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城山さんのおっぱい2

教室を飛び出した俺は他の生徒をかき分けながら夕日の尻尾を追いかける。

 少し遅れて千笑も俺の後ろにやってきた。


「すまんな千笑、授業サボらせてしまって」


「全然気にしてないよ。サボりって言っても後五分くらいだったしね。あと数学は苦手だから」


 握り拳を作った腕を胸の前に出すだけで、制服の上からなのに寄せ合ったお胸が盛り上がるのは何故なのだろうか。

 恐るべき城山`sおっぱいs。

 にしてもわざわざ授業を抜け出してまで妹に近づこうとするなんて、なんて可愛げのある子犬なんでしょうね会長さん。忠誠心のバロメーターが吹っ飛んでるわ。


「ところで優理ちん。私は何要因かな?」


「疲れた俺を癒す慰安婦ってところかな」


「よし分かった。いつでも脱ぐよ!」


 目をぱっちりと開き、ついでに制服の第一ボタンをプチンと外して胸元もお開きする千笑。

 こうした冗談が許されるのは俺と千笑が幼馴染みだからなのだろう。他の女子にやろうものなら本気にされてしまうので死んでも言えない。とはいえ周りの一年男子が釘つけになっているのでボタンは閉じて貰おう。


「よろしく頼もう。と言いたいところだが、俺の社会の窓が開く前に大勢の小窓が開きそうだから今は閉店で」


「あいよー。で、私はどうしたらいいの優理ちん?」


「そうだな、この一年の集団を突破したら俺が夕日を妹から遠ざける。千笑は妹を次の授業が始まるまで護ってくれ。夕日以外の刺客が現れるかもしれないからな」


「なんだか大変だね優理ちん、というより七峰家? ま、妹ちゃんは任せて!」


 あぁ全くだよ。会長は目的を達成させるのに手段を問わない。今回はまだ直球ストレートで勝負してきてくれたから良かったものの、いつ二百キロオーバーの球を投げる機械を導入してくるか分からないからな。


 それにしてもなんだかんだで心配してくれる千笑はやはり良い幼馴染みだ。俺にサイドストーリーがあったらなら必ずお前を抱いて、五人は子供を産ませてやるからな。

 そんなことを考えながら千笑を見ていると、彼女は何を感じたのか頬を紅潮させ胸を両腕で隠し、


「優理ちん・・・・・・マタハラだよ?」


 艶めかしく唇をぷるっと震わせてそう呟いた。

 口に出して無くても、おそらく目だけで伝わったのだろう。流石俺の幼馴染みだ。


「す、すまん。想像妊娠させてしまったようだ。責任はたんと取らせて貰おう。だから六人目を・・・・・・」


 真剣な目つきを千笑投げる。すると恍惚な表情を造っていた千笑も耐えきれなくなったようで思いっきり口から噴き出して笑い、


「ぷっ、バーカ! ほら見えたよ目標が!」


 冗談を重ねているうちに見えてきた妹と夕日を指さして、開いた方の手で俺の方を力一杯ひっぱたいた。

 バチンといい音が廊下に響き、俺の身体は前のめりになる。そしてその体勢を保ち、勢いよく夕日の腰辺りに腕を構え・・・・・・。


「きゃっ! な、何!? 身体か急に浮いて・・・・・・って七峰!?」


「捕まえましたよ夕日先輩。このまま保健室にトライしに行きましょうか」


 驚いて暴れるちっちゃな身体を両腕でがっしりとラグビーボールのように押さえ込み持ち上げ、その勢いを殺すことなく颯爽と階段を降りていく。

 舞い上がるスカート達の中身を見れないのは男として残念だったが、代わりに横目でちらっと妹を見れたのは兄として自慢できる。

 妹は一瞬何が起こったのか分からないといった表情を浮かべながらスカートの裾を抑えていたが、直後表情を曇らせていた。

きっとその巻き起こった風と倒れている同級生の女子達の原因が憎き兄であることを認識したのだろう。


「兄さん・・・・・・。また知らない女の人と。お姫様抱っこなんて・・・・・・」


 風のように女子生徒を担いで消えていった兄に、この一人言は届いていなかった。


「そうだよね、そうだよね、うんうん。幼馴染みの私ですら手の届かない高貴な存在になってしまったのだから、より身近に居た結衣にゃんにはもっと遠く感じちゃうよね」


 代わりにその言葉を聞いてしまった千笑が物憂げな表情を浮かべて結衣に話しかけた。


「そそそそそそそんなんじゃ、べべべちゅに、おにぃが遠いとか近いとかっ・・・・・・って千笑さんじゃないですか!?」


 妹は聞かれたくなかった言葉を聞かれてしまったと顔にかいているかのように慌てて舌を噛む。そしてその人が優理の幼馴染みだったことに安心と懐かしさを感じていた。


「おひさー、ゆいにゃんっ。お兄ちゃんッ子なのは相変わらずだねぇ~」


「お久しぶりですっ・・・・・・て違います! お、お兄ちゃんは・・・・・・・・・・・・変わってしまったので」


 今度はシュンと萎れて肩を落とした結衣。

 その言葉を聞いた千笑は今は見えない優理の背中を追うように廊下の先、遠くを見つめて、


「そうだね。優理ちんは・・・・・・・・・・・・変わったよね」


 そう声を零した。


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