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今日を迎えた俺は、セレーノの街を走っていた。
なぜなら、今までずっと側にいてくれたフィーネに旅立ちを伝えなければならないと思ったからだ。
俺は、いつも遅刻をしていたから街並みなんて気にしていなかったが、俺が住んでいた街はこんな景色をしていたんかと今更ながら思えた。
貸本屋ミランに辿り着く。
俺は、乱れている息を整え、ドアのベルをノックしようとするが足がすくんでしまった。
もう覚悟はとっくに決めているはずだ。
だけど、勇気が出ない。
多分、それはフィーネに別れを告げるのが怖かったのだと、後になって理解する。
俺が、行動を起こせない中、ドアがガシャりと開き中から制服姿のフィーネが現れる。
フィーネは、俺に気がつき、大荷物を持っている俺を見るや否ややっぱりかといった顔をしながらこちらに近づいてきた。
「おはよう、エリアス」
「お、おはよう。…フィーネ」
何吃ってるんだよ、俺。
いつもそうだ。大事な時、いつも勇気が出ない。
勇気を出すのに時間がかかってしまうんだ、情けない。
そう自分自身を罵っていると、彼女は口を開く。
「いつまでそんなところでぼさっとしてんの?」
そう俺に声をかける。
いつの間にか俯いていた俺は、彼女の方を見上げる。。
フィーネは少し寂しそうにそして、誇らしいような顔をしていた。
「あの…俺さ、旅に。行くことになって。だからなんていうかお別れを…」
「…そっか」
彼女は、手に持っていた鞄から一冊の白紙の本を取り出す。
「エリアス。あなたが何故、旅に出なくちゃいけなくなったのかは、あたしにはわからない。だけど、その旅が”あなたの旅”であってほしいと心から願うわ。どんな理由があろうと、小さい頃から世界の記録者に憧れた男の子が、その夢を叶えるための旅に出る。そんなプロローグの方があたしは好みだもの」
嗚呼、そうだ。
フィーネはそういう女の子だった。
なら、僕は胸を張りこのセレーノから旅立たなければならない。
これは、そういう僕の物語にしないといけないと思った。
___じゃあ、行ってくる。
そう彼女に伝え、国境へと歩み始めると、フィーネが俺の裾を掴んでいた。
「こっち向かないでよ、馬鹿。絶対にちゃんと帰ってきてよ。あたしはハッピーエンドしか許さないんだからね」
「嗚呼。必ずここに戻ってくるよ。約束だ」
裾を掴んでいたフィーネの手が離れたのがわかる。
俺は、再び歩き始める。
___これは、僕のプロローグだ。
世界救済をする者たちに同行するただの街人Aの物語の序章。
そのちっぽけな僕の物語が、世界を大きく左右することになるとは、今は誰も知る由もなかった。
”冒険の始まり”は、ここでお終いです。
次からエリアスたちはそれぞれの目的を果たすための旅路が始まります!
今後どうなっていくのか、僕も1人の読者として楽しみです。




