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銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
不吉の島
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正義感か高揚感

アルディアは、今宵も鍛錬に明け暮れていた。


自分がもっと力をつけなければ、何もかも失ってしまうということを身をもって知っていたから。

そこにハルカゼがやってくる。


「あんた、こんなところで何やってんの?」

「日々の日課の鍛錬です」

「へーそうなんだ」

「貴方もなんでこんなとこ…」


言葉を最後まで聞かずに、ハルカゼは彼女に向かって刀で斬りかかった。

アルディアはなんとか避け、彼女に問う。


「どうしてこんなことするんですか!!」

「あんたが強そうだからだよ。私は、強い奴と戦いたいんだ!!!」


ハルカゼは、ニヤリと笑いながら手に持った刀を目にも止まらぬ速さで振り続ける。

接近戦の鍛錬も行なっているアルディアだが、接近戦が得意というわけでなはい。

接近戦も踏まえながらの中距離戦闘が得意なアルディアにとって不利であった。


ハルカゼの攻撃は、今日見た軍服と対峙した時みたく風のような音を携えて空を斬る。

ここまでの力をつけるのにどれほど修羅場を潜り抜けてきたのかわかる。

しかし、こんなところで倒れるわけにはいかない。

私には、影魔(ファントム)を殲滅するという使命があるのだから。

アルディアは、なんとかハルカゼの一方的な攻撃を耐え一瞬の間を見極めた後、死角に入り込み、距離をとる。


「強いっていいよなー。でもよ、強いやつをぶちのめした時のあの高揚感は何にも変えられないよな」

「貴方何を言ってるんですか?」

「私の存在意義の話だよ」


このハルカゼという女、やはり頭のネジが外れている気がする。

正義の味方というよりかは戦闘狂。

戦うことを何より楽しいとか意義だと感じてしまっている。


私は、どうだろう。

ハルカゼみたいに私も影魔(ファントム)を殺していって、それに高揚感を覚えている?

影魔(ファントム)は悪で、仇なんだ。

だから、だから私は…。


頭の中を思考が巡る。

考えたくないのに、なぜか考えてしまう。



___私もハルカゼと同じなのか。



そう言葉が心に鳴り響いた途端、ハルカゼが動き出した。

その気配を察知するのみ遅れたアルディアは、動き出そうとするが気がつけば、喉元に刃物。


「アルディア。戦いの途中に他のこと考えたらいつか死ぬよ。死にたくなかったら強くなるしかないんだ」


何も言い返せない。


「興が醒めたわ。また、今度手合わせ頼む。それまで死ぬなよ」



そう言い残し、ハルカゼは闇夜に消えていった。

私に大きな不安を残して。





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