快楽か正義か
ハルカゼは、再び刀を手に相手へと移動。
その勇姿とも無謀ともいえる姿は、エリアスには正義の味方のようにも見えた。
しかし、いくら攻撃を繰り出しても相手の男性には、その切っ先が届かない。
防御魔法を自身に張っているようで、その刃を通さないのだ。
恐らくレーチェやエルメスの防御魔法より強固である。
ハルカゼは、相手と一時的に距離を取り、息を整える。
腹部からの出血は未だ止まらず、激しい運動のせいでより出血量が増えている。
「あんた、強いね。」
「それは、気に入ってもらえてありがとう。しかし、私にもやるべきことがあってね、そろそろこのつまらない争いも終わらせたいのだが、いいだろうか?」
その男は不敵に笑う。
「気に入らないね。こんな滾る戦いはそう何回も出会えるもんじゃない。まだまだ私を楽しませて」
そういうと、ハルカゼは精神統一をし集中力を一層深める。
そして、一閃。
風よりも早く雷やりも早いその攻撃に相手も一瞬で遅れた。
これなら、攻撃が通る。
そう誰しもが確信していたが、それはただのまやかしだった。
攻撃は、当たらなかった。
正確には、その雷のように速い一閃は、相手も予想だにさず、その攻撃に対しての退避行動は遅れていた。
が、事前に張り巡らせていた、トラップ式の魔法に引っかかり、自身の速度と魔法がぶつかり、よりハルカゼは攻撃を逆に食らってしまう。
「君は、速さが攻撃の全てのようだけど、全て一直線すぎる。純粋過ぎるのだよ」
地面に倒れ込むハルカゼに語りかける男性。
「な、なに…」
「君はただの快楽主義者で正義の味方なんかじゃないのさ。君は今、純粋にこの殺し合いを楽しんでいるからね」
「私は、私は…強い者を倒し世界を守る、正義の味方なんだ、、。師匠のように私は」
「君とのやり取りはもう退屈だ」
彼が指でピストルのように構え、バンッと呟く。
その言葉とともに、何かがハルカゼの身体を穿いた。
ハルカゼは、動かなくなった。
俺はその地獄のような光景をただ見るしかなかった。
で、どうする?
この状況、俺は何をしたらいいんだ。
多分だけど、俺たちはまだあいつに気づかれてはいない。
今なら、逃げることだって…。
___逃げる
逃げていいのか。
何かできるかもしれないのに、何かを変えるために修行までしたのに。
自分の宿命と立ち向かうと決めたのに、俺は逃げていいのか。
今までと同じでいいのか。
___このままじゃ嫌だ。




