不吉な予感
全てが片付いた頃に、俺たちはダリルと合流した。
やはり今回の襲撃は、各所で起こっていたらしく、ダリルのところにも現れた影魔のせいで、こちらへの合流が遅れたらしい。
一応、ハルカゼたちによって最小限で被害を防ぐことはできたんだと俺は思う。
結局、俺はまだ何もできなかったけど。
それよりも俺の中で不安の種が確信に変わったものがあった。
それは、アルディアのことであった。
あの一瞬だけだったが、彼女は、”不気味に笑っていた”。
何かの歯車が決定的に噛み合わなくなったようなそんな壊れた表情をしていたのだ。
だから宿舎に戻った後、いつもと変わらない表情をして隣にいる彼女が俺には少し怖く感じた。
「今回の襲撃は、多分予行練習のような気がしますね」
ダリルが俺たちに話し始めた。
「それってどういうことですか?」
「度重なる影魔の出現は、近年では珍しいんです。そして、統率の取れた行動をしていた。私たち脅威となりそうなものたちの実力を窺っていたようにも感じます」
「つまり、私たちの実力を見極めるための襲撃で、次の襲撃が本番だということですね」
「あたしは”悪”を斬れたらそれでいい」
「いやいやいや、よくないでしょ?これって次も襲撃があるということだし策を講じないと、今回よりも被害が出るから」
「ああ?そんなの関係ねー。片っ端から斬ればいい。そうだよな、アルディア?」
ハルカゼの一方的な理論は、アルディアも巻き込む。
いつもならその言葉に反論の一つでもいうのだが、今日は違った。
「ええ、そうね。殺せば何も問題はないわ」
彼女の言葉に流石に、俺以外も違和感を感じたのだと思う。
「しかし、それでは無闇に罠に引っかかりに行くようなもの。そのような考えは、アルディアさん、やめましょ。自らの命を軽んじてはいけません」
「わかりました」
淡々とアルディアは、返事をした。
今日は襲撃もあり、一旦お開きとなった。
明日は周辺の聞き込みをして、夜対策を練ろうとのことだった。
俺は、自室へと戻ってきた。
1日走り回っていたせいもあってか、全身が筋肉痛になりそうな疲労感があった。
俺は、ベットに腰掛けると窓際の椅子に座っているレーチェに声をかける。
「あのさ、アルディアなんか様子が変じゃなかった?俺たちの知っているアルディアじゃないみたいな」
「あたしもそう思ったー!なんか今のアルディアちゃん怖い」
「なんか、今のあいつを戦いの場所に連れて行きたくないなって…。でも、アルディアがいないと守れる人も守れなくなっちゃうけど」
俺は、ベットの上の転がり込み、天井を見上げた。
レーチェは、俺の声をかける。
「エリアスくん。君はまだ自分にできることがあるはずだよ。そのために君は一歩前に踏み出したんだから」
俺はベットから起き上がり、身支度を整え始める。
「レーチェ、疲れてるとこ悪いんだけど、今日も付き合ってくれ」
「当たり前だよ、エリアスくん!」
レーチェはニコッと笑い、俺たちは自室の扉を開けた。




