何かを抱えて
時間は、更に過ぎていった。
俺たちは当初の目的でもあったアルディアを探しているのだが、見つからない。
それでも、探しに走り回る。
今、声をかけないと駄目だと俺に語りかけているようなそんな気がしたのだから。
メインストリートを外れた先にある噴水広場の端のベンチに1人佇む少女の姿がふと目に映る。
俺はゆっくりと彼女のところに近づき、同じベンチの端に腰を掛けた。
「何か用ですか?1人になりたいって言ったと思いますが」
「うん、知ってる」
「では、1人にさせてください」
「うーん、それは出来ないししちゃいけない気がする」
「なんですかそれ?」
彼女は、冷たく俺を引き離そうとしてくるが、俺は会話を続けた。
「なんかあったのか?」
その言葉に彼女は、一瞬こちらを振り向くが直ぐに違う方を向く。
「なんにもないですよ。ただ、1人になりたかっただけです」
「俺には、なんか悩んでるように見えたから。違う?」
エリアスの言葉にドキリとする。
上手く隠しているはずだった。
別に今の心理状態でも戦えるのだから。
だから、私は大丈夫。
迷うことは無い。
私はハルカゼみたいに影魔を倒すことの高揚感を味わいたいから戦っているんじゃないんだ。
私は私の宿命。
敵討ちをするために戦っているんだ。
だから。
「いや、なんにもないよ」
結局アルディアの口から聞けた言葉は、それだけだった。
結局俺は何をすることも出来ないまま、ザックたちに遅れて合流した。
彼女の元から去る時、彼女の姿は何かに怯えてるような気がした。
◇
ザックたちと合流した俺は、メインストリートを見て回っていた。
ハルカゼは、ニコニコしながら歩いている。
戦闘をしている時の全く違うのに俺は、少し恐怖を覚える。
どっちが本当の彼女なのだろうと。
「なー、ちょっとあの店を見てもいいか?」
ザックがその店を指さした。
ダリルとの集合時間も迫っていたが、この店ぐらい寄っても大丈夫だろうと思い、俺たちは店に入る。
その店は、アンティークショップのような場所であったが、主には何かを作るための素材を売っているところだった。
「なあ、ザック。ここで何か買うものがあんの?」
「職業柄必要なものだよ」
そういえば、ザックはカラクリ技師だった。
彼はそう言っていたが実際その仕事ぶりを見た訳ではなかったから忘れていた。
「何かカラクリを作るの?」
「ああ。まぁ、完成するかも分からないけどな」
ザックは、一通り自身の必要なものを選び、購入。
店の外に出ようとした時、何かを発見する。
「おっちゃん、これは売り物?」
ザックが指さした先には、カラクリが無造作に積み重なっていた。
「いや、それはスクラップボックスだ。使い物にならないカラクリをここで回収してるんだ」
「そうか」
ザックは、何かを思ったのだと思う。
けれど、その後の言葉はなく、俺たちは店を後にした。




