記憶の魔法
____白き槍。
これは記憶の世界の中で、レンとエルメスがエンゲージをして使用していた妖精魔法である。
妖精には、使える魔法というのが存在する。
人間世界の魔法使い同様に、天才と呼ばれるもの達は異なる魔法を多用できるが普通の妖精は、そう簡単にはできないというのが、現実であった。
だから、エンゲージをして使えるエリアスたちの魔法は、レーチェが得意な風魔法である。
が、今、エリアスたちが使用している魔法は、明らかなるそれと異なる魔法。
しかも、レーチェては無くエルメスの魔法。
「意外と何とかなるもんだね」
「エリアスくん!集中切らせないでー。これ維持するの大変なんだから!」
「わかってる。早いところ終わらせよう!」
彼らがどうしてエルメスの魔法が使えたのか。
それは、レーチェの特性の部分が大きい。
レーチェは、本来記憶の妖精である。
自身が実際に見たことは、忘れることはない。
だからこそ、彼女は古書に住み着きそれを記録している。
ということは、レーチェの記憶を辿って別の魔法をトレースすることは可能ではないかということにエリアスが気がつく。
しかし、トレースは出来てもその魔法自体に威力が出ない。
魔法に性能はあるが、まさに張りぼて。
そこで、エンゲージをすることによって、トレースにレーチェの魔力を使用し、それに芯の部分の魔力供給をエリアスが行うことによって、レーチェが見た事ある魔法なら実質、何でも使用が可能となった。
「君たち、面白いね!いいよ、かかってきなさい」
紳士はこちらへ手招きをする。
「レーチェ!」
「いくよーエリアスくん」
2人の掛け声とともに、白き槍が12本創造される。
「一斉発射!!」
その掛け声とともに槍は紳士に向けて放たれる。
が、紳士は再び、地割れから黒き手を生み出し、その槍を一つ一つ排除していく。
___妖精魔法 白吹雪
自らの戦場に吹雪が起こり、視界が遮られる。
この状態をエリアスたちは待っていた。
白雪魔法使用1発分の余力だけを残し、レーチェは、風魔法を使う。
吹雪の中に紳士に向けての一直線の穴が生まれる。
エリアスは、白雪で造形した弓と矢を取りだして構える。
これが、俺たちが生み出した創造魔法。
俺たちの全力全開だ。
___創造魔法 霞。
その小さな穴を通り、矢先は紳士を貫いた。
次第に吹雪は通り過ぎていく。
過ぎ去った場所には、青年と妖精だけが拳を高く突き上げていた。




