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野獣3

「ランチ、とっても美味しかったです


ジニーちゃん、ごちそうさまでした」


「美味しそうなお土産まで頂いちゃって ありがとうございます」


「いいのよ どこでもドアをあなた達の家に繋いでおいたから 来たくなったらいつでもいらっしゃい


二人とも明日の試験頑張ってね」


トタトタトタ…


帰り際にきぃちゃんがキーモの傍に来て耳元で囁いた


「試験で野獣さんを傷付けない方法、メールしたさん」


キーモは感動してきぃちゃんに抱き着いた


「ありがとう! 明日、頑張ってくるね」


「うん、頑張って」


ニッポリと微笑む優しいきぃちゃん


※ニッポリとは…鳩娘達がニッコリ微笑むこと



「この番い大魔王も貴方たちを応援しているわ…ファィト…」


「ありがとう!ハトモコちゃん、番いリング大切にします」


「二人の試験が受かるように応援しているわね くるる」


「またいらっしゃいね~くるっ」


優しいハト姉さま達にも見送られミーモとキーモとルディはキニー家に戻るとスネイプ伯爵とミーナが笑顔で待っていた




「おかえり、水晶で様子を見ていたよ…キーモちゃんは勇気があるね」


「ただいま、スネイプちゃん


勇気なんてないよ 明日の試験、頑張らなくちゃ」


「おかえりなさい、ジニー様がお優しくて安心したわ…ルディ、江戸さんと仲良くなれて良かったわね」


おぉーん あうあう ふにゅううう 「ただいま、パパ、ママ、心配かけてごめんね」


ルディはハスキー犬に戻りペロペロとミーナを舐めながら抱き着いて甘えている


ミーナの淹れてくれたショコラを飲みながらキーモはきぃちゃんからのメールを読み、ミーモはジニーちゃんに頂いたサンドイッチやおにぎりやクッキーのお土産をキッチンにいるキニーママに持って行った


「ママ~、ジニーちゃんに頂いたよ~」


「あらあら、こんなにたくさん…あら? ジニーママのところに行ったの?」


「黙って行ってごめんなさい、明日の試験のことで聞きたいことあって…」


上手に嘘をつくキーモをキニーは優しく抱きしめた


「そう…明日の試験、ママも見に行くわ


頑張ってね」


キニーには何故、子供たちがジニーに会いに行ったのかわかっていたがキーモの優しさと行動力に感動し、あえて知らないフリをした


「ミーモ、お部屋で魔法の練習するから来て」


呑気にジニーちゃんのおにぎりを食べていたミーモは「え~いまぁ?」とめんどくさそうに返事をする


「いいから来て」とキーモはミーモの手を引っ張って強引に部屋に連れて行く


「明日の試験の練習しなきゃだね ミーモ、食いしん坊だからつい…」


「いいの、食べてたのにごめんね、明日の試験のことなんだけど…


新しい魔法をミーモにも覚えてほしいの」


「新しい魔法?」


「そう…ちょっと難しいかもだけど…」


キーモはそう言いながらミーモにきぃちゃんからのアドバイスのメールを見せた



「ママ、魔法の練習するから夕食はお部屋で食べるね」


「わかったわ、運んであげる」


キニーが夕飯を子供部屋に持っていくと…息を切らしながら懸命にワンドを振っているキーモとミーモに驚いた


「その魔法…あなた達…」


「どうしても…明日の試験までにマスターしたいの」


キニーは野獣の為に頑張っている真剣な子供たちに胸を打たれた


「いいわ、この魔法にはコツがあるのよ ママが教えてあげる


守りたい人を頭に浮かべるの そして呪文を唱えればあなた達が望む形になるわ」


「わかった、ありがとうママ」


その晩…三人はほとんど眠らずに練習して新しい魔法を取得した



魔女試験当日


試験場の審査席には、女王のジニーに王様のダン、長老のハト様をはじめ、錚々たる顔ぶれが座っている


そして応援席にはきぃちゃんとハトモコちゃん姉妹に江戸、優しいハト姉さま達、キニーママとコージュパパ、ルディとスネイプご夫妻、きぃママ子ちゃんファミリーもかけつけてくれたのだ


キーモとミーモは手を繋ぎ、瞳を閉じて深呼吸する


「それでは…これより守護と攻撃の魔女試験を行います」


「まずは…攻撃の魔法から…野獣を放ちなさい…」


ギャオオオオオォォ


キーモ達が助けたい野獣が三つの首を持つ狂暴な恐ろしい怪物に姿を変えられ、瞳をギラつかせて襲ってくる


「いくよ、ミーモ!」


「OK キーモ!」


キーモとミーモは襲い掛かる野獣めがけて左右に別れてワンドを回す


「エル…エル…エル…ポッポ、ポポポポ…クルッポー…えいっ」


二人が同時に呪文を唱えると…野獣は一瞬にして小さな桃色のハトになってしまう


「くるっ くるるっ」


「それっ」ミーモが魔法で鳩の好きな餌を大量にばらまくと野獣は二人の存在も忘れて夢中でその餌を貪り始める


「くるっ…カツン、カツン、くるるっ」


愛らしく餌をついばんでいる姿は とても恐ろしい野獣とは思えない…



大魔王であり魔女のジニーは 幼い頃、道に迷って迷子になっていたのを三人の優しい鳩人間の魔女に助けられて以来、


ジニーは鳩をこよなく愛し、敬い、美しい魔女に成長して幼馴染のダンと結婚し、番い姉妹の姉のピヨと共に魔界からこの土地に移り住み、争いも犯罪もない平和の国、緑が溢れ四季折々の花々が美しく咲く

ピジョンタウンを築いたのであった


娘達も全員、愛らしい鳩人間であり、使い魔も小鳩たちなのだ



そんなジニーにとって例え魔法とはいえ、鳩の姿になった野獣を攻撃することは許されなかった


だが…それ以上に野獣のような狂暴な怪物を可憐な小動物に変異させる魔法はかなり難易度が高い


この魔法をたった一晩でマスターするとは…


「そこまで! 次は守護の試験です」


ジニーの魔力で野獣は瞬時に愛らしい鳩から再び巨大な恐ろしい恐竜に変えられた


「さあ、恐竜が火を吹いてあなた達を襲いますよ 身を守りなさい!」


すると…今度はキーモとミーモは大きな鳩に姿を変えて空高く羽ばたきながら炎から免れると…氷の翼でその身を守り


呪文を唱え空から雨を降らせて恐竜が拭いた炎を消してしまう


「そこまで! 二人とも降りていらっしゃい」


バサバサバササッ…


スト…


「よく頑張りましたね…野獣に怪我をさせずに攻撃と防御をするとは…キーモ・セフィール ミーモ・セフィール 合格です


長老様、異存はございませんか?」


グレーの大きな鳩人間の長老様は頷きながらニッポリと微笑んだ


「ああ、もちろんじゃとも ジニー、キーモにミーモ、其方たちに尋ねよう


もっと簡単な魔法で試験をパスできたはずじゃが…どうしてこれほどの高度な魔法で試験に挑んだのじゃ?」


キーモが長老の前に歩み出て応える


「はい、長老様、それは…野獣さんをこれ以上、傷つけたくなかったからです


今まで数えきれない魔女試験で小さな魔女や魔法使いに魔法で攻撃される度に怪我をして傷の絶えなかった野獣さんはそれでも試験に合格した者たちを祝福して優しい言葉をかけていたんです


そんな野獣さんを私は例え、試験とはいえ怪我をさせたくなかったんです


それにはどうすればいいか友人が与えてくれたアドバイスを参考にしてミーモと考えました


ここはピジョンタウンです 我が国の平和と愛の象徴の鳩に変異させ野獣の魔力を封じればいいと思ったんです」


「長老様、キーモはその野獣さんを自由にしてくれるようにジニーちゃん、いえ、女王様にお頼みしました


女王様は私達が試験に合格することを条件に野獣さんを自由にしてくださると約束してくださったのです


だから私達姉妹はママに教えてもらいながら徹夜で魔法の練習をしたんです」


パチパチパチパチ…



長老をはじめ、審査員の席と応援席から一斉に歓声と共に拍手が起こった


「キーモちゃん、ミーモちゃん、おめでとう! よく頑張ったさんね」


きぃちゃんが涙ぐんで拍手している


「ありがとう、きぃちゃんが野獣さんに怪我をさせずに試験に合格するには変異の魔法しかないよって教えてくれたから…キーモは考えることが出来たの


すごく難しかったけど頑張ってミーモと練習したの きぃちゃん、本当にありがとう」


「二人にピジョン魔王の称号を与えましょう…二人の努力と優しさに免じて たった今から野獣のステファンを自由の身とします」


ジニーがワンドを振り、野獣に金色の粉をかけると…野獣は艶やかなグレーの羽根を持つ凛々しい雄鳩にと替えられた



「ステファン、よかった よかったわ くるるっ」


小さなぽっぽこがステファンのもとへと飛んでくる


「ありがとうぽっぽこ、ありがとうございます 女王様」


鳩になったステファンは涙を流しながらジニーに感謝の意を示す


「お礼を言うなら私ではないわ


キーモとミーモに言ってあげて…あなたの自由を得ようと 幼いながらにあなたの身体を傷付けないように難しい魔法で試験に挑んで見事に合格したのよ」


「キーモ様、ミーモ様、わたくしの為に大変な想いをされてこの身を自由にしてくださり…本当にありがとうございます くるっ」


「よかったね、ステファン これからはジニーちゃんのおうちでぽっぽこちゃんと一緒にいられるよ」


「ええ、約束通り、たった今から私の使い魔としてぽっぽこと一緒に仕えて頂戴


今まで、ご苦労様でした」


「はいっ、くるるっ ありがとうございます


ぽっぽこと一緒に働けるなんて…こんなに嬉しいことはございません くるっ」


「ステファンさん、鳩になったから鳩語になってる(笑)


本当によかったね」


「キーモ、ミーモ、お前たちは…わたしの自慢の愛娘だ


よく頑張ったな おめでとう」


泣きながら娘達を抱きしめるコージュパパ


そしてキニーママは二人を撫でながら


「さあさあ、今夜はご馳走よ~きぃママ子ファミリーとスネイプご夫妻を招いてお祝いしましょうね」


「わぁいわぁい♪ ねぇママ、きぃちゃんとハトモコちゃんと江戸くん、そしてジニーちゃんもご招待していい?」


「もちろんよ! ママが招待状を差し上げたいわ」


「嬉しいわ…お言葉に甘えて…ママときぃと江戸と伺うわね…ね、きぃちゃん」


「うん、ねーさん♪」


「おうおう、お前ら、すげぇじゃねぇか! 見直したぜっ」


「江戸、偉そうに言わないの、バッドさん」


きゅーん…


きいちゃんに注意されしょんぼりする江戸




「おめでとう、二人とも」涙ぐんで喜んでくれているミーナちゃんとスネイプ伯爵


そして…おぉぉぉぉーん うおぉぉぉぉーん…「すげぇ、すげぇよ、二人とも…俺は…涙がとまらないぜっ」


ひたすら感動のあまりに遠吠えし続けるルディ


「はっはっは 君たちは素晴らしい姉妹だっ」


「偉いわ、二人とも…お祝いにとっておきのケーキを焼きましょうね」


優しいハトたろときぃママ子ちゃんに褒められながらキーモとミーモは審査員席のジニーに駆け寄って抱き着いた


「おめでとう、二人とも…ご褒美に何でも買ってあげるわよ」


「ええっ、ほんと~? やったぁぁ」


「ミーモは…何にしようかなぁ…」


「もう悩んでるの? ミーモったら気が早いんだから(笑)」


キーモ様、ミーモ様、ありがとうございます


こんなわたくしの為に懸命に女王様に頼んでくださり、この身を案じ、難しい魔法を覚えて…


わたしはジニー様にぽっぽこと共にお仕え致しますが、あなた方へのこの御恩はこのステファン、生涯、


決して忘れは致しません


大喜びするミーモとキーモに感謝しながら生涯変わらない忠誠心を誓う鳩になったステファンだった













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