物語の始まりには出会いあり②
____ヴェルミ王国 首都セレーノ
エリアスは、走っていた。
日々、本を読み漁り夜更かししているのがよくないのだろう。
彼は、いつものように”また”遅刻しかけている。
目指す場所は、セレーノ王立学院。
学び舎を目指してエリアスは、風を切り裂くようにセレーノの街を駆け抜ける。
2年Cクラス。
そこが彼の属するクラスだ。
彼が到着したときには、とっくに授業は開始されていた。
教室の1番後ろのドアをそっと開け、屈みながら近くの空いている席に座る。
手慣れたように席につき、安堵するエリアス。
「では、復習だ。この世界における魔法についてを答えてもらおう。エリアス」
バレていた。
教授は、またお前かとため息をつきながら、こちらに問いかける。
教室中の注目をこんな形で浴びるのは、”毎度”ながらやめたいと思いながらエリアスは立ち上がる。
「えっと…魔法大全によれば、現時点で7人の魔法使いのみ魔法を使用を確認している。その7人が使う魔法は、”精霊魔法”。四代精霊と契約を結ぶことによってこの世界のどこにでもいる微精霊から力を借り魔法を発動することができる。魔法の属性は、全部で7つあり"火・水・雷・風・土・光・影"に振り分けられる…だったと記憶しています…あってますか?」
「正解だ。座りなさい」
エリアスは席に座ると、周りの生徒たちのヒソヒソ声が聞こえてくる。
___さすが、遅刻魔の秀才。
それが、俺につけられた2つ名。
まず言っておきたいが遅刻常習者の俺は落第ギリギリであり、そもそも俺自身は秀才でもなんでもない。
ただ、小さい頃から読んできた本の”知識”があるだけで、それ以外は普通の学生だ。
だから、そんな色眼鏡で俺のことを見ないでほしい。
と、自身の心の中で彼らに訴えていると、授業は進行していた。
「エリアスの言うとおり、現時点で最も確認されている魔法は、精霊魔法である。また、人間が妖精を見ることができた時代には、彼らと契約を交わし、妖精魔法と呼ばれる古代魔法も存在していたと一部の書物では記されている。精霊魔法は、世界で最初の魔法使いと呼ばれるアデリナ=ワイスによって確認され…」
淡々と授業は続いていくが、俺は退屈で仕方なかった。
さっきも言ったかもしれないが、もうその”知識”は知っているのだ。
俺は退屈になり、またいつものように机に上で突っ伏していつの間にか寝てしまった。
どのくらい時間が経ったのだろう。
俺の耳元で聞き覚えのある声が聞こえる。
あと少しだけ寝させてくれ。学院にいる時が俺の睡眠時間なんだ。
とうだうだしていると、誰かが俺の頭を教科書で叩いた。
「痛っ!!!今のやったの誰だよ」
俺は、周りを見渡すと目の前にその実行犯が立っていた。
「あんた、いつまで寝てるの!もう、講義は全て終わったわよ」
「何だ、フィーネか。もう少しだけ寝かせてくれ」
「あんた、いつまで寝るつもりよ。ほら、ボサっとしてないで立った立った」
こいつの名前は、フィーネ=アシュトン。
背が低く、短めの紅の髪にいつも頭にバンダナを巻いている。
このバンダナが彼女曰く”オシャレ”というものらしい。
俺には、さっぱりわからなかったが。
こいつは、俺の幼い頃からの幼馴染というか腐れ縁である。
昔は、もう少し可愛げ?みたいなものがあったんだけど、どこかに忘れてきてしまったらしい。
これから向かうのはこいつの家がやっている貸本屋。
俺は、父の影響もあって幼い頃から文字の読み書きができたため、フィーネの親父さんのところで働かせてもらっているのだ。
俺は、眠い目を擦りながら、彼女の手に引かれ教室を後にした。
誤字があったので、少し修正しました。




