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___俺は、帰宅した。
あの後、影魔の死骸は、影に飲み込まれて消滅した。
元々、光とは対照的な存在であるため、元あるべきところに還ったとも考えられる。
俺は、一息つこうとカップを3個取り出し、珈琲を淹れる。
「で、なんでアルディアも俺の家にいるんだよ」
「妖精の視える貴方とは、まだ情報共有したいと思ってたし、私がここに居たら駄目かしら」
「いや、駄目ではないけど…」
駄目ではないけど、俺は会話というものが苦手なんだよ。
学院生活も基本的には、人と関わらず本ばかり読んで生きてきたし、話す相手といえばフィーネだけだ。
俺は、淹れたての珈琲を机に置き、彼女に差し出す。
「ありがとう」
そういうとアルディアは、淹れたての珈琲を飲む。
その佇まいは、いい所のお嬢さんのように見える。
「貴方のお父様やお母様は?」
「父さんは、世界を気ままに旅をしながら小説を書いてるよ。母さんは、小さい頃死んだって聞かされている」
「そうなのね。ごめんなさい。嫌なこと思い出させてしまって」
「気にしなくていいよ。母さんとは会ったこともないから」
俺も珈琲に口をつける。
時計の針の音だけがこの空間に響き渡る。
何か会話をしなくてはと、いつものように思考する。
が、その思考も虚しくレーチェがその沈黙を破った。
「アルディアちゃんは、あたしの声が聞こえるんだよね?」
「はい。視えはしませんが、声を聞くことはできます」
「そうなんだ。でも不思議だなー」
「レーチェ。何が不思議なんだよ?」
「いやだって、前にも話したけど一度でも妖精と契約を結んだものは、姿を見ることができる。でも、アルディアちゃんは妖精と契約を結んだことはないってわかるの。でも声は聞こえる。どういうことなんだろう」
「それが不思議なのだとしたら、俺だっておかしいだろ。契約も結んだことないのになんで俺は、レーチェのことが視えて聞こえるんだよ」
「それもそれで不思議だよね!うーん…」
レーチェは思考をぐるぐると回しながら、結局諦めて珈琲を飲む。
「まあ、そういうこともあるよね!うんうん」
___いや、そういうはないと思うけど。
俺は心の中でそうレーチェに突っ込んだ。
「レーチェさんは、”リュミルの意志を継ぐ者”を探しているんですよね」
「そうだよー。それを探し出すのがあたしの役目だからね」
「では、レーチェさん。私と一緒に行動しませんか?」
アルディアはレーチェに提案をする。
「私の使命は、影魔を殲滅するのが使命です。そのために旅をしています。この先の旅の中で”リュミルの意志を継ぐ者”を探せばいい」
「確かに。その方がエリアスくんにも迷惑をかけずに済むかも」
「どうだろうか、エリアス。その本を私に譲ってくれないだろうか?」
「…あ。でも…」
俺は吃ってしまった。
「明日の昼。私は、この街を立つ。それまでに返事を聞かせてほしい」
そういうアルディアはいうとこの話は終わりを迎えた。
俺は、なんですぐに本を渡さなかったのだろう。
その疑問だけが俺の頭の中に残り続けた。




