まだの世界
その人は、俺とあまり変わらないくらいの歳の女の子だった。
俺は彼女から差し出された手を取り、立ち上がる。
「助かった。ありがとう」
「いえいえ!無事で良かったよ!…でなんで君たちはこんな所にいるのかな?」
「えーっと、なんて説明したらいいのか、、。今俺たちは修行中というか…なぁ、レーチェ」
「そうそう、そうなんだよー!」
俺たちのこの抽象的な説明で伝わるのかと思っていたのだが、彼らは最初は驚いた顔をしていたが、なぜかニコニコしながら先ほどよりこちらに近づいてくる。
「ねぇねぇ貴方、妖精が視えるの?」
「ああ、視えることしかできないけど…」
彼女は、すっごく嬉しそうな表情を浮かべ俺に抱きつく。
「え!?あの、え!!?」
「貴方も視えるのね!同じように視える人と出会えて嬉しい!」
抱きつかれて困っている俺を見るや、彼女の隣にいた妖精が俺から彼女を剥がしてくれた。
「もうちょっと同士の温かみを感じたかったのにー」
「レン!もう少し人としてのパーソナルスペースを考えなさい」
「だってー」
お姉さんと妹の会話みたいになっている。
「あの、君たちは一体何者なの?」
「私は、レン。レン=リチャット。こっちは白雪の妖精のエルメス。私たちは、世界救済のために旅をしているの」
「世界救済…。もしかして君は、リュミルの意志を継ぐ者なの!?」
「ええ、そうよ」
あっさりとそうだと告げられた。
でも、レーチェは何かを違うような考えた顔をしている。
「君は、エルメスだよね。でも、エルメスは確か以前、世界救済をしたとき…羽がなくなり人間になったはずだ。でも、君はなんで?」
「何を言ってるんだ。私は妖精のままだと、今はね」
話がこんがらがってきた。
レーチェは、世界救済をしたからエルメスが妖精でいられるはずがないと主張している。
でも、エルメスは、まだ妖精だと言っている。
これは、おかしい。
レーチェは記憶の妖精である。
彼女が生きている限り、その過去は永遠と彼女の中で記憶として蓄積されていく。
レーチェが、エルメスが妖精に堕ちたと言うことは、揺るぎない事実なんだ。
ここで、俺は、レンの方を見てその不可解さを感じて。
確か、伝承”堕ちた妖精”では、ルナ=クローチェをリュミルの命を使い効力を発揮することができた。
と言うことは、まだレンは、ルナ=クローチェを使ってはいないと言うこと。
「レーチェ、これはもしかしてだけど…」
「多分、そう言うことだね、エリアスくん」
「俺たち、過去の世界に迷い込んだ!?」
2人の声が、空高く響き渡った。




