在り方
今日の襲撃を無事に乗り越えた夜中、アルディアは一向に眠ることができなかった。
昨日のハルカゼとのやりとりから何かがおかしい。
というよりも、自分の中の邪悪な心が目を覚ましたようなそんな感覚さえ覚える。
「なんで私は、あの時笑ってしまったんだろう」
目の前だ人は殺されているのに、笑うなんてことは今までなかった。
でも、あれが本当の私なのだとしたら?
もし、そうだった場合、私は使命とか仇だとか言い訳をあげているが、本当は影魔をただ殺して楽しみたいだけの狂人なのではないかとも思ってしまう。
考えれば考えるほど、今までわかっていた自分のことなんて疑心暗鬼になってしまう。
私は、このまま殺し続けていいのか。
”トントン”
こんな真夜中なのに、誰かが部屋のドアをノックした。
「余分遅くにすみません。ダリルです」
アルディアはその声を聞きホッとしてのか、ドアを開け彼を招き入れる。
「どうしたんですか?こんな時間に」
「いやね、ちょっとあなたのことが気になってしまって」
アルディアに招かれ、席に座るアルディア。
「私、何かおかしいでしょうか?」
「昔の私を見ているような気がしてしまって。自分を見失った時の自分を」
その見透かされたような言葉に、ゾッとする。
「アルディアさん、あなたのその銃はなんのための銃ですか?」
「これは、影魔を殺すためのものです」
「その答えは、半分正解です。でも半分不正解とも言えます」
「それってどういうことですか?私たちヴァーラインの家は、昔から影魔退治を生業にしてきたんですよ。今の答えは間違ってはいないはずでは?」
「間違ってはいません。でも大事なことを身をとしてませんか?」
「大事なこと?」
「どうして、影魔を殺さないといけないのか。という点です」
「そんなの決まってます。影魔が人を殺すからです。だから私たちも奴らを殺します」
「そうですね。でも、その言い回しは”殺す”から”殺す”という理論になっていませんか?」
「それの何が間違っているんですか?」
「”守る”ために”殺す”のです」
一瞬の間。
ダリルの言葉を聞いて、ハッとするアルディア。
「誰かを守るために、戦ってきた。というのが本当の在り方ではないのでしょうか?」
「……」
「私もあなたと同じような経験があります」
「え…?」
「私も宝石術という普通とは異なる力を得ました。こういう特別な人間になると多分、起こり得る問題なのでしょう。自らが望まなくても争いに巻き込まれていく。私も家族も一族も滅ぼされていますからね。もう、私しかいません。その後、私は影魔を殺し続けました。そこに残った感情は、怒りと達成したという快感だけでした。私も一応色々あって今に至りますけど、あの時ただ殺す戦いだけじゃなくて、守るという戦い方もできたらと後悔があります」
「……」
「あなたのその目は、余裕がなく現実逃避です。本当の自分を見つめてください。あなたは、本当はどうなりたいのか。どうありたいのか。それが1番自身にとって大事なことだと私は思います」
そうダリルは語ると、年長者の経験談ですと言い残し部屋を後にした。
アルディアは、部屋の窓から外を見上げた。
月明かりが彼女を優しく照らしていた




