風のように
ザックを襲う何者かに気を取られていた俺たちが気がついた時には、軍服の奴らが周囲を取り囲んでいた。
「君たち、こんなところで何をしている!」
軍服の男が俺たちに尋ねる。
「すみません。道に迷ってしまいまして」
「ここは、立ち入り禁止のはずだ。早くこの場から立ち去りなさい」
「大変失礼しました。ほら、みんな出よう」
と俺は、みんなを促す。
まだ、俺たちのことをこの軍服たちは知らないみたいだ。
なら、今のうちにこの場から離れた方がいいというもんだ。
俺は、アルディアとダリルにアイコンタクトをとり、その場から去ろうとする。
が、ここで思いもよらぬアクシデントが起こる。
ザックを襲ってきた”何者”かが軍服の奴らに対して戦闘態勢を取ったのだ。
___ちょっと待て!こっちは穏便に済ませたいのに。
俺の心がそう叫んでいた。
「あんたたちに指図される筋合いはない。ここは自由都市だ。ヴァルークじゃあない。それに、あんたたちからは”悪”の匂いがする」
「抵抗するなら容赦はしない」
彼女の言葉に高圧的な態度で返す軍服。
手に持っているメディラント製だと思われる銃をこちらに向けた。
その瞬間、軍服に向かってそいつは走り始めた。
一瞬だった。
それは、走ったというレベルの速度じゃない。
瞬く間に軍服の懐に入り、どこからか取り出した刀で相手を斬る。
それに気がついた別の軍服がそいつに向かって発砲するが、その時には、やつの姿はなく。奴の背後に控えていた味方を撃ち向いてしまう。
風のような速度で駆け巡り、雑音なく相手を戦闘不能に追い込む。
次々に倒されていく光景は、圧巻であった。
最後の1人として残された軍服は、恐怖に駆られ逃げ出そうとする。
が、逃がしてやるほどそいつは甘くなかった。
圧倒的暴力だった。
全てを排除したそいつは、次はザックを仕留めようと行動を起こそうとする。
が、その時、ダリルがそいつの動きを止めた。
「一応年長者なので。ザックくんに何か用がありますか?」
「そいつから”悪”の匂いがする。だから殺す」
「彼は、悪ではありません」
「なら、なんでそいつは、その赤い石を持っている?
「こ、これは、先生から預けられたんだ」
ザックが、大きな声で叫んだ。
「では、お前はその石の生成関係したわけではないのだな?」
「そ、そうだ!!」
そいつは、何かを考えたのちに、手に持っていた刀を鞘に納めた。
「相手を見誤ったようだ。無礼を働いた済まない」
「貴方は一体何者なんですか?」
「私の名前は、ハルカゼ=フタバ。正義の味方だ」




