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銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
伝承『堕ちた妖精』
6/87

堕ちた妖精⑤

__あたしは、この状況を知っていた。



それは、今よりもずっと昔の話

人間が村で生活を始める少し前くらいの出来事だ。

その時も今日と同じように突然、空に雲がかかり、どこからか銀色の霧が侵食し始めた。

その霧の中には、ここには絶対存在しないようなものが突如出現した。




それは、門。

この世界と向こうの世界を繋げることができる。

その名は、狭間の門(リトルノゲート)

この門を通り、向こう側からやってくるこの世界に仇成す存在を影魔(ファントム)と呼ぶ。



これがあの時の再来なのだとしたら、リュミルが危ない。

セピルは急いで、彼のもとへと向かう。





絶体絶命のピンチとはこういう事態の時に使うべき言葉なんだろう。

リュミルはそう思った。

何かこの状況を打破できる策はないか、思考を駆け巡らせる。

その瞬間、一つの策を思いつく。

この策以外に、この状況をまず切り抜ける方法はない。

だから、彼はすぐにそれを行動に移した。



____彼は、全力で逃げた。



策なんてものは、あの一瞬でそう簡単に出てはこない。

なら、できることをする。

それは、危機的状況から離脱だった。


玄関を飛び出し、村の外に向かって全力で走る。

後を振り返る余裕なんてない。

とにかく、遠くへ逃げなくては。


すると目の前に見覚えのある人たちが姿を現した。

「おっちゃん!!!」


それは、この村の住人だった。

リュミルは、この村で生者を発見して少し安堵をする。

しかし、呑気にしている時間はない。

この場所には、安全なところはないのだから。


「おっちゃん!この場所は危ない。…とにかく逃げないと!」


しかし、おっちゃんから返事はない。

「おっちゃん、ボケてる場合じゃないんだって。急がないとあれが…」

再度、声をかけるが返事はない。


その代わりおっちゃんはこちらに気がついたのか、行動を起こした。

気がついたら、宙に体が浮いていた。

おっちゃんは、人間の力ではない圧倒的な力で僕の頭を鷲掴みした。

「どうして…」


頭が割れそうだ。

このままじゃ殺される。


”ドシン”


何かが地面に落ちる音。

その音と共に僕は、地面に尻餅をつく。


何が起こったのか?

それを理解するのに、今回は時間はかからなかった。

そう、彼女の声が聞こえたから。



「リュミル。助けに来たわ!」















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