救世主という名の装置
___過去の世界ってどういうこと?
レンが俺達に話しかけてきた。
「俺たちは、この時代より遥か遠くの未来からやってきたみたいです」
「未来…。よかった、未来は存在してるんだね!」
レンは、少しほっとしたような表示をした。
そりゃ、そうだ。
突然、世界を救済するのに選ばれてここまでやってきたのだ。自身の旅に意味があったのだとわかれば、俺だって安堵するだろう。
「エルメス。ここは今どこら辺なの?」
「ここは、ヴァルーク領土内にある島よ。ここに狭間の門が完全顕現したの」
狭間の門の完全顕現。
それは、自然消滅はもう決してありえない。
ルナ=グローチェを用いた閉門方法でしか事を終わらすことができないのだ。
「あの、こんなこと聞いていいのかわからないんだけど…君たち以外にその、仲間とかは居ないの?」
俺のその発言はさすがに空気を読まなすぎかとは思った。
でも、俺はそれを現実を知らなければならないと思ったのだ。
レンとエルメスは、少し寂しそうな顔をしてからその言葉を口にした。
「みんな、死んじゃったわ」
その言葉に色はなく淡々と綴られた。
レンの口から放たれたその言葉を聞いて、もう少し人間らしく、悲しいとか悔しいとかそういう感情の色があってもいいように思えたが、彼女の力強く握られている拳を見て、わかった。
この旅は、救世主は決して折れてはいけないのだ。
救世主とはこの世界の装置だということをより実感する。
感情に任せて心が折れてしまえば、世界が終わってしまいより多くの人が亡くなってしまう。
リュミルの意志を継ぐ者という証は、なんて残酷な運命を背負わせるのだろう。
「すまない。嫌なこと思い出させて」
「ううん。私こそ、ごめんね」
寂しそうな心を隠すようにニコッと彼女は、俺に笑いかけた。
そんな雑談をしていると、レーチェとエルメスが何かを感じ取る。
「何かヤバい!?2人とも隠れて!!!」
その次の瞬間、銀霧が膨大に流れ込み視界が途切れる。
「レーチェ!レン、エルメス!!いたら返事してくれ!」
しかし、誰の声も届かない。
隔絶された空間のようだ。
俺は、この銀霧の中をゆっくりと歩き始める。
進むにつれて霧は次第に晴れていく。
そして、俺の目線の先に誰かが倒れていた。
俺は急いで、その人の元へと駆け寄る。
「おい、大丈夫か?」
返事をかけたその人は、レンであった。
「エリアス。良かった無事で」
「何があった?」
「あいつが突然現れて、私も戦ったんだけどちょっと厳しいかも」
「あいつ?」
「ここにいたら、危ないから。一刻も早く逃げて、、」
そう言いながら、傷ついた身体を無理やり動かすレン。
ゴガゴギギ、、、。
何かの音が響き渡る。
何かやばいのがいる。
さすがの俺にもそれだけは瞬時に理解出来た。
目の前の視界が暴風と共に澄み渡った瞬間、そいつが俺の前に姿を現した。
目の前にいたのは、1人の少女であった。




