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第十二話 二行式神

 セイラの家を後にし、ミコと一夜は家路についていた。

 ミコは、美琴に力の使い方を教えてもらって以来、考えていた事があった。

 

「二葉を憑依させる!? 」

「ああ、二葉は私が呼び出した式神だ。上手くいけば、一緒に戦い、力の相乗効果が望めると思っているんだけど」

「それはそうかも知れませんが…」


 以前一夜に言われた事だけど、もし失敗した場合、乗っ取られてしまう、もしくは、二葉を消してしまう可能性があると。

 二葉の場合、前者はまずあり得ないと想像できる。

 二葉はミコにとても感謝してくれていて、自身の魂は『ミコに預けた』とまで、言ってくれたのだ。

 そんな二葉が、ミコの体を乗っ取ろうとする事など、考えられない。

 一緒に戦える事を喜んでくれる予感さえしている。

 そして、後者なのだがーー、


「美琴さんは、式神の使い方がとても上手かったらしい。弱い式神の力を取り込んで、その力を上手く使う事が出来た。違う? 」

「それはそうですけど…」

「一夜にも、二葉にコツとか教えてやって欲しいんだ。協力して欲しいんだけど? 」

「…」


 なにが気に入らないのか、一夜は不機嫌な顔になり、そっぽを向いてしまう。

 ミコが乗っ取られはしないかと、心配をしているのだろうか。

 そう考えていると、


「ミコ様の体に、他の者が入るなんて、考えられません。考えただけで気持ちが悪い! 」

「へ!? そんな事? 」

「そんな事とは何ですか? 私は、今ミコ様に触れる事さえ出来ないのに、あまつさえあの弱小式神を取り入れようなど! 」

「美琴さんだって、そうやって能力を得ていたはずだよね? 」

「それとこれとは別です。美琴様は、私と出会う前からそうやって来たので、拒否反応は少ないのです」


(そう言われてもなぁ…)


 ミコも、一夜を憑依させて戦えば、最強だろうとは思ってはいる。

 しかし、ミコの体が一夜を受け付けないのだから仕方がない。

 

「じゃあ、一夜は、みすみす強くなれる可能性を捨てるのか? 」

「そ、それは…」

「私は絶対に勝ちたい。セイラも、カズマも、協力してくれる皆んなを守りたし、強くなりたい。もちろん、一夜の事も」


 ミコは、真剣な顔をして、一夜の目を見る。

 一夜は観念したように目を閉じる。

 そして、『わかりました』と、静かに呟くのだった。






「何度言ったら分かるんですか? ミコ様の力を借りて、自分の能力を上昇させ、そのままミコ様の手に力を流すのです」


 帰ってすぐに二葉に話したら、役に立てる事が嬉しいと、二つ返事で了承してくれたのだ。

 と言うことで、善は急げと、夕食後に神社の裏に集合していた。


 二葉はすんなりとミコの体に入る事が出来たのだが、力の取り入れと、発散は、なかなか難しいらしい。


「ミコ様、やはりこの弱小式神には難しいのでは無いですか? 」


 嬉しそうに、一夜が話しかける。


(もう少し、もう少しだけ僕にチャンスを下さい)


 ミコの頭の中に、直接二葉の声が響く。


「大丈夫だよ、二葉。最初からなんでも出来る人なんか居ないんだ。ゆっくりやろう」


 ミコは再び右掌を上に向ける。

 掌が熱くなり、二葉からの力が流れて来るのを感じる。


「力を止めずに、そのまま受け流すのです」


 一夜の言葉を聞き、二葉は更に力を高めようとする。

 しかし、その途中で急に力が消える。


「またですか…。おかしいですね、今回は結構良いところまで行ったように感じたのですが」

「私もそう思ったんだけど…なんでだろう、急に力が消滅する感じがするんだ」


 ミコは紙人形を取り出し、二葉を外に出してあげる。

 一夜は二葉に問いかける。


「二葉、お前は何をイメージしながら力を流している? 」

「はい、僕の能力は火なので、炎をイメージしながら、ミコ様の手に力を流しています」

「そのイメージで間違いは無いと思うけど…」


 一夜は少し悩んだ後に、二葉に向かい合う。


「二葉、目を瞑って、流れる水をイメージしてみなさい」


 二葉は言われた通りにする。


「そのイメージを持ったまま、手に玉を丸めるようなイメージをしてみなさい」

「んんん〜! 」


 二葉は呻きながら、眉間に皺を寄せる。

 すると、みるみる二葉の手の上に水球が作られていく。


「ウワァァ」


 バシャ!


 呻き声と共に、驚いた二葉は尻餅を付き、そのまま水を被ってしまった。


「一夜、これは…? 」

「なかなか珍しい式神みたいですね」

「どういう事ですか? 僕は水なんか使った事ないのに…」

「火をイメージしたのに、『流す』という私の言葉に、水をイメージしてしまい、打ち消していたんですね」


 一夜は、まじまじと二葉の顔を見ながら、『こんな弱小が』と、呟いている。

 二葉は、コソコソと逃げるようにミコの後ろに身を隠す。

 舌打ちをしながら二葉を睨み付ける一夜。

 

(仲良くしようよ…)


 ミコはため息を一つ付いて、一夜に問いかける。 


「で、何が珍しいんだ? 」

「式神というのは、そもそも単純な命令に従うしか出来ないものです。それよりも少し意思の強いものは、自我が目覚め、もっと強いものになると、能力を得る事が出来ます。しかし、それでも普通は、火の能力と水の能力、二行も持ち合わせることはありません。ミコ様の力を得ることで、新しい能力に目覚めたのか、最初から能力を持っていたのに、火のイメージが強すぎたのか…。とにかく、美琴様の式神にも居なかった、珍しい式神って事になりますね」

「僕が…」


 二葉は嬉しそうな顔をしながらミコの顔を見上げる。


「ミコ様、僕、役に立てる式神になれるかもしれません! 」

「うん、ありがとう、二葉」


 ミコは二葉に、微笑みかけながら頭を撫でる。


「珍しいってだけです。強い力が操り、戦えなければ意味がありませんし、自分で力を打ち消してしまっては、役に立たないでしょう」


 一夜の言葉に、泣きそうな顔をしながら固まる二葉。


「一夜、子供にまで毒づく事ないだろ? 」

「いいえ、ミコ様。そいつは子供ではありません。式神なのです。主人の役に立つ事こそ式神の役目」


 一夜は視線を二葉に向ける。


「強く、おなりなさい」


 一夜の言葉に、真剣な顔をして、うなづく二葉。


「はい、必ず! 」


 何かを決心したようなその言葉には、強い意志が宿っていた。

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