昔昔話
書こうと思ってて設定などだけ作っておいて、忘れてしまっていた物語を少しずつ、綴ろうと思います。
____これは、遠い昔昔のお話。
だから、御伽話のように作り話かもしれないし、本当の話かもしれない。
僕たちが住むこの"ラディウス"という惑星には、人類が誕生する昔からある古樹が存在している。
その古樹の名前は、始まりの樹。
元々は、どこにでも存在するトネリコの大樹であったが、その大樹の根元ある精神の泉と呼ばれる不思議な泉の力によって、そのトネリコの樹は意思を獲得し、特殊な大樹へと進化を遂げた。
進化したトネリコの樹に花が咲き、羽のある実を宿すとそれが形を変え、”妖精”へと生まれ変わる。
妖精を生み出す大樹ということもあり、始まりの樹と呼ばれ、このラディウスの守護樹として今なお、この世界を観測し続けている。
この昔昔話は、ここからが始まり。
時間が流れ、人間が生まれ知恵をつけ、個人から集団になり村になった時代。
始まりの樹と共に共存する村がそこにはあった。
その村の名前は、エクラ村。
この村の人々は、始まりの樹から生まれた妖精たちと共存して生活をしている。
普通に人間には妖精を見ることはできないのだが、エクラ村の住人は代々この大樹のもとで暮らしてきたこともあってか、彼ら妖精を見ることができる。
「ねぇエディ。あの地平線の向こう側には、一体何があるのかな」
その小さな少年は、誰かにそう言葉をかける。
「僕は、いつかこの世界を冒険してみたいんだ」
その彼の言葉を聞いて彼女は、少し寂しく思えた。
何故なら、彼女はこの樹から離れることを許されないのだから。
それを彼はまだ知らない。
だから、彼は彼女に満面の笑みでこちらに話しかける。
「だからその時は、君も一緒に冒険に出かけよう。エディ!」
「そうね。いつか…一緒にこの世界を冒険しましょう。リュミル」
彼女は、そう告げると彼と共に地平線の向こう側を見つめ、叶うはずもない夢に心を躍らせる。
____これは、エクラ村に住む少年と始まりの樹から生まれた妖精の昔昔話だ。