2人の時間
いつもより目が覚めた俺は、宿舎の食堂へと向かっていた。
朝が早いこともあり、まだ食堂に人も少ない。
俺は、窓側の空いている席に腰を下ろし、食事を始まる。
ちなみにレーチェは、朝が弱いらしく、まだ部屋で寝ている。
これぐらいの距離だと、一緒にいなくても大丈夫だということがつい最近わかってきた。
ここ最近、レーチェには大変負担をかけているから、こういう休めるときには休んでほしい。
俺は、焼きたてのパンとスープをゆっくりと味わう。
そういえば、セレーノにいた時は、本ばかり読んでいて朝食も珈琲しか飲んでいなかったことを思い出す。
まだ、この旅に出てからそんなに時間は経っていないはずだずだが、随分長く旅に出てくるようなそんな感傷的な気分にもなった。
ふと、俺の席に向こう側に誰かが腰を下ろした。
他の席はまだたくさん空いているのに、なぜそこを選んだんだと疑問に思っていたら声をかけられた。
「お、おはよう」
その声の主は、アルディアだった。
「おはよう。アルディア、朝早いね」
「なんか目が覚めちゃって。ここ座っても?」
「もう座ってるけどね。あ、そっか!」
彼女も朝が弱いのかもしれない。
俺の中でそれは少し安心する材料でもあった。
「昨日は、ごめんなさい。多分、貴方に嫌な思いさせたと思います」
「俺のことはいいよ。アルディアは大丈夫なの?」
「私、ですか…?自分でもよくわからないんです」
「わからない?」
「自分がよくわからなくなって。エリアスは、私にことどう見えてる?私は。守るために力を震えてるかな、それとも守るという理由をつけて影魔を殺すことを楽しんでいるのかな…」
彼女が、またあの曇った瞳をしていることに気がつく。
「俺が思うのは、アルディアが今、どう在りたいかじゃないかな?」
「在りたいか…。ダリルにも同じようなことを言われたわ」
「ダリルに?」
「どうなりたいのか。どう在りたいのかと彼には言われたわ」
「それで君は答えたの?」
「答えられなかった。でも、在りたいという話だったら、今は、”この力で人々を守りたいってそう思う。もう、誰も失いたくないから」
彼女は、多分わかっていたんだと思う。
でも、力というのはその人を魅了してしまう。
何か大事なことを忘れさせてしまう時が、多分あるんだと思う。
彼女は、俺と出会うまでの旅はずっと1人だったと以前話してくれた。
それは、心の拠り所もなく、ずっと1人で全てを受け止め足を動かしてきたんだ。
だから俺は、今、彼女の隣にいるのだから、その”在り方”を少しでも支えたいと思った。
「俺も、頑張るから」
「え?」
「俺もアルディアの支えになれるように頑張るよ。だから、少しは俺のことも頼ってほしい」
頼るなんて言葉を久々に聞いた。
もしかしたら、誰かが言ってくれていたのかもしれないけど、私の耳には、心にはどの時届いてはいなかった。
しかし、彼はなんか不思議だ。
「ええ。私のこと支えてね。エリアス」
アルディアは、今まで見せたことのない優しい顔をしていた。




