海岸を沿って
東の森を抜けた先に待っていたのは、一面に広がる青。
海が待っていた。
「とりあえず、森は抜けることはできたわ」
「で、今は、どこら辺に俺たちは立てたんだ?」
俺は、アルディアが持っていた地図を見ながら、現在地を確認している。
ザックとレーチェは、海を見る機会なんてあんまりなかったのかもしれない。
大はしゃぎで、浅瀬に足を入れる。
「冷たテー!!!」
「しょっぱい!!!しょっぱいよーこの水」
ザックは、レーチェのことが聞こえもしないし、視えないはずなのに何故か息ぴったしに遊んでいることに驚きさえ覚えた。
周囲にある建物などや地形から判断し、この海岸沿いを南下していった先に、港町がありそこから船でジェンマへと辿り着けるらしい。
俺は、遊び呆けていたザックとレーチェに声をかけ、港町に向かって再び歩き始めた。
「そういえばさ、独立自由都市ジェンマってどんなところなの?俺ダルクから出ないようにしてたから知らないんだよなー」
ザックがみんなに質問した。
「ジェンマは、海上自由都市とも言われていて、どの国にも属していない中立な都市ですよ」
「ダリルいったことあんの?」
「ええ。あそこは、中立ということも相待って貿易の都市としても栄えているんですよ。まあ、一部では”不吉な島”とも呼ばれてはいますが」
「へー、そんな都市があったんですね」
「エリアスくーん!なんか見えてきたよー」
そんな会話をしながら、歩き続けているとレーチェが前に飛び出した。
レーチェが指差した先には、小さな港町が存在していた。
俺たちは、港町に着くなりひとまず身体を休めることにした。
ここ数日間森で暮らしていたせいで、慣れていない俺にとっては、疲労はピークだった。
宿舎の自室に入るとそこにあった別途に身体を投げ出し、いつの間にか俺は眠っていた。
ふと目が覚めると外は、もう薄暗くなってきている。
どのくらい寝てたんだ?
俺は寝ぼけた目を擦りながら、宿舎にある食堂のような場所に向かった。
そこで騒いでいる青年がいた。うるさい。
残念ながら知り合いの青年で、関わりたくないと思い、そっとそこから離れようとする。
「おーい!なんで逃げんだよ、エリアスー!!!」
俺の名を呼ぶ、その青年。
まさしく、ザックだった。
彼は、酒瓶を手に持ち、周りにいたお客と一緒にどんちゃん騒ぎをしている。
こういうのには、絡まれたくない。
「逃げてないよ。ちょっと外の空気でも吸おうと思って!」
「そんなことより、飲もう!今日は普通の飯が食える酒も飲める。ここは天国か?」
「天国ではないと思うけど」
「そんなのは、どうでもいいんだよ」
「俺はな、あの森での食事に限界が来ていたんだ」
彼の言っていることは俺も理解はできたが、あの何も準備できていない上での脱出なら仕方のないことのようにも思えた。
というより、思うしかないだろ。
「毎日、薬草汁、薬草汁、たまにキノコ。キノコ。奇跡で魚。薬草汁、薬草汁……。いいか、俺は肉が食べたいんだ!俺は、草食動物じゃねーんだよーーー」
と言いながら、手に持っていた酒を一気に飲み干し、店主におかわりを申し出る。
周りはゲラゲラと楽しんでいる。
我が仲間ながらその豪快っぷりには感服するが、頼む。
恥ずかしいからもうやめてくれ…。
俺の心の叫びは、ここにいた誰にも届かんかった。




