小鳩になって…
「はぁい、みんな、いい?
今日は飛ぶ練習をしますよ~」
キニー家のお庭で きいママ子ファミリーの子供たちと一緒に空を飛ぶ練習をすることになった
「え~飛ぶの怖いよ~」拒絶するゴロ
「ぼく、飛んだことないや」不安げな顔のシロ
「大丈夫よ、シロちゃん
箒に乗ってもいいし、鳩のままで飛んでもいいの
みんなが飛びやすい方法で練習しましょうね」
「ぼく、翼で飛んでみたい」頬を紅潮させてナナロとハチロがきいママ子を見上げた
「まあ、二人とも勇気があるわ! じゃあママがお手本を見せましょうね」
きいママ子はみんなの前で魔女の姿から一瞬にして黒い大きな鳩に変身すると翼を広げて羽ばたきバッサ、バッサと青空を気持ちよさそうに飛んで
家の周りを迂回するとストっと庭に降り立った
「ママ、かっこいい! コハも翼で飛んでみたい」初めてきいママ子の飛ぶ姿を見たコハは大興奮
「ピュルル、トモピュル、翼を繋いで飛んでみようよ」
「ピュル♪ マキピュルと一緒なら怖くないピュル」
インコの番い姉妹のピュル達は羽根を繋いで羽ばたきながら低空飛行をはじめ徐々に高く高く飛んでいくと急いできいママ子が追いかけて二人を翼で抱きしめた
「二人とも素晴らしいわ! ピュルにトモピュルは天才よ
でもね、初めから無理しては危ないわ」
「はい、ママ わかりましピュルル♪」
きいママ子とお庭へと降りたピュル姉妹に子供たちは大喜びで拍手の嵐だ
「ピュルねえちゃん、すごいや」拍手をして感動するロクロ
「すごいすごい! 」
「ピュルちゃん達、かっこいい♪ キーモは箒で練習しよっと」
先月、「パラレルワールド」でコージュパパに可愛らしいピンクの箒を買ってもらったキーモは張りきっている
「偉いわ、キーモ じゃ、ママが箒の乗り方を教えましょうね」
「キニーちゃん、私達にも教えてください」
キーモとコキマに子きいママ子がキニーに箒に乗るレッスンを受けはじめるが…
「ミーモは高いところ怖いよ…箒も翼で飛ぶのもやだ…」小鳩なのに高所恐怖症のミーモは怯えていた
ルディがそんなミーモに話しかける
わんわん おおーん「平気さ ミーモは鳩で魔女だから絶対に上手に飛べるよ
俺、ミーモが空を飛ぶところを見てみたいな」
「ルディ、でも…ミーモ方向音痴だし 飛んだらきっと迷子になっちゃう…」
「パパとママがいるから大丈夫さ
それに俺も一緒に飛ぶから怖くないよ」
そう言うとルディは騎士の姿になり背中にある大きな翼をバサリと広げる
「おお、ルディくん、かっこいいね!」
「さあ、ミーモ様、一緒に練習致しましょう」
素敵なルディの騎士っぷりに見惚れながらもミーモは飛ぶのが怖くて仕方なかった
「ルディが抱っこしてくれるなら飛ぶ」
思いがけないミーモの言動にずっこけたコハは
「それじゃミーモちゃん、練習にならないよ
自分の翼で練習しなくちゃ」
「そう…だよね…だけど…落ちたら怖いもん…」
コハに言われ肩を落とすミーモにきいママ子が優しく声をかける
「ミーモちゃん、最初は翼をパタパタして走るところからやってみましょう
焦らなくていいの
それぞれ自分のペースがあるんですもの
ゆっくり、練習していけばいいわ」
きいママ子の言葉に元気づけられたミーモは小さく頷いた
「わかった 翼をパタパタする練習する」
「偉いわ、ミーモちゃん」
「ミーモちゃん、大丈夫だよ
ぼくも小さい頃は飛ぶのが怖くてね、きいママ子ちゃんに手とり足とり翼とりで教えてもらってやっと飛べるようになったんだ
誰だって最初は不安で怖いものだよ
リラックスして練習してごらん」
「コハも今日、初めて練習するからお揃いだよ
一緒に頑張ろうミーモちゃん」
「ぼくたちも一緒にやりたい」
コハとイチロ、ジロ、サブロにシロ、ゴロとロクロ、ナナロにハチロ、ハトたろに励まされルディに見守られミーモは少し恐怖心が薄らいでいく
みんな、応援してくれてる…怖がっていないで頑張って飛べるようになりたい…
「きいママ子ちゃん、ミーモ、練習する」
「偉いわ、ミーモちゃん
焦らずゆっくり…練習しましょうね」
「うん!」
※
「では、肩の力を抜いて…大きく深呼吸しましょう」
魔女から小鳩に変身したミーモはきいママ子ちゃんとハトたろ、パパのコージュとハスキーのルディに見守られて小鳩たちと羽ばたきの練習を始める
「こうして翼を上下に上げて…下げて…そうそう、みんな、とても上手よ」
「ママ~、こう?」
「上手いわ、シロちゃん、もうちょっとゆっくり羽ばたいてごらんなさい」
翼を動かすのって気持ちいい…生まれてからずっと魔女のままで暮らしていたから鳩の姿で翼を動かす練習なんてしたことなかった…
「おお!! ミーモちゃん、凄いじゃないか! ちゃんと飛んでいるぞ!」
ハトたろに褒められ…ミーモは突然に我に返った
え? 身体が…飛んでる??
バサバササッ…
気付くと身体が浮いて自分が屋根の上を飛んでいる
うそ…怖い…
何でこんなに高いところにいるの? いやだ…怖い!!
無意識に高く飛んでいた恐怖心でバランスを崩して気を失ったミーモを瞬時にきいママ子が飛んで抱きしめると地面に降りた
ストッ…
「ミーモちゃん、大丈夫、もう大丈夫よ
ミーモちゃんは飛ぶ力が優れているのね
加減がわからなくて高く飛び過ぎてしまったんだわ」
「すごいや、ミーモちゃん、ぼく何度翼を動かしてもぜんぜん飛べないよ」拍手をするイチロとサブロ
「コハもなかなか浮くことが出来ないよ ミーモちゃん、上手!」
小鳩たちが褒めてくれているのを朦朧とする意識の中で聞きながらミーモは高いところに自分が飛んでいたショックで震えが止まらない
「ミーモ様、もう大丈夫ですよ 俺を見て…お口をあけてください」
騎士の姿のルディがミーモの好きなチョコレートをポキリと折ってそっと口に運んでくれる
ミルキーな優しい甘さに恐怖心が薄らいで気持ちがだんだと落ち着いてくる
「もう今日はいいよ おいで、ミーモ…」心配するコージュパパに抱きしめられて落ち着くミーモ
「無理に飛ばなくたっていい…この子は高所恐怖症なんだ…」
コージュはミーモの頭を撫でながら震えている我が子に胸を痛める
「でもコージュ、練習すればこの子は飛べるように…」
「こんなに震えてるのにキニー、きみは何を考えてるんだ!」
「この子はまかりなりにも鳩なのよ…私は飛べるようになって空を自由に飛ぶ楽しさを教えてあげたいわ」
「いやいや、喧嘩はいかんよ、二人とも…」
口論するキニーとコージュの間に入り仲裁するハトたろ
「どうしたの? 大丈夫? ミーモ…」
キーモが真っ青になって飛んでくる
「平気だよ、キーモ
ちょっと…びっくりしただけ…パパ、ママ、喧嘩しちゃヤダ…」
「もうっ、パパとママ、ミーモがショック受けてるのに喧嘩しないで」
キーモの言葉についむきになってしまった自分を反省するコージュ
「キーモ、そうだった…パパが悪かったよ…キニー、怒鳴ってすまなかった」
「いいえ、あなたは悪くないわコージュ
それだけあなたがミーモを愛しているんですもの…」
「待ってくださいな、お二人とも…
私の教え方が悪かったんですわ もっと力加減を教えてあげていれば…」
「ママ~、ママは悪くないよ」謝るきいママ子に胸を痛めて泣き出すハチロ
「ねえ、みんな、私、大丈夫だから
ミーモが悪いの 翼をパタパタしてたら気持ちよくなって気付いたらお空を飛んでいてびっくりしただけ
誰も悪くないから…ごめんなさい」
「聞いたかい?
ミーモちゃんの言う通りだ
誰も悪くはないさ キニーもコージュも心配しているだけだ
ましてや、きいママ子ちゃん、きみも何も悪くない
落ち着いたらまた練習すればいい なっ、ミーモちゃん」
「うん、ミーモ、びっくりしたけど…明日、また飛ぶ練習する!」
「待ちなさい、ミーモ、さっきまでお前は あんなに震えていたんだよ…」
心配するコージュの顔をまっすぐに見つめてミーモは言った
「もう大丈夫だよ、パパ
みんな、心配かけてごめんなさい
ミーモ、きいママ子ちゃんのようにかっこよく飛べるようになりたい
だからお願い きいママ子ちゃん
またミーモに飛び方を教えて下さい」
きいママ子は優しい瞳でミーモの小さな手を握りしめながらコクリと頷いた
「ええ、ええ…もちろんよ ミーモちゃん
みんなで飛べるようになるまで明日から又 練習しましょうね」
「ありがとう、きいママ子ちゃん」
優しくて強くてかっこいい憧れのきいママ子ちゃんと約束してミーモは今度こそ怖がらずに飛んでみよう!と固く心に誓ったのだった




