くと…


ガタガタガタ…


ん? 何の音?


ガタガタガタカダ!!


目の前で宝石類の入ったダンボールが物凄い音を立てて揺れていたんです


「ね…ねえさ…」


怖くて姉を呼ぼうとしたのですが身体が動きません


『出して…ここから出して…出して…』


ますます激しく揺れるダンボールからか細い女性の声が聞こえます


ダメだ…! 私じゃどうしょうもない…姉さん! 姉さん、助けて!


心の中で姉に助けを求めていると



ピキーン…!! 『姉さん、助けて!!』


後片付けをしているとふとトトの救いを求める声が聞こえたので私は慌てて倉庫に行きました


「トト! どうしたの?」


見ると激しく揺れているダンボールの前でトトが動けず放心していたのですぐさま、ワンドを振り魔除けの呪文を唱え震えているトトを抱きしめると…


「姉さん、怖かった…倉庫に来たら…動けなくなっちゃって」


『出して…はやく出して…我をここから出せ!!』


かなり強力な霊力を感じた私はトトに被害が及ばぬように結界をはり、すぐさま荷物を解くと小さな箱が物凄い勢いで揺れているのを確認しました



これね…


「我が名はハトトコ・セフィロス。今からあなたを解放致しますが…私達に害を及ばさないと約束してください…」


『…わかった…約束しよう…』


箱を開けると…恋に燃える女の情念のように血のような真っ赤なピジョンブラッドのルビーリングが凄まじい光を放ちジュエリーボックスに鎮座していたのです


『実に窮屈であった…出してくれて礼を言う…我はマリア…そなたに頼みがある…』


いきなり頼みとは…本来ならいわくつきの宝石はすぐさま、受注先に連絡して引き取ってもらうのですが


1カラットほどあるマリアと名乗るルビーに私は強烈に惹かれいったい何を彼女が望んでいるのか聞きたくなったのです



「わかりました…その願いとは私に出来ることでしょうか?」


『そなたは…ここの店主であろう…ならば容易い事よ』


「ではマリア様、伺いましょう」





『我を…愛しい男のもとへ返して欲しい』


「ですが…その方はご存命では…」


『そんなことはわかっておる…我がこの手で殺めたのだから』



ルビーから血のような雫が滴り始め私は咄嗟にそれがマリアの涙だと気が付きました


狂うほどの恋慕の炎がメラメラと石の中で燃えているのが見えてなんとも言い難い悲しみと切なさで私は涙が零れあとからあとから頬を伝ったのです


トトはそんな私を心配して叫びました



「姉さ!! 姉さん、どうしたの! マリアさん、姉さんにひどいことをしないで!!」


「トト、いい子だからそこから動いてはダメ。姉さんは大丈夫、大丈夫よ…」


『そなたの妹か…』


マリアの気がトトに移り私は焦るあまり取り乱しました


「妹に手を出さないで…この子は私の命です」


『姉さん、結界を解いて!』


トトの叫びと共に私のはった結界がいともたやすく破られトトが駆け寄ってきました


「トト、すぐ家に戻りなさい」


瞬時に魔力でトトを瞬間移動させようとした瞬間、全身が震えて私は動きをマリアに封じられたのです


『よいではないか…その子はお前から離れたくないようじゃ…』


トトはマリアの傍に来ると泣きながら…



「姉さんは私の命です…羽根先ひとつ傷付けさせません…


硬度の高いあなたも衝撃には弱いはず…」


トトはそう言うと全身を氷に変えたので羽根を振り上げたので慌てて私は叫びました


「やめなさい!トトちゃん、マリアさんは私達を傷付けるつもりはないわ! 話を聞いてあげて」



『そんなに…姉さんが大切か…』


「はい…私はどうなろうと姉さんだけは命に欠けて守ります!」


「お許しください…この子は私の為にピジョン山の頂上で薬草をとり全身を火傷して氷バトになったんです!」


『…血の気の多い姉妹だ…お前たちに危害は加えん。愛しい男に会えなくなってしまうではないか…』



「本当に? 姉さんに何もしないのならトトは、あなたに協力します」


「トトちゃん…」


『お前の姉を想う気持ちに免じて話してやろう…簡単なことよ…明日の日暮れ時に我が殺めた愛しいひとの生まれ変わりがここへやってくる…』


「…それで…」


『彼が来店したらすぐさま、我を渡してほしい…それまでどんなに高額な値で我を売って欲しいと客にせがまれようと絶対に売らないと約束してほしい…


もしも裏切り約束を違えればそなたたちも我を買った者も呪われ苦しみ続けることになる…』


私とトトは同時に返答しました


「承知いたしました」と…


「パラレルワールドの名にかけて…私達があなた様の望まれる一期一会を叶えましょう」


『ほぉ…幼いのに我に怯えることもなく大した娘じゃ…』


「トトはこの店に訪れるお客様すべてに素晴らしい一期一会を望んでいます。マリアさん、よろしければお聞かせください。


貴方様と彼の間に何があったのかを…」


『…よかろう…長年の望みを叶えてもらうわけだからな…』


次の瞬間…ルビーから霧が立ち込め、眩いブロンドの長い髪をなびかせた悲し気な青い瞳の美しい貴婦人が真紅のドレスで姿を現しトトと私は驚きのあまり

言葉を失ってしまったのです


『驚かせてすまない…聞いてくれるか? 愛しいフランソワと私の話を…』


マリアはお店の椅子に座ると静かな瞳でゆっくりと語り始めました








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