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フライトナイト

「こんばんわ…魔界からの案内人、鳩代です」


「こんばんわ…田峯弘樹です


今宵はなんと、魔女ハワイからの中継です。アロハ~」


「皆さん、アロハ~♪一昨日着いたばかりです マトヨにモトヨ、ご挨拶して」


「アロハ~マトヨです」


「アロハ~モトヨです


今夜は魔女ハワイの怪異についてお届けいたします


皆さんのメールお待ちしていますのでどしどし送って下さいね」


「今回の景品は…こちらの魔女ハワイ限定のアイスとお菓子のスペシャルな詰め合わせボックスです


メールを送ってくださった方から抽選で10名に差し上げちゃいますよ~」



ホテルでテレビを見ていると突然に田峯弘樹スペシャルが流れて全員びっくり


「まあ! 鳩代ちゃんたらどうなすった? いつこちらに来ていたのかしら」


ふふふ…きぃママ子姉さま、心霊スポットに行くために一昨日着いたのよ…投稿待っているわ…ふふふ


さっそく霊感の強い鳩代はきぃママ子の思考を感じ取りテレパシーで応えて来た


「すっごい♪魔女ハワイの怪談だって~楽しみっ♪」


「ミーモ、投稿しよっと」


「さっそくメールを頂きましたよ。


ピジョンタウンB地区のハトモコちゃん。こんばんわ、愛しい番いと家族皆で魔女ハワイに来ています


明日帰国するので嬉しいサプライズに感動しています。鳩代ちゃん、田峯さん、生放送期待しています…


ありがとうございます」


「ハトモコちゃん、ありがとうございます。


では、さっそく魔女ハワイの田峯ボックスをお届けしますよ~」


「僕も投稿したじょ」


「コハもメールする~」


「えっと、ピジョンタウンB地区のルディくん。こんばんわ、一週間前から家族と大好きな人たちと一緒に魔女ハワイで拝見しています。


〇〇ホテルの窓から見える海岸の左側が真っ黒く淀んでいるのが気になりますが田峯さん、ご存知ですか?」


「おお、ビンゴ! 実はですね、アロハビーチの左側はこちらでも有名な心霊スポットです


動画にしてあるのでさっそくご覧ください。


あ、ルディくんにも田峯ボックスお届けします」



コンコン♪


ホテルマンがノックしたので開けると大きなボックスをふたつ抱えている


「くるるっ、ハトモコ・セフィロス様とルディ・ローズ様に田峯弘樹スペシャルからお届け物でございます」


「すごっ! もう届いちゃった~」


「ねーさん、開けて開けて♪」


「ルディのも見せて~」


大きなボックスを開けると10種類のフレーバーのファミリーサイズのアイスクリームと大きなポテトチップや何種類ものチョコレート、


パイナップルやホヌ様、イルカの形のビスケット、マカデミアナッツ、ハワイ牛のキャンディなど銘品が溢れんばかりに入っていた


「ママ、魔法で増やして…」


ハトモコがジニーにねだると…ジニーがローズクオーツのワンドを振り


「はいはい♪ ビビディ・バビディ・ポー♪」


お菓子が何百倍にも増えたのでハトモコとルディが全員に配ってくれる


「わわ、このミルククッキー、こんなに薄いのにすっごく濃くて美味しい~」


珍しいお菓子の数々に大人も子供も大喜び


「ねぇねぇ、ルディの言ってたアロハビーチの心霊動画がはじまるよ~」



美しい空と海でロコたちや観光客を癒す魔女ハワイにもその昔、悲しい出来事があったのでございます


波の音がする遥か彼方から悲しそうな苦しそうな女性のうめき声が聞こえてくる…


あああああ…あぁぁ…


あの人を…あの人を返してちょうだい…



沖の波間に長い黒髪を揺らし美しい女性が涙を流しながら佇んでいる


「すみません。どうか教えてください…あなたは…何がそんなに悲しいのですか?」


ボートに乗りながら嘆いている女性の霊にインタビューしているのは鳩代と田峯だった


「うっそ~鳩代ちゃん、心霊スポット凸したの~!!」


「こわ…心霊ドラマじゃないんだ…」


「私には愛する恋人がいた…幼い頃より愛を誓い合い一緒になろうと約束していたのに…」


「その彼は…どうしたんですか?」


「彼は父親の決めた娘と婚約させられて……


だけど親のいう事は絶対で逆らえなかった…だから私達は手に手を取って駆け落ちしたのよ


必死に走って逃げた私達はピジョンの崖に追い詰められて彼は首に巻いていたスカーフをとると二人の手首を固く結んで海へと飛び込んだの


私達が水面に沈む瞬間…高い波に飲み込まれて意識を失った


目覚めると私は1人で…手首には彼の巻いた赤いスカーフが遺されたまま…彼の姿は何処にもなかった


悲しくて寂しくて何度海を渡ろうとしても砂浜にたどり着けず泳いでは波に飲まれての繰り返し


何年も何年も時の流れも感じないまま私は同じことを繰り返してなんとか彼に会いたくて海を彷徨い続けていた


そんなある日…魔女ハワイの祝福の鐘が鳴らされて見上げるとそこには私の探していた彼が知らない女性と結婚式を挙げていたんだ…


何があっても未来永劫離れないと誓ったのに…彼はロコたちに助けられて私を忘れ…彼を看病していた看護師に恋をして…


ううぅぅぅぅ…許せない…許せるものか…


私一人を置き去りにして…自分は幸せそうに幸福の鐘を鳴らして…悔しい…悔しい…


この海に来た男女はひとり残らず引き裂いてやる…」


「そうだったの…辛かったでしょうによく話してくれました…」


「お前たちは夫婦か…子供もいるな…引き裂いてやる…」


「そんな事をしても彼は戻ってきませんよ…それに我々は大魔王だ、あなたに手出しは出来ません…」


「ううぅぅ…バカにして…私を笑っているんだろう…悔しい…」


「いいえ、あなたを自由にして差し上げます…


本来なら私の役目は彷徨い続けて苦しむ魂たちを心安らぐ楽園へと導くことなのですが…今回は別です


今からあなたを蘇生します。美しい魔女として生まれ変わり人生をやり直してください」


「蘇生…産まれ…変わる?」


「そうです。悲しい辛い記憶は一切忘れて新たなる人生を生きられます。


恋人たちを引き裂くと言いながらも心根の優しい貴女は結局はそんな事が出来なかった…あなたには幸福になる権利があるんですよ…」


女性は俯いて田峯に応える


「ありがとう…でも…生まれ変わると…私はあの人を忘れてしまうの?


こんなにも愛しているのに…それだけはそれだけは…許してください…」


泣き崩れる女性の霊に鳩代は言葉をかけた



「わかりました…ならば地縛霊になっているあなたを…自由にしましょう


何処へでも好きなところへ逝けるように…この水晶に彼が映っています…」


「おお、ジュリアン…あなた、どうしてそんなにボロボロなの?


結婚して幸せになったはずじゃ…」


「いいえ…彼はあなたを亡くし生ける屍となって親のいわれるまま結婚し、花嫁を迎えても一度も抱かずにあなたと飛び込んだ日に自ら命を絶ったんです


この海の底へ沈んで自死したために出てこられない…迎えに行ってあげなさい…」



女性は大粒の美しい涙を流すと…田峯と鳩代に深く頭を下げてお礼を言い、海の底へと沈んでいった


「そうだったのですね…知らなかった…ああ、ジュリアン、許してちょうだい…教えてくれてありがとう…ありがとうございます…あの人を迎えに逝きます!」


暫くして…田峯が呪文を唱えると…海底から白く光った二つの魂が上がってくる


「見つかったか! よし…


迷える嘆きの魂たちよ…過去の真実に気付き、愛し合う二人共に本来あるべき場所へと逝かれよ!」


次の瞬間、海面が虹色に煌めいて愛し合う若い男女は固く抱き合ったまま微笑んで空の上へと静かに消えていった



動画が終わり鳩代と田峯がアップになる


「と、これは昨日の出来事です

ルディくんが海に影を見たのはまだ二人が浄化する前だったからでしょう…


さあ、次の動画にいきましょうか」


それから上質な恐怖体験や心霊スポットが次々に紹介され最高のフライトナイトとなったが誰もがアロハビーチの二人があまりにも強烈に胸に焼き付いていて忘れられなかった


「ママ、僕もお菓子もらえたよ~♪」


「すごいわ、サブちゃん、ごろちゃんもナナロちゃんもよかったわね」


「ミーモお菓子はもらえなかったけどさっきのお話し、感動しちゃった


田峯ちゃんと鳩代ちゃん、かっこいいよ…」


「キーモも胸がいっぱいになった…」


「ええ、ええ、いつか私達もあんな恋をするのかしら…くるる」


「流石は鳩代ね…魔女ハワイ最後の忘れられない夜になったわ…」


あの海にそんな悲しいことが秘められていたのか…


だけどよかった…二人が一緒に心休まる場所に逝けて…


俺は…俺は…愛する人の手を何があっても絶対に離さない…


無邪気な子供たちとお年頃の鳩姉さま様達、ジニー夫妻にピヨ夫妻、キニー夫妻にスネイプ夫妻、きぃママ子夫妻、新婚のぽっぽこ夫妻に投稿を採用されたルディはそれぞれ熱い想いを秘めながら魔女ハワイ最後の夜を過ごした










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