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銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
炭鉱の研究者
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脱出①

アルディアと喋る影魔(ファントム)との戦闘は続いていた。



最初の方は、避けるだけだった影魔(ファントム)だったが、”有害”と判断したため、痛ぶるようにゆっくりと着実にアルディアに魔法攻撃によってダメージを与えていった。


___魔法は、影魔(ファントム)も使えたのか。


その事実に驚く。

この影魔(ファントム)はやはり、この前出会った影魔(ファントム)とはどう考えても違っていた。

何よりも知性が高すぎる。

この前セレーノで遭遇した影魔(ファントム)は理性はほぼなく、人間を殺し擬態するといった単純思考だった。

しかし、この影魔(ファントム)はこちらとコミュニケーションをとり、そして自身の理性のもと行動しているため、前回の影魔(ファントム)と違い行動を読みづらかった。


次第にアルディアの回避スピードが落ちていき、彼女の自身の苦しそうだった。

アルディアは、物陰に隠れ残りの銃弾を再装填し、奇襲をかけるタイミングを図っていた。


「なあ、お前。どこかで会ったことあったよなー。あーそうだそうだ。お前あの時の死に損ないか」

「…黙れ」

「以前、この世界にやってきた時に俺を殺そうしたから、お仲間と一緒に殲滅したはずだったけど、俺としたことがしくじったわ」

「黙れと言っているのが聞こえないのですか…」

「まあ、安心しろよ。お前もあの時の連中みたいに真っ赤に染めてあげるからさあー」

「黙れ!!!!!!」



奇襲も何も関係ない。

アルディアは、影魔(ファントム)に向かって決死の特攻を仕掛けた。

彼女は銃の引き金を引こうとする。

が、それよりも早く影魔(ファントム)の魔法攻撃の方が早かった。


目の前に黒い光がこちらに向かって放たれていた。

いつもなら避けられていた。

こんなところで…こんなところで復讐もできずに終わっちゃうなんて。

彼女の足が次第に止まり、立ち尽くす。

自身の終わりを受け入れたように。


次の瞬間、私は天井を仰いで倒れていた。

何が起きたのか分からなかった。


「何やってるんだよ!死ぬとこだったんだぞ」


私を助けた彼は、息を切らしながら私にそういった。


「僕の描きたい物語は、ハッピーエンドなんだ。だから、こんなところで君を…アルディアを死んじゃうなんて許さないから!」


彼は、弱者だ。

ただ、妖精が”視える”というだけのただの夢見る青年だ。

そんな彼が、命を賭して私を助けてくれた。


私はこの時、彼が誰よりも救世主(ヒーロー)のように見えた。


影魔(ファントム)は、不可解なものを見るようにこちらに話しかけてくる。


「勝手に人の因縁に介入されたら困るよ。君は、一体誰なんだい?」

「エリアス=レイヴィー。アルディアのただの友達だ!!」



そう叫んだ瞬間、どこからか煙幕がこの場を覆い尽くす。

ここからが、僕たちの脱出作戦の開始だった。

レーチェは、魔法で、煙幕起こす。

その隙に、僕がアルディアを背負い、出口に向かってひたすら走る。

レーチェには、事前に妖精魔法による身体強化をお願いし、中央エリアの出口付近で脱出の準備をしてもらっている。


あそこまで、辿り着ければ…。


そう思えた瞬間、絶望が僕の足を掴んだ。




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