視える者
俺たちは、街の中心地へと馬車を走らせていた。
何故かハルカゼも俺たちと一緒に同行している。
ザックと仲良くなったらしく、ザックもハルカゼのことを姉のように信頼しているようだった。
気のせいかもしれないが、少しアルディアの様子がおかしいようにも思えた。
何か思い悩んでるような感じがしたんだけど、勘違いだったかもしれないと思い、声をかけなかった。
「なあなあ、ハルカゼの師匠ってめちゃくちゃ強いんだよな?」
「ああ。私なんていまだに一度も勝てたことはない」
ダリルが気になっていたことでもあるようで彼女に質問する。
「ずっと気にはなっていたんですが、ハルカゼの師匠ってもしかして、ナオユキ=フタバではないですか?」
「ああ、そうだけど」
「え!!!ナオユキ=フタバってフタバ流正統後継者のナオユキ=フタバのことですか?」
俺は、ハルカゼに質問攻めをする。
「え?うん。師匠ってそんなに有名人なの?」
「有名人どころじゃないよ。彼が一部では彼は勇者なのでは?とも言われているくらいなんだから」
「あの馬鹿師匠がねー考えられないわ」
「皆さん、見えてきましたよ」
ダリルの声と共に、俺たちは前方に広がる街を見渡す。
ここが、独立自由都市。
俺たちは馬車をおり、街の中へと足を踏み入れる。
露店や市場も活気がよく、この街の人たちは希望に溢れている。そんな雰囲気を俺は感じていた
「私は、本業があり2時間後にここで落ち合いましょう」
そういうとダリルは仕事に向かっていった。
俺は残ったメンバーと街を回ろうと思っていたが、今日は1人になりたいとアルディアには断られてしまった。
やっぱりに昨日何かあったのかもしれない。
「ごめん、俺ちょっとアルディアに用があるから先に回っててくれ!」
「おお!じゃあ、また後でなー!
俺は、急いでアルディアを追いかけるが、人が多くて見つからない。
とりあえず、もう少し奥の方も調べてみるかと思い、大通りを付き進むと1人の少女とすれ違った。
どこにでもいる普通の少女。
その子は、こちらを見て、ニコッと会釈をした。
その時、側にいたレーチェが俺の服の裾を引っ張る。
「レーチェ。どうした?」
「今の子なんだけど」
「ああ、感じの良さそうな子だったな」
「そうじゃなくて…視えてた…」
「え?」
「あの子、私のこと視えてた」
レーチェの唐突の発言に、俺はすぐにその子の方を見るが、そこには彼女はいなかった。
「あの子会釈した時、あたしの顔を見ながら会釈したんだよ。間違いない。彼女は、もしかしてリュミルの意思を継ぐものかも」
その後、レーチェと共にその女の子を探したが、結局見つけることはできなかった。
時間をかけて探してしまった関係で、アルディアのことを完全に見失ってしまった。




