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第十六話 許されざる者

ご登録いただいてる方、また見にきてくださる方、いつもありがとうございます。日本一時帰国が迫っていて、なかなか時間が取れず…進まなくて申し訳ないです。エピローグまでは何とか書き上げて、その後しばらくお休み予定です。

 ミコは炎の鞭を振るいながら、大陰の隙を伺う。

 ただの炎では無く、特別に清めの力を載せているので、当たればそれなりに痛いと思うのだが、チョロチョロと動き回るので、なかなか当たらない。

 そもそも、鞭など普段は使わないので、当たればラッキーくらいに思っているのだが。

 一夜の攻撃は、先ほど全て防がれたように見えたのだが、更に毒や蟲を使いながら大陰に仕掛けている。

 大陰は、一夜の攻撃を避けながら、大鎌を振り回し、ミコに攻撃を仕掛けてくる。

 

 (あの鎌、危ないよな)

 

 心の中で二葉に合図を送りながら、左手で水に霊力を込めながら、銃のように撃つ。

 大陰は手で払うのかと思いきや、避け続けている所を見ると、こちらも当たればそれなりに痛いのかもしれない。

 水鉄砲を打ちながら、後ろに大きく飛び、鞭で大陰を捉えようとする。

 それを繰り返しえしているうちに、大陰の動きが少しづつ鈍くなってきた。

 

 大陰は、しばらく様子を伺っていたが、こちらが何も仕掛けて来ない事を決定打が無いと思ったらしい。


「こんなものかのぉ? 巫女の力は。目覚めたばかりだと聞いていたのじゃが、期待外れじゃったわい。さっさと、亡骸を寄越してもらおうかのぉ」

「楽しみにして貰ってたのに、申し訳ないね! 」


 ミコは、軽口を叩きながら、大陰の攻撃を紙一重で避けていく。

 

(そろそろ仕掛けるか? )


 一夜に目で合図を送る。


『水牢!! 』


 ミコは、水の牢獄で大陰を覆うと、更にその上から炎で包み、圧縮する。


 ドゥン!!


 水は急に火に熱っせられたことによって、水蒸気爆発を起こす。

 それを合図に、一夜はいったん姿を隠し、ミコは敵からより遠くに離れる。

 

 爆発に巻き込まれたにも関わらず、被害は服だけで、爆発前と何ら変わらない元気なその姿に、ミコは少しガッカリしてしまう。

 大陰は、自分の服がボロボロになってしまった事を確認すると、顔を憎々しげにしかめる。


「おのれ! 我が服を!! 許さんぞ!! 」


 先ほどから、ミコ達の攻撃を 避けていたのは、まさか服を汚さない為だったのだろうか。

 だとすれば、想像以上に強い。

 十二天将を名乗るだけの事はあるらしい。

 しかし、爆発が効かなくても、十分に目隠しの役割は果たしたようだ。


「おや? あの蟲ケラは逃げたんかのぉ? まあよい。巫女さえ手に入れば問題は無い。そろそろ手加減するのも飽いた。さっさと片をつけようかのぉ」


 そう言い終えた瞬間、大陰は()()の目の前に現れ、大鎌で首を薙ごうとする。

 その場でしゃがみこみ、攻撃を紙一重で避けると、両手を地面に付けて、勢いを付けて、蹴りを繰り出す。

 大陰はそれを後ろに避けると、後ろに飛んだ体制のまま、器用に鎌を投げ付けてくる。

 ()()は立ち上がりざまに地面を蹴ると大鎌の鎖を掴み、綱引きのように引っ張る。

 可憐な少女の姿をした大陰は、その姿からは想像出来ない程の力で、鎖を引き寄せる。


(馬鹿力ですねぇ…)


 こいつらにとっての姿形など、有って無いような物。

 そう、今の()()と同じで…。

 ()()は鎖に引き寄せられるがまま、大陰と向かい合い、距離が1m程に近づいたところで、


「捕まえましたよ」


 ()()の体から無数のムカデの脚が表れ、大陰を押さえつける。

 蠍の尾を出現させ、大陰の口に突っ込むと、毒液を流し込む。


「うげっ! 」


 大陰は、少女の姿からは想像の出来ない野太い声で呻き声をあげる。

 ()()の姿をしていた者は、変化を解きながら、一夜の姿に戻った。

 爆発を合図に、一夜にはミコの姿に変化してもらっていたのだ。

 誰かの姿を真似る事など、一夜にとっては簡単な事らしいのだ。


「おのれ! いつからじゃ!? 」


 大陰は、毒液の効果か、身動きが取れなくなっているようだ。

 ここまでは、上手くいっている。


(もう少し、もう少しだ!! )

 

『占星・宝瓶結界! 』


 セイラの声と共に、大陰を結界が包む。

 ずっと隠れていたセイラは、肉体派では無いので、敵がポイントに来るのをずっと待っていた。


「カズマ!! 」

「おう!! 」


 カズマは、セイラの声に応える。

 いつもは着ない袈裟を着て、錫杖を鳴らす。


『おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼうだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん』


 カズマはお経を繰り返し、セイラが貼った結界の上に、更に強固に結界を張って行く。

 カズマとセイラは、気を抜かず、大陰の動きを封じることに専念する。


「この程度で、動きを封じられると思うておるのか?」


 そう言いながら、体を動かそうとする大陰。

 しかし、重力に逆らえなくなったように、大陰の体は地面に崩れ落ちて行く。


「いったい何が!? 」

「おや? 気が付きませんでしたか? 最初からずっと、毒を霧にして吸い込んでいたでしょう? 途中から、感覚も麻痺して、ミコ様と私の気配の違いにも、気が付かなくなっていたでしょう? 」

「っく!? 巫女は、どこへ!? 」


『…(はら)(たま)(きよ)(たま)へと

(まお)すことを()こし()せと 

(かしこ)(かしこ)みも()す』


 ミコは、隠れていた木の上から飛び降りると、大陰の元へ走理、手に持っていた護符を大陰の体に貼り付ける。


(はら)(たま)(きよ)(たま)へ!! 』


「グァぁぁぁぁっ!! 」


 眩い光と共に、断末魔の悲鳴が響き渡る。

 今回は、清めの力を護符を使い、一つに収束していた。

 一箇所に集められた霊力は、前回とは比べ物にならない程に強くなっていた。

 

 やがて、大陰の悲鳴が収まるのと同時に、清めの光も収束してくる。

 強力な術を使うには、時間が必要だったのだ。

 時間稼ぎの役目を三人にお願いしたのだが、上手くいったようだ。

 

 ミコの方は、立ちくらみをしたように、ふわふわした脱力感を感じていた。

 しばらくは、二葉を紙人形に戻してあげれそうに無い。

 力を使い果たしたらしく、グッタリと地面に倒れ込みそうになった所をカズマが支えてくれた。

 一夜は、少しムッとした顔をしたが、何とか言葉を飲み込んだようだ。

 今はまだ、それどころでは無いのだ。


(敵は…? )


「はぁ、はぁ、はぁ」


 砂埃で見えないが、荒い息遣いが聞こえてくる。

 傷つき、ボロボロになっているが、大陰はまだ生きている。

 カズマは、ミコの肩を支えながら、大陰から距離を取る。

 セイラと一夜も大陰から距離を取り、ミコを守るような位置に立つ。


「許さぬ…許さぬわ」


 砂埃が収まると、明らかに無事では無い姿の大陰が見えてくる。

 くすんだ肌に、しわがれた手。

 これが本来の姿なのかもしれない。


「お前ら全員、ここで葬ってやろう!! 」


 その声と同時に、体から大量の武器を出してくる。


(まずい、体が動かないのに! )


 このままでは、ミコはただの足手まといになってしまう。

 先程の作戦が通じなかった以上、こちらにはもう打つ手は無い。

 

「ミコ様、コイツの相手は私がします。危ないですので、離れていて下さい」

「一夜、ダメだ。そいつは強い。一人じゃ…」


 そう言いかけたミコだったが、見る見るうちに一夜の姿が異形の物に変わって行く。


「強がっているようですけど、もう、霊力もほとんど残っていないのでは無いですか? 」


 いつもと変わらぬ、優しい声で一夜は大陰に話しかける。

 だが、姿はすでに、いつもの美青年では無くなっていた。

 黒い羽に蠍の尾。

 何対もある脚に、巨大な爪。

 大きな目に感情は無く、無機質に黒く光る肌には、時々鱗が見える。

 昆虫や、爬虫類を混ぜたような姿に変わっていた。

 カズマとセイラの顔を見ると、完全に引いていた。

 しかし、何故かミコは、その姿の一夜の方がしっくり来るような気がしていた。

 一夜は、大陰の目の前に立つと、少し楽しそうな顔をしているような気がした。

 

 一夜と大陰の戦いは、人間の戦いとは全く違う物だった。

 大陰は、大量の剣や斧等を、まるで手足のように器用に動かし、一つ一つが生きているような動きをしていた。

 一夜の脚は、大量の武器を受け止め、受け流し、また切られてもすぐに生えてきて、また武器を受け止める。

 脚が何度も切られて再生しなければいけない分、大陰の方に分があるような気がするが、一夜は静かに話しかける。


「一つ、あなたに聞きたい事があります。平安の昔、三代目の定めの巫女を殺したのは、あなたですか? 」


 操られた子供、刃物を使ったやり方。

 確かに、似ていた。

 美琴を殺したのは…。


 フォっフォっフォっ。


 大陰は不気味に笑う。


「そうじゃった、お前、あの巫女と…」


 大陰は、ニヤリと嫌な笑い方をする。


「あの女、巫女のくせに、こんな醜い蟲ケラを愛するとは。足が動かぬ巫女は、虫のように、這いずり回って逃げておったのぉ。少しずつ追い詰めて、腹を割いてやった時の痛みに歪んだ顔…最後の最後まで、お前の名を呼んでおったのぉ…。一夜、一夜と。…最高に興奮したわぃ」


(こいつ!! )


 大陰は、頬を紅潮させながら、恍惚な顔をして語る。

 ミコは、悔しさと、怒りで頭がおかしくなりそうだった。

 カズマやセイラもあまりの残忍な言い草に、顔をしかめていた。


 ズブっ


 不意に肉を切り裂く、嫌な音がした。

 一夜の爪は、大陰の腹を容赦なく貫いていた。

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