物語の始まりには出会いあり①
___彼は、物語に憧れた。
俺は、本が好きだ。
本の中に綴られた幾多の物語。
その物語で活躍する登場人物たちに、俺はいつも心躍った。
物語には、ハッピーエンドもバッドエンドどちらも存在するが、そんな結末よりも彼らの生きた”生き様”に僕は何よりも憧れたのだ。
だから、今日も俺は、この無造作に積み上げられた本の山の中で目覚めた。
俺の父は、小説家だ。
だから、家の中にはたくさんの本が幼い頃から置いてあった。
父は執筆に追われていて、俺の遊び相手はこの目の前に広がる本の山だけだった。
もう何回読み返したかもわからない。
本を読めば読むほど、その美しい世界に魅力的な登場人物に憧れた。
いつか世界を巡り物語を残す”世界の記録者”になるのが幼い頃からの彼の夢だった。
青年の名前は、エリアス=レイヴィー。
どこにでもいるただの学生。
ちょっと変わっているのは、人よりも物語が好きだということ。
そういえば、今日見た夢は昨日読んだ物語の世界だった。
___確か、『堕ちた妖精』
世界を救うために人間と妖精が自らを犠牲に世界を救う昔昔のお話。
その物語に出てきた妖精が俺に語りかけてきたような…。
眠そうな目を細めながら、彼は、制服に着替え始める。
ふと、壁にかけてある時計を見ると、時刻は、8:40。
___遅刻だ。
エリアスは、急いで荷物を持ち、家を後にした。
こうしていつもと変わらない今日が始まった。




