それでも…
俺たちは、あのダリアス=クーパーに勝ったんだ。
俺は、今までにない感情に襲われていた。
いつかとずっと夢見てきた光景。
それは、街人Aという人間からこの物語の香盤表を駆け上がり登場人物となること。
エリアスは、拳を高く掲げる、
今まで溜まっていた何かの感情が湧き出し叫ぶ。
それは、悔しさや悲しさからきたモノではない。自分の理想に近づけたという高揚でもある。
今、起こった出来事は紛れもなくエリアス=レイヴィーという人間を世界が認識した瞬間だった。
「エリアスくーん!!やったね私たちやれた!!」
「ああ!!やれた。レーチェ君のおかげだ」
「ほら、エリアスくん!」
レーチェが俺にハイタッチを要求してくる。
俺は、恥ずかしくなりながらも彼女のハイタッチを受け入れたその時、俺の身体を何かが貫いた。
ハイタッチをした俺は、何故かそれを見上げていた。
___ あれ、なんで地面になんて転がってんだ?
なんか、左側が痛い気がする。
地面に倒れた時に、変なところを打ちつけたか。
でも、いいんだ。
俺は、今、気分がいいんだから。だから…。
「え…」
彼は、左腕を上げようとした瞬間、その違和感に気がつく。
腕の先が無い。
手首から先の部分がなくなり、大量に出血をしている。
「なんで…なんで…。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛いよ。なんで、僕の左手がないの。レーチェ…レーチェ俺どうして…」
俺は、痛さにもがき苦しみながら、レーチェに助けを求めるが彼女の顔は青ざめている。
「なんで、なんであなたが…」
彼女の見つめた先には、あの魔法使いが何事もなかったように立っていた。
「実に面白い魔法だったよ。興味深い。しかし、それだけでは私を殺すなんてことはできないよ」
「ダリアス、クーパー‥」
「なぜ、私が何故生きているのかということが気になるようだが、君は一つ間違いをしているよ。この状況において、生きている方法を思考するのではなく、生き返った相手に対して自分が次なんの行動を取らなければならないのかを思考すべきなのですよ」
なんだ、この化け物は。
影魔よりも怖い。
人間ってこんなにも邪悪な存在。いや、純粋になれるのだろう。
「君は、私を殺そうとした。つまり、あなたは殺される覚悟があるということですよね?」
ダリアスの言葉に対して、俺は逃げ出そうとした。
が激痛で身体をまともに動かせそうにない。
「レーチェ…君だけでも、は、やく。逃げろ」
レーチェは俺の言葉を聞くなり、逃げるのではなく彼を前に立つ。
「エリアスくんは、殺させないから。絶対に!」
「妖精に守ってもらえるなんて、君は、妖精に愛されてますね、エリアスくん?」
ダリアスがステッキを俺たちに向けようとしたその時、銃声と共にステッキが地面へと落ちる。
俺たちは、銃声の方を見つめる。
そこには、俺たちのよく知っている人物たちがそこにいた。
「エリアス。助けに来たわ!」




