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銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
不吉の島
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呼び声

___エリアス。


誰かが俺のことを呼んでる。


___エリアス、しっかりして!こんなところで死ぬ気?


誰が呼んでるんだ?


___まだ私たちの旅は終わってないでしょ。


旅?ああ、俺は、まだやりたいことなんもできてない。

やっとスタートラインに立てたんだ。

だから、


___だから、あなたいつまで寝てるつもり!!


その言葉に意識が現実世界に浮上する。


俺は、生きている?


まだ、意識がはっきりしない。

額に雨粒がこぼれ落ちてくる。

雨が降り始めたのかもしれない。


それは、違ったみたいだとすぐに気づく。

俺の目の前には、泣きそうなアルディアの姿がそこにあった。


「ハイ、アルディア」

「…エリアス」

「ダリアスは?」

「彼なら、逃走したわ。多分、偽物」

「そっか。でも、君のおかげでまた助かったよ」


それでも、彼女の涙は止まらない。


「どうして、君は泣いてるの?」

「だって…だって…あなたの左手が」


俺は、記憶が途切れる直前の出来事がフラッシュバックする。

確か、俺はダリアスの攻撃を受けて…。


身体を見ると処置をしてくれたみたいだが、消失した左手はやはりなくなってしまっていた。


俺は、無い左手を掲げる。

なんとも言えない無数の感情が俺の中を駆け巡る。

そして、彼はアルディアにこう呟いた。


「生きててよかった」


彼女は、目を大きく見開き驚いたような顔をする。

こんなに酷い目に遭っている人間が、他者に”生きててよかった”と言われるのではなく、自分自身が”生きててよかった”と呟いたのだ。


彼は、絶望などしていなかった。

彼は、希望を抱き今を生きていることを誇らしく感じていた。


「アルディア。君は本当に強いね。でも、俺とレーチェも強くなったんだぜ。だから、すぐに追いついてやる。えへへ!」


アルディアは、彼のその未来を見つめるその瞳にとても勇気をもらった。


「もう、心配して損した。ほら、帰るよ」

「待ってくれよ。まだ、怪我してるんだから」

「もう知らないー!」


アルディアは、一人歩き出す。

それを見ていたレーチェがエリアスの方にやってくる。


「エリアスくん!よかった、生きてて」

「ああ!レーチェこそ無事で何よりだよ」

「俺たちも帰ろう。手を貸してくれるか?相棒」

「もちろんだよ!」


エリアスは、レーチェの手を掴み立ち上がる。

二人はお互いに支え合いながら、アルディアの元へとかけていった。

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