イースター
イースター当日
子供たちが待ちに待ったエッグハントの日がやって来た
「みんな、いいかい?
さっき配ったこの籠に見つけたエッグを入れるんだぞ
僕のエッグの他にもいちばんたくさん採った子にご褒美あるから頑張れ~
さあ、エッグハントスタート!!」
子供たちはドキドキしながらピンクの籠を片手に家じゅうの部屋と庭を行ったり来たり
きいママ子ファミリーの末っ子のハチロ君は よちよちと歩きながらパパのエッグを一生懸命に探している
ルディは嗅覚を頼りにハトたろのエッグを探す
クンクン…クンクン
どうやら庭から愛の匂いが漂ってくるぜ
おっ、薔薇園のほうだ
ピンク色の一重咲きの薔薇の根元にヒョコっと七色のエッグが覗いている
こ、これじゃないかな…とてつもなくあたたかな愛のオーラーを感じるぜ! くぅーん…
ルディがそのエッグを両手で掘ると…七色に輝くエッグにきいママ子ファミリー全員の顔が描かれていた
見ていると胸が熱くなってくる…なんて優しい暖かい絵なんだ
ハトたろ先生のご家族への愛情と大切さが伝わって来てルディは涙が止まらなくなってしまう
すると…
トタトタトタ…
「見つからないや…」
エッグを見つけられずにこちらに向かって歩いてくるハチロの気配に気づくとルディは見つけたエッグを薔薇の根もとにそっと置いて木陰に隠れた
小さなハチロはよちよちと歩きながらこちらに向かってくる
大丈夫かな…転ばないようにしねえと…
「あ~卵だぁ!!」
ルディがわかりやすいように薔薇の根もとに置いたハトたろエッグをハチロは見つけると焦ったように走って来てよろけてしまう
「危ないっ!」
転びそうになる寸前で騎士に変身したルディがハチロを抱きしめてる
「くるるっ…ご、ごめんなさい…きみ、ルディちゃん?」
「お怪我はありませんか? ハチロ様? ルディですよ
驚かせてしまいましたね」
「ごめんなさい、僕…きみを踏んづけてしまった
パパの卵を見つけて慌てちゃったんだ…」
泣きそうになりながらルディにあやまるハチロを撫でながら
「私は頑丈なので大丈夫ですよ
それより、ハチロ様、見つけた卵をお籠に入れましょう」
「うん! お菓子たくさんもらったらママにあげるんだ!!」
「一年分あるそうですよ
ハチロ様はそれを全部、きいママ子様に差し上げるのですか?」
「うん、そうだよ
ママはね、いつも美味しいお料理やお菓子を作ってくれて鳩ポッケに入れてくれたり抱っこしてくれるんだ
僕ね、優しいママが大好きなの
だから全部あげたいんだ」
母親を純粋に慕うハチロの優しさにルディは胸がいっぱいになった
こんなに幼いのに自分じゃなく母親のためにあんなに焦って走って来て…転びそうになるほど…走って…
「おおーん…うぉおおおーん…」
感動のあまり、ルディは騎士から魔性犬ハスキーに戻ってしまい涙を流しながら遠吠えしている
「ルディ、どうしたの?」
「どうしたの? 大丈夫?」
ルディの遠吠えを聞いたミーモとキーモが籠を放り出して走って来た
「あ、ハチロちゃんもいた」
「どうしたの? そんなに泣いて…ルディ、怪我したの? どこか痛いの?」
心配する二人にルディはハッと我に返る
「ご心配をおかけしてすみません
キーモ様、ミーモ様、ハチロ様がハトたろ先生のエッグを見つけられたので感動してしまいました くぅーん…」
「これ、パパの卵なの
僕たちのお顔が描いてあるんだ」
ハチロはキーモとミーモに見つけたエッグを見せてくれる
「ほんとだぁ…ハチロちゃん、すごいじゃない!!」
「わぁ…みんな、そっくりだね~虹色でとっても綺麗…ハチロちゃん、やったね~」
「どうさすった?
みんな、大丈夫なの?」
心配したきいママ子がかけつけてエッグを大事そうに籠に入れているハチロを抱きしめる
「ママ、あのね…僕、卵を見つけて嬉しくて…走って転びそうになったのをルディが助けてくれたの…」
「まあ…そうだったの…ルディさん、ありがとう
あなたのお陰でハチロが怪我をしないですみましたわ…
本当にありがとう…」
「どうした?何があったんだい?」血相を変えてハトたろも走って来た
「パパ、見つけたよ♪」
「おお…お前が見つけてくれたのか!
凄いぞハチロ!! こんなに小さいのによく見つけたなぁ」
涙を流しながらハチロに頬ずりするハトたろは温かい父性が溢れていた
そんなハトたろの背後に桃色のタンポポがポンポンと咲いているのを見たキーモとミーモは思わず顔を見合わせ叫んだ
「父性花だっ」
「ピンクでかわいい~ハトたろちゃんすごい」
「パパ、ピンクのお花咲いてるよ」目をまぁるくして驚くハチロ
「まあ、あなた…見れないのが残念ですわ」
予期せぬ父性花を咲かせ皆に拍手されて照れるハトたろ
※
1時間後…
「い~ち、にぃ~、さ~ん♪」
大人も子供も各自、ハントして籠に入れたエッグを声に出して数えていく
優勝者はインコのピュルちゃんだった
「ピュル、おめでとう 商品のお菓子袋だよ
これはね、魔法のお菓子だから食べてなくなったら、こうして袋を振るとまたお菓子がいっぱいになるんだ」
「嬉しいピュルル♪ パパ、ありがピュル」
「はっはっは、半年はこの魔法が続くからな」
「それからエッグハントに参加した皆にも振ると増え綴けるお菓子袋をプレゼントだ
魔法は三ヵ月続くぞ~」
「やった♪私達も貰えるんだぁ」
「それから…ハチロには…これだよ」
ハトたろは大きなお菓子袋を二つくれた
「ありがとうパパ、どうしてふたつもあるの?」
「ひとつはきいママ子ちゃん用に…
もうひとつは期限なしに増え続けるお菓子袋だ
これはお前が好きなだけお食べ」
「ありがとう…パパ…どうして僕がママにあげたいの わかったの?」
「ああ、パパは甘えん坊の雛のような姿だが、お前がママをこよなく愛しているのを知っているよ
パパのエッグを見つけてお菓子をママにプレゼントしたかったのもな…」
「まあ…ハチロちゃん…そうだったの…」
涙ぐみながらハチロを抱きしめるきいママ子にハチロは期限なしで増え続けるほうのお菓子袋を差し出した
「これはママにあげる
パパ、ごめんなさい」
「いや、いいんだよ…お前は素晴らしい息子だ…」
感動して泣きながらハトたろはルディに向かって手招きした
「ルディくん、これをきみに…」
ハトたろはハチロと同じ大きさのお菓子袋を差し出すとウインクしてルディの耳元で囁いた
「ハチロに譲ってくれてありがとう…お菓子は無期限に増え続けるぞ」
そうだ…子供たちをこよなく愛するハトたろときいママ子はわかっていた
ルディが一番最初にハトたろのエッグを見つけたのに幼いハチロに譲ってくれたことを
そして…彼がミーモにそのお菓子をプレゼントしたくてゲームに参加したことも
「ハトたろ先生…俺は…」
「どうなすった? ルディさん、あなたにはその権利があるのよ
あなたはハチロが転ばないように咄嗟に騎士になって身を挺してこの子を庇って下さった
なんてお礼を言えばいいのか…
これはわたくしからの感謝の気持ちですわ」
なんとルディはきいママ子からピンクのリボンで可愛くラッピンクされた魔性犬が鳴いて喜ぶおやつワンワングルメセットの大袋をもらうことになり
感動のあまり遠吠えがとまらない…
うおおぉぉぉーん…あおぉぉぉーん…「嬉しくて涙がとまりませんって言ってるよ」
ミーモに訳されて微笑むハチロとハトたろときいママ子
「いやいや、ミーモちゃんは素敵なナイトをお持ちだな…はっはっは」
「うん、ハトたろちゃん、ミーモは今にルディのお嫁さんになるのぉ」
く…くぅーん…
頬を染めるルディ…
「は、はは…ミーモ、まだまだ早いぞ…お嫁さんなんて…はは…」
ミーモの発言に青ざめる父親のコージュを除いて 誰もが嬉しそうにお菓子袋を抱えているイースターだった




