表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀霧のグレンツェ  作者: 鳥居賀風
冒険の始まり
21/87

最初の1ページ①

___俺は、帰宅した。



あの後、影魔(ファントム)の死骸は、影に飲み込まれて消滅した。

元々、光とは対照的な存在であるため、元あるべきところに還ったとも考えられる。

俺は、一息つこうとカップを3個取り出し、珈琲を淹れる。


「で、なんでアルディアも俺の家にいるんだよ」

「妖精の視える貴方とは、まだ情報共有したいと思ってたし、私がここに居たら駄目かしら」

「いや、駄目ではないけど…」


駄目ではないけど、俺は会話というものが苦手なんだよ。

学院生活も基本的には、人と関わらず本ばかり読んで生きてきたし、話す相手といえばフィーネだけだ。


俺は、淹れたての珈琲を机に置き、彼女に差し出す。


「ありがとう」


そういうとアルディアは、淹れたての珈琲を飲む。

その佇まいは、いい所のお嬢さんのように見える。


「貴方のお父様やお母様は?」

「父さんは、世界を気ままに旅をしながら小説を書いてるよ。母さんは、小さい頃死んだって聞かされている」

「そうなのね。ごめんなさい。嫌なこと思い出させてしまって」

「気にしなくていいよ。母さんとは会ったこともないから」


俺も珈琲に口をつける。

時計の針の音だけがこの空間に響き渡る。

何か会話をしなくてはと、いつものように思考する。

が、その思考も虚しくレーチェがその沈黙を破った。


「アルディアちゃんは、あたしの声が聞こえるんだよね?」

「はい。視えはしませんが、声を聞くことはできます」

「そうなんだ。でも不思議だなー」

「レーチェ。何が不思議なんだよ?」

「いやだって、前にも話したけど一度でも妖精と契約を結んだものは、姿を見ることができる。でも、アルディアちゃんは妖精と契約を結んだことはないってわかるの。でも声は聞こえる。どういうことなんだろう」

「それが不思議なのだとしたら、俺だっておかしいだろ。契約も結んだことないのになんで俺は、レーチェのことが視えて聞こえるんだよ」

「それもそれで不思議だよね!うーん…」


レーチェは思考をぐるぐると回しながら、結局諦めて珈琲を飲む。


「まあ、そういうこともあるよね!うんうん」


___いや、そういうはないと思うけど。


俺は心の中でそうレーチェに突っ込んだ。


「レーチェさんは、”リュミルの意志を継ぐ者”を探しているんですよね」

「そうだよー。それを探し出すのがあたしの役目だからね」

「では、レーチェさん。私と一緒に行動しませんか?」


アルディアはレーチェに提案をする。


「私の使命は、影魔(ファントム)を殲滅するのが使命です。そのために旅をしています。この先の旅の中で”リュミルの意志を継ぐ者”を探せばいい」

「確かに。その方がエリアスくんにも迷惑をかけずに済むかも」

「どうだろうか、エリアス。その本を私に譲ってくれないだろうか?」

「…あ。でも…」


俺は吃ってしまった。


「明日の昼。私は、この街を立つ。それまでに返事を聞かせてほしい」


そういうアルディアはいうとこの話は終わりを迎えた。

俺は、なんですぐに本を渡さなかったのだろう。



その疑問だけが俺の頭の中に残り続けた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ