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銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
不吉の島
53/87

襲撃

事件は唐突に起こる。



まさか、この昼間に何かが起こるとは思っていなかった。


俺たちがダリルとの集合時間に着いたその時、誰かの悲鳴が街に響き渡った。


その声を聞こえた途端、ハルカゼは、我先と俺たちを置いてその声の方向へと走り去る。

俺とザックたちも急いでハルカゼを追いかけた。


俺とザックが到着した時、何が起きたのかは一目瞭然だった。

目の前には、露店いくつかはめちゃくちゃに壊されており、地面に散乱している。

そして、その地面に散乱しているものに向かって、赤い液体が次第に付着していく。


俺は、赤い液体がなんだか知っている。

身体が強ばるのが自分でもわかる。


ボサッ


何が地面に投げ捨てられた音がした。

俺たちは、その音が鳴った方に顔を向けると、あの時と同様に人の屍が転がっていた。


そして、それに気を取られるのも許してくれないらしく、目の前に甲高い音が鳴り響き、俺たちは現実に引き戻された。


「あんたから悪の匂いがする」

「オ、オマエ、、コロス」


ハルカゼは、手に持っていた刃を持ち直し、再び目の前の影魔(ファントム)に攻撃を仕掛ける。

やはりハルカゼは強く、一瞬にして目の前の影魔が倒される。


しかし、ハルカゼは戦闘状態を解こうとはしなかった。

次の瞬間、俺の背後から何者かが現れ攻撃を仕掛けてくる。

死を覚悟したが、レーチェが風の防壁を張り、その攻撃を間一髪で凌ぐ。


背後を確認すると、そこには、2体の影魔(ファントム)が立っていた。


「なんで、影魔(ファントム)が2体もいるんだ?」

「わからねー。でも、エリアス、俺たちやばくないか?」


俺もザックも戦闘経験があまりない。

いつもアルディアかダリルが助けてくれた。


ハルカゼの方を見ると向こうにも2体。

これは、万事休すというものらしい。


ダルクの時みたく逃げることはできない。

俺たちが逃げてもまだ逃げていない人々が確実に襲われてしまう。

どうしたら…。


俺は、思考する。

今、何をすべきなのかを。

そして、覚悟を決める。

”あれ”をするしかないと。


俺は、影魔(ファントム「)の前に出ようと一歩を踏み込んだその時、銃声の音が鳴り響く。

そこには、アルディアの姿があった。



彼女の放った銃弾は、1体の影魔の脳天を打ち抜き、消滅する。


その光景を見たもう1体は、彼女に攻撃を仕掛けてくる。


「オ、オマエ…カラ…コロ、ス!」


影魔(ファントム)の攻撃がアルディア目掛けて繰り出されるが、彼女は素早くその攻撃を反転して交わし、相手の後頭部に銃口をつける。


そして、彼女は0距離で脳天をぶち抜いた。

血飛沫が、彼女に降りかかる。


俺は、アルディアのもとに駆け寄り声をかける。

「アルディア、大丈夫か?」


しかし、俺は途中で駆け寄ることをやめてしまった。


「ええ、大丈夫。さあ、早く影魔(ファントム)を殺しましょ」


そう言い彼女は、不気味に笑っていた。

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