炭鉱の街ザルクと青年
__シェナ大陸の首都セレーノから南方に位置する街ザルク。
ここでは、エスト鉱石と呼ばれる鉱石が取れることで有名である。
現在のラディウスのライフラインは新規蒸気機関を用いている。
新規蒸気機関を動かす動力がこのエスト鉱石なのである。
以前までの蒸気機関よりも低燃費で遥かに優れている反面、エスト鉱石という特殊な石を用いているのだ。
___でも、俺はあの鉱石だけは嫌いだ。
俺の先生であるブラック=ミレイツが言っていた。
あの鉱石は、本来この世に存在してはいけないものであると。
そう、目の前に聳え立つ鉱山を目に青年は、今日の仕事を終え町外れにある先生の研究室に帰ってきた。
研究室といってもどこかの誰かが使っていたであろう廃家を勝手に拝借して研究室として使っているのだ。
彼の研究は、すなわちエスト鉱石の”正体”を探る研究である。
俺の師匠であるブラック=ミレイツは、世界に名を残すような発明をした。
その名は、”蒸気機関”だ。
石炭を動力に稼働しており、この発明は世界を変えるはずだった。
しかし、あってはならないことが起こった。
先生が作り出した新たな技術を学会が認可せず、ましてや、ラディック=セルマンという科学者が発見したエスト鉱石とかいう訳のわからない鉱石を用いた新規蒸気機関が認可されたんだ。
俺は、先生に言った。
「先生。これはおかしいですよ。抗議しましょう!」
しかし、先生は首を縦には振らなかった。
その代わり俺にこう呟いた。
「あれは、悪魔の石だ」と。
外からドアをノックする音が聞こえる。こんな夜に誰だろう。
俺は、少し警戒しながら、ドアを開けた。
「突然の訪問で申し訳ございません。私の名前はアルディ=F=ヴァーライン。ブラック=セルマンさんからの電報を受けてこちらにやってきたのですが…」
代表で話している彼女の後ろには、同い年ぐらいの男がいる。
「こっちは、エリアス。旅の仲間です。で…あのブラックさんは?」
「今は、いないよ。ここで話すのもあれだ。まぁ…入りな」
そう言うと、俺は2人を研究室の中へ招いた。




