そして①
陽はいつの間にか沈みきり、月が空高い場所で輝いている。
全ての襲撃現場を収束させた彼らは、自らの帰る場所へと歩んでいた。
街の至る所は、倒壊や火事に見合われ行き場を失ったものたちが少なからず存在している。
そんな彼らを横目にエリアスたちは、宿舎への帰路についていた。
「…これは酷いな」
「ええ。この惨状が他の場所にもあることを考えたらやりきれないわね」
エリアスとアルディアは、救えなかった者たちを忘れないように瞼に焼き付ける。
もう二度とこのような事態を起こさないように。
彼らは罪悪感で押しつぶされそうでもあった。
「でも、エリアスくんたちがいたからこんなにも救われた人たちがいるんだよ!それは絶対忘れちゃだめ」
レーチェのその言葉に胸を張り、生きていかなければならないと思い知らされた。
「私は、影魔を殲滅するのが使命って言ったの覚えてる?」
「うん」
「私は、この世界を滅茶苦茶にする影魔を殲滅するために生きてきたけど、それよりも私の大切な人たちを奪っていった影魔が憎くて憎くて仕方なかったの。多分、私は私のために影魔を殺していたんだと思う」
「…」
「でも、記憶の世界でね。昔の夢を見たの。影魔に殺されて死んでいった大切な人たちに再会する夢。みんな口を動かして何かを伝えようとしてたけど、何も聞こえなかった。一言以外を除いて。」
「なんて?」
「いつもそばにいるって。その言葉聞いたらさ、なんか情けなくなっちゃって。私みんなの分まで精一杯生きなきゃいけないのに何してたんだろって。だから、私はみんなに胸を張れるように必死に足掻いてみようって決心したんだ」
「やっぱりアルディアは凄いや」
アルディアは、俺とレーチェの前に立ち語りかける。
「エリアス、レーチェ。…私、頑張るから。だから、これからも…よろしくね」
その自信無さげな主張を聞き、俺とレーチェは顔お見合わせる。
そして、少しの間とともに笑う。
「そんなの当たり前だよ」
二人揃って出たその言葉にアルディアも笑みを浮かべた。
月明かりが俺らの新しい道を示し始めたのかもしれない。




