未来からもたらされた記憶と共に
「…………なるほど」
目を覚ました彼は事態を飲み込みため息を吐いた。
夢として見たこれからの記憶。
それによって知ったこれからの未来。
思い返せばため息も吐きたくなる。
最悪だった。
小学校にあがってすぐにクズに目を付けられ。
虐げられても、原因はやられた彼にあると言われ。
親も我が子である彼を「どうしてそんな事するの!」と詰る始末。
そのまま高校、就職しても状況は良くならず。
高校は底辺校で回りはクズだらけ。
小中学校以上に悲惨な状況にあり。
就職先はブラック企業。
クズ上司に老害、カス同僚にゴミ後輩と回りは最悪。
生きてるだけで疲れる毎日だった。
最後の最後、そんな状況に反撃を開始。
出会ったクズを殺して回る日々を送った。
最後は警察などを巻き込んで死亡。
やられっぱなしでなかった事だけがささやかな幸せになる。
そんな人生だった。
そんな未来の彼の最後の願い。
出来ればこの事を自分自身に伝えたい。
記憶を教訓として伝えたい。
そんな思いが何故かかなった。
そして、小学校入学前の六歳の彼に記憶が伝えられた。
夢に見てすぐには信じられなかった。
だが、実体験としか思えない夢だった。
出来事は否定できないほど現実的でもある。
それに、今の彼の状態。
記憶と共におかしな力に目覚めてる。
壁を透視して見たり、どこまでも遠くが見えたり。
周囲の人間の思ってる事や考えてる事が読み取れたり。
あげく、近くにある物を手を使わずに浮かび上がらせもした。
超能力。
そう呼べる力を彼は手にしていた。
記憶が伝わってきた事が影響してるのだろう。
それ以外に、こんな能力に目覚める理由がない。
最後の最後、思いを伝えたいと願い、実際に伝えた事。
それが超能力に開花した理由だろう。
その感覚も過去の自分に伝わった。
だから六歳時点で彼は超能力が使えるようになった。
これは大きな利点だった。
単独でも戦える力がある。
これからに備えていける。
大人数で襲ってくるクズ共に、単独でも対抗できる。
「やるか」
決意は早かった。
まずは同じ家にいる親。
将来、こいつらが身近に居る敵になる。
今はまだそうではないが、だからといって何もしないわけにはいかない。
今のうちにさっさと処分するに限る。
それに、超能力の実験台に丁度良い。
自分の能力がどの程度なのか。
どれだけ効果を発揮するのか。
先に確かめておく必要がある。
いきなり本番はさすがに危険が大きい。
まず、手始めに頭の中を覗く。
どうして疑いもせずに我が子である自分を疑ったのか?
それを調べていく。
結果はすぐに分かった。
ようするに事なかれ主義。
周りがいってる事に逆らわない。
その為に身内ですらすぐに裏切る。
もっとも攻撃しやすい我が子など簡単な標的になる。
それと、相手を疑わないという教育。
必死になって訴えてるものを疑うのか?
そんな同調圧力に応じる単純さ。
これがクズ共の言い分を受け入れる土台になってる。
そして、クズとは自分に都合の良い事を大声で吠えるもの。
都合の良い言いくるめを多用するするもの。
そんな連中にとって、両親は楽な相手だった。
逆に言えば、簡単に利用できるという事でもある。
信じ込ませればいいのだから。
だが、超能力が使えるようになった彼はその道を捨てる。
利用するのが面倒だからだ。
利用するには手間がかかる。
労力がかかる。
そこまでする理由がない。
それに、簡単に洗脳できるバカは、簡単に敵に寝返る。
最悪の場合、多くの敵を自ら作ることになる。
敵に戦力を提供する事にもなる。
そうなるくらいだったら、殺しておいた方が良い。
敵が増える事がなくなるのだから。
第一、送られてきた未来に味方はいない。
全て敵だった。
今更そんな連中を許すつもりはない。
というわけで最も身近に居る敵。
親である男女を殺していく。
まずは思考をのっとる。
自殺をするように意識を操作する。
これに反応したのは母親のほうだった。
台所にいって包丁を手に取り、それで腹を切り裂いていく。
「うがあああああ」
悲鳴を上げながらも手を止めない。
こぼれる内蔵と血に、膝から崩れ落ちて沈んでいく。
「なにしてるんだ!」
父親が慌ててる。
こちらは思考洗脳がかかり難いようだ。
なので、直接手をかけていく。
念動力を使い、包丁を浮かび上がらせる。
それを父親に突き刺していく。
一本ではない、家にある大小三本の刃物を使って、様々な方向から刺していく。
前から後ろから、上に下にと様々な方向から飛んでくる包丁。
それは父親に体に何カ所もの刺し傷を作り、致命傷を負わせていく。
「が…………あ…………」
悲鳴をあげながら倒れていく父親。
そんな両親に何の感慨も抱かず、超能力者になった彼は見下ろしていく。
蔑みがそこに混じるのは、この二人がこれから何をするのか知ってるから。
そもそも、本性からしてクズの類いだ。
生かしておく必要がない。
生きてるだけで周りを不幸にしていく。
この場で始末しておく方が世の為になる。
もう二度と悪さをしなくなるのだから。
そんな二人の頭から、必要な情報を読み取っていく。
テレパシーという能力だ。
金や預金のある場所、クレジットカードなどのパスワード。
これらを手に入れていく。
そうして手をのばして気付く。
視点が高い事、手の大きさに腕の長さが今までと違う事。
あわてて鏡を見ると、六歳とは思えないほどの体格の自分がいた。
おそらく160センチは超えてる。
背丈だけなら大人と大差はない。
「超能力のせい?」
これを使えるようになって、体の中に流れる気の動きが分かるようになった。
それを効率よく動かしてるせいだろうか?
体も影響を受けてるのだろう。
こういった事を直観的に察知する事が出来た。
この理解力や思考力も超能力、気の流れが良くなった恩恵だろう。
そんな変化に驚きつつも。
必要なものを手に入れてから近所を巡る。
周りの連中もクズに同調したロクデナシだ。
生かしておくつもりはない。
彼を虐げてきたクソジジイ。
近所にデタラメをほざき続けたクソババア。
小学校に入ってからクズに同調した幼なじみ共。
皆、この段階で処分していく。
この時点ではまだ仲良く接している者もいる。
だが、それが恩情をかける理由にはならない。
どうせ敵になるのだから。
精神操作による自殺誘導。
それか、刃物を飛ばしての刺殺。
主にこれらを使ってクズを処分していく。
金になるものの回収と、これらを取り出す方法を読み取るのも忘れない。
近所を一通り巡ると夜になっていた。
それを待って車に乗って移動する。
これから、小学校の時のクズの所にいく。
そこまでそれなりに離れてるので自動車を使った方が便利だ。
体が大きくなっていてありがたい。
ハンドルやアクセルに簡単に手足が伸ばせる。
その車に必要になりそうなものを詰め込んでいく。
家に帰ってくる事も無いだろうから、生きていくのに必要なものは持っていく。
そんな車でクズの所に向かい、早速行動を開始していく。
相手は家族共々家にいる。
それらを今やってきたのと同じように処分していく。
もちろん、家族共々だ。
直接危害を加えてきたクズもたいがいだったが。
家族もやはりロクデナシ共ばかりだ。
他人を甚振るのが楽しくて仕方ない。
その為だけに悪さを繰り広げる。
そんな人間ばかりだった。
蛙の子は蛙というべきか。
ガキがクズなら、親もカスである。
遺伝してるのだろう、人間として最低最悪の部分が。
なので、ここでまとめて死んでもらう事にする。
ついでにクズの近隣にいる者達も死んでもらう。
直接出会った事のない者達がほとんどだが、これは問題にならない。
どういう人間かは思考を覗けばすぐに分かる。
そうしたら、クズと似たり寄ったりの悪人ばかりだった。
この地域にそういう人間が集まってるようだった。
まともな人間など何処にもいない。
おそらく、どこかで誰かに危害を加えてるだろう。
実際、この近隣にいる者達の頭の中にはそういった記憶があった。
あまりにも酷いので、加害者であるこの近隣の者達には死んでもらう事にした。
この調子で近隣を回っていく。
小学校から中学校の学区を網羅し、その中にいる悪人を処分する。
巡ってみて分かったが、驚くほど悪人は多い。
被害に合った彼が知る者以外にも様々な悪人がいる。
これらもまとめて処分していく。
町の人口は一気に三割程度になった。
そうしてるうちに、彼の超能力も強くなっていった。
使い続ける事でやり方のコツを掴む事が出来た。
少ない力で大きな効果を引き出せるようになっている。
それだけでなく、超能力の素になってる気力も増大している。
こちらも使い続ける事で成長してる。
おかげでやればやる程短時間で効果を出せるようになった。
夜が明ける前に広い地域で問題を片付ける事が出来た。
それから高校で出会ったクズを巡り。
クズの周辺に住んでたクズも処分し。
それから会社にいたクズの所を巡る。
未来においてのクズ上司や老害。
それらもまだ若い。
社会にすら出てない者もいる。
それらを徹底的に根絶やしにする。
かつての同僚や部下も同じだ。
どれもこれも救いようのないクズだった。
生かしておくだけで危害をまわりにまき散らす。
だから、今の段階でそれを終わらせる。
殺して息の根を止める事で。
ゾンビにでもならなければ、この状態で他の誰かに危害が加わる事はない。
ついでのこの連中がいた周辺地域も掃除をしていく。
小学校の時のクズがそうだったが。
やはり他のクズの親兄弟もクズだった。
育った地域もクズばかりだった。
仕方ないので地域全体を一掃していく。
そうしていくうちに気付いたのだが。
こういった地域には結構な羽振りの良い者もいる。
地元の名士といった者達がだ。
それらもまとめて処分していく。
こういった名士と呼ばれる連中が、クズを使って悪さをしてるからだ。
というより、両方ともに等しくクズである。
そのうちの一方が表に出て活躍し。
もう一方が裏に回って汚れ仕事をこなす。
そうして対抗する者達を圧倒する。
そんな協力関係が成り立っていた
それを見て納得した事がある。
ガキの頃から、クズを擁護する連中がいた事にだ。
そういう連中はたいてい地元ではそれなりに有名な連中だった。
上級国民と言えば良いのだろか。
そういった連中がなぜ毛色の違うクズを擁護するのか?
かつては謎だった。
だが、今なら分かる。
ようは同じ穴の狢だったというだけだ。
片方が表できれい事をほざき。
もう片方が裏で悪さをする。
そうして持ちつ持たれつの関係を続けている。
違うように見えて同類でしかなかったのだ。
表に出る名士が、知能犯や経済ヤクザ。
裏に回ってるのが暴力団。
こういう感じに思えた。
どちらもまともに生きてる者達の邪魔でしかない。
なので、まとめて死んでもらう事にした。
死んだ者達には、地方議会の議員や地元企業の社長。
市民団体や町内会などの重役。
寺などをまとめてる宗教団体もいた。
とりあえず全員死んでもらう事にした。
おかげで人口が一気に減っていく。
やはりまともなのは全体の三割程度。
それ以外はクズやクズに同調する奴ばかりだった。
まともに生きてる人間の少なさに泣けてくる。
それでも続けていく事で過ごしやすくなっていく。
悪さをする人間がいないのだから当然だ。
急激に労働力が減ったので経済は落ち込んだが。
それでも潰滅する程酷くはならなかった。
それに潰れたのはブラック企業がほとんどだ。
まともな所は残ってる。
それだけで十分だった。
その後も彼は邪魔な人間を消していく。
地元の掃除が終われば地方全体を。
それが終われば日本全体を巡り。
更には各国から問題をおこす連中を処分していく。
下はスラムの荒くれから。
上は各国大統領に国王・首相に書記長、官僚などなどに大企業の社長まで。
様々な人間が地球から死滅していく。
これらも生かしておけなかった。
放置していたら、政治圧力から戦争までしかけてくる奴等だ。
何らかの形で面倒な問題をおこしてくる。
そうなる前に排除していった。
そうして数年が経つ頃には、人類社会は平穏なものになった。
世界から面倒や問題をおこす人間が消えていった結果だ。
個人の間でも国家の間でも問題はほとんど起こらない。
適度な距離を保っている。
孤立しない程度に交易は行い。
しかし相手のしてる事に口も手も出さない。
そんな関係を小さな所から大きな所まで様々な所で行ってる。
摩擦や衝突が生まれることもあるが、それは以前に比べれば小さい。
皆無と言っても良いほどに。
「こんなに変わるなんてねえ」
未来の記憶と今の違いに彼は驚く。
手に入れた超能力でやれる事をやってきただけだが。
その結果、彼は平穏無事に生きている。
これがこのまま続いて欲しい。
そう願いながら、彼はのんびりと生きていく。
もう一つの人生で望み、でも手に入らなかった時を生きていく。
派手な刺激はない。
だが、穏やかな落ち着きがある。
それを堪能していった。
【あとがき】
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「小説家になろう・パニックジャンル投稿祭り、とでも言えばいいんだろうか」
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