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第十話 作戦会議

「ミコ様! 」


 最初に聞こえたのは、一夜の声だった。

 ミコは声の方を振り向き、後ろ手に組む。


「ただいま! 」


 ズキズキと痛む手を隠しながら、元気よく挨拶をする。

 三人は、ミコの元気そうな姿に一安心したらしく、ほっと肩を撫で下ろす。

 

 しかし、人形がまだ数体残っていたらしく、ミコの頭上に飛び上がり、襲い来る。


「ミコ様、伏せて!! 」


 一夜の声を聞き、ミコは頭を下げる。

 その瞬間ーー、


 ザクザクザクザクっ!


 見上げると、異形とかした一夜の腕が、人形達を串刺しにしていた。


(蠍の尾!? )


 串刺しにされた人形達は、綿が飛び散り、ひび割れ、力無く干された洗濯物のようにぶら下がっている。

 ミコは、昔から人形遊びには興味など無かったのだが、小さい女の子が見たら、泣いてしまいそうである。

 しかし、腕を蠍の尾に変えるとは、便利そうな能力だ。

 素手で殴り倒すしか無い自分にとっては、とても羨ましい。


「なんとか、終わったようですね」


 一夜の一言に、ミコも立ち上がり、頷く。

 セイラは、ミコに近づいてーー、


「いっ! 」

「見せて下さい」


 セイラに乱暴に捕まれた手は、メリケンサックの痕と、火傷でひどい有様だった。

 いくら格闘技が強かろうが巫女の力があろうが、身体はだたの人間。

 殴った手の方が痛いというやつだ。

 メリケンサックは拳に食い込むし、火もグローブにしたとは言え、コンロの上に手を翳していたような状態なのである。

 平気なほうがおかしい。

 ミコ自身もこんな副作用があるとは、考えもしなかったのだ。


ミコの手を見た全員が顔をしかめる。


(気持ち悪いもの見せちゃったな)


 そう考えながら、ミコはサッと手を後ろに隠す。


「大丈夫、気を手に回せば、怪我の治りも早いから! 」

「ダメです。治療させて下さい。痕が残ったらどうするんですか? 」

「大丈夫だって、大した事ないから…」

「いいえ! 私がもっと、ちゃんとミコさんの事を見ていれば、こんな事には…」

「でも、保健室でこんな怪我診てもらえないよ? 」

「私の家、すぐ近くなので行きましょう」


 何度か断ったのだが、セイラの意志は固いらしい。

 ミコを呆気なく、結界内に囚われてしまった、自責の念もあるのだろうか。

 半ば強引にセイラの家に行く事が決まってしまった。

 しかしーー、


「何で、カズマまでついて来るんだ? 」


 一夜は帰り道がどうせ一緒になるし、先程、襲われた事もあって、先に帰れと言っても帰らないだろう。

 だけど、カズマはもう帰っても問題無いと思うのだが。


「うるせぇ。怪我してる奴の心配したら悪いのかよ」

「この手は問題無いよ。自分のミスだし」

「…」


 どうやら帰る気はないらしく、無言でついて来る。


「好きな子を大変な目に遭わせてしまった、ただの負い目ですよ。無視して行きましょう」

「なっ!! 誰が、そんな奴! 」


 セイラの言葉に、顔を赤くしながら反論するカズマ。


「そうだよ、セイラ。カズマはただ、幼馴染として心配してくれてるだけだから」

「そうですよね。()()()幼馴染ですよね」


 ミコの言葉に、()()()を強調する一夜。

 

(文章切る場所間違ってるけど…)


 カズマは少し不貞腐れた顔をしていたが、心配をしてくれる事に関しては、素直に感謝をするミコだった。

 




『おおおお〜』


 ミコとカズマは、声を揃えて驚いた。

 セイラの家はとても大きく、神社を営んでいる自身の家と比べてもとても広かった。

 美しいローズガーデンに大きな噴水、カリフォルニアの街並みを思わせる建物は、庭の景色とよく調和していた。

 

「古い家で申し訳ないのですが…」


 そう言うと、セイラは扉を開けて、ミコ達を招き入れる。

 確かに、家自体は古いのだが、よく手入れがされていて、その古さが逆に味を感じさせている。


(お嬢様だったんだなぁ…)


「セイラ〜! おかえり〜! 」

「…ただいま帰りました」


 三十代後半の、小綺麗な格好をした男性が話しかけて来た。

 そっけなく返すセイラは、その男性と目を合わせる事もなく、ミコ達を客間に案内しようとする。


「もしかして、ミコちゃんかい? 」

「あ、はい…お邪魔します」


 初対面だと思うのだが、男性はミコの事を知っているようだった。


「やっぱり! そうだったか。うんうん、セイラの話通り、可愛くて、芯の強そうなお嬢さんだ」

「お父様! やめて下さい! 」

「いやいや、父さんはミコちゃんに、いつかお礼を言おうと思っていたんだ」

「もう、いいですから! 」


 セイラは、ミコの腕を引っ張り、客間に連れて行く。


「えっと、お父さんいいの? 」

「良いんです。それよりも治療を始めましょう」


 セイラは、初老の女性にお茶の準備をするようにお願いし、救急箱を持って戻ってきた。

 セイラの治療で、手の痛みは和らぎ、包帯もきれいに巻いてくれた。


「すごい、看護師みたいだね! 」

「え、ええ…ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとう! 」


 セイラは顔を赤くしながら、目を逸らし、嬉しそうに微笑む。

 ミコは、準備してもらったお茶を頂きながら、改めて客間を見渡す。

 客間も、大きな皮のソファーとテーブル、シャンデリアと、壁際には暖炉があり、どれも価値の高そうなものだったが、決して華美ではなく、品の良い部屋だった。

 先程からカズマは、借りて来た猫のように大人しくなっている。

 緊張しているのか、お茶を飲む手もぎこちない。

 

(金持ちっているんだなぁ)


 そう思っていると、セイラが話しかけて来た。


「今日の敵なんですけど…人形を使って襲わせたって事でいいんでしょうか? 」

「うん、あいつらは拒絶の結界の中に入ってきたし、邪気は何も感じなかった。人形を操っていたって考えるのが自然だと思う」

「昨夜、神社に現れた者も、その一種でしょう。何者かが操り、最後には自爆させたようですね」

「昨日も何かあったのですね?」 

 

 一夜の言葉に、セイラは驚いたように問う。

 

「敵はすでに、この結界に侵入出来る方法を知っているって事なんだろうか?」

「間違い無いでしょう。美琴様の時も、そうだったので」


 ミコの疑問に答えるセイラ。


「じゃあ、拒絶の結界って、そこの式神避けって事か? 」


 カズマは、特に何も考えず言ったのだろうが、その言葉にミコは口を噤むしかない。

 いつもなら、嫌味で応戦する一夜だが、その事実が本当にショックだったらしく、あからさまにガックリと肩を落としている。

 この結界は、ミコの意志とは関係なく張られていて、とても便利なはずなのだが、すでに弱点を知られている以上、今の所はタダの一夜避けになっている。

 しかし、もし邪気のある、敵本体が襲って来た場合は別だ。

 その時はきっと役に立ってくれるはずなのだが。


「ミコ様に、人形が効かないと分かれば、本体が襲ってくる可能性は高いです! 」


 一夜は、結界が自分避けの物だと思いたくないのか、力強くそう言いきる。

 

「そしたら、こっちも迎え撃つ準備が必要と思うけど…。一夜、もしかして、何か大事な事を言い忘れてない? 」


 一夜の目を真剣に見る。

 いつも通りに見える一夜だが、何故か、ミコには隠し事をしているように見えた。

 すると、一夜は少し微笑み、観念したように、


「ミコ様には敵いませんね」


 そう言いなが、敵の情報について話し始めるのだった。

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