宝石の記憶
眩い光が次第に落ち着き始めると俺たちは、先ほどとは違う場所にいた。
そこは、何か輪郭を帯びていない不安定な世界。
そして、目の前に1人の女性が立っている。
その女性は、背広を着ておりフォーマルな印象であり、年齢不明な違和感を感じさせる人であった。
左目には眼帯をつけていた。
「君たちが、そろそろここに来ると思っていた」
「師匠、ご無沙汰しております」
ダリルは、彼女に対して返事をした。
師匠?誰の?
どう見てもダリルよりも見た目は、若そうに見える。
キョトンとしている俺とザックを見て、ダリルは説明をし始めた。
「この方は、カタリナ=ラジス。私の師匠であり、宝石術の生みの親です」
「皆、よろしく頼む」
少し硬い言葉を使うが、品性があり凛々しい。
「カタリナとよんでくれ。さて、ここに来たということは、お前も覚悟を決めたみたいだな、ダリル」
「はい」
アルディアは、今の状況がよくわからず、代表して質問をダリルにする
「あの、ここはどこなんですか?」
「ここは、宝石の記憶の世界、ジェムルーム。ここで君たちは修行をしてもらう」
「ジェムルーム…」
「ここは、宝石たちに刻まれた記憶の場所であり、外界で隔絶されている場所である。だから、外の世界とは、時間の進み方も異なり、まぁ、ここに7日間滞在したとしたは、外界では1日というところかな」
「凄い…」
「しかし、恐らくだが今日中に本番の襲撃があるだろうな。奴らも知性のある種類が今回は頭を張っているらしいから」
「ちょっとまってください。その言い方だと、影魔に知識があるものと無いものがいるんですか?」
「そんなの当たり前じゃないか。おい、ダリルよ。そんなこともお前は伝えてなかったのか」
「申し訳ありません、師匠」
ちょっとまっててほしい。
情報が膨大すぎてついていけない。
影魔には、知性のあるものと無いものがいる。
確かに、言葉を喋る影魔と単語しか話せない影魔がいたような気がする。
「君たちは、影魔のことをどのくらい理解している?」
「狭間の門からやってくるこの世界の脅威です」
アルディアが答える。
カタリナは頷きながら、その続きを語る。
「そうだ。しかし、それだけが全てではない。奴らが人を殺すのは、食事をするという本能的な言動なのだよ。そして、それを繰り返すことによって存在が進化していくのさ」
「存在の進化?」
「ああ。彼ら、人を食すことによって人と同じ身体になれば、より人を食すことができるという端的な知性を得る。そのため人を殺し、食べ残った皮を被る。人間になりすました影魔は、より人を食べ続け、食べた人間の知識を獲得していき、人間になっていく」
「人間になっていく…」
「君たちも出会ったことあるだろう、人間の姿をしながらも影魔と同じような力を持っている存在を。恐らくだが、今回の襲撃はこの知性ある上級影魔が指揮していると考えられる」
確かに昨日の襲撃も知性のある連携だったように魔思えるし、今日本番の襲撃をしたほうが襲われる側は、対抗する準備する時間もないため手早くことを終わらすことができる。
「その自体が予想されたため、君たちに説いたのです。戦うのかどうかを。そして、君たちはその結論を自分自身で出した。だから、ここにやってきたのです」
カタリナがこちらに近づきながら話し始める。
「君たちは自分が知らない可能性が眠っている。これより試練の石を用いた修行に入る。皆、心の準備は良いか?」
俺とザックは、どうなんだろ。
その不安を悟られたのかカタリナは、言葉を続ける。
「ここにいるもの全員の話をしているだ。臆することはない。…さぁ、修行の時間だ!」
___カタリナの言葉が、響き渡った。




