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会長はレズビアン?

「会長はレズなんかじゃ無いって何度言ったら分かるんだヤリチン野郎!」

 時を同じくして生徒会室から足を踏む出した瞬間に、茶髪ツインテールのチワワが俺に勢いよく迫ってきた。


「夕日・・・・・・、それは夕日先輩の誤解ですよ。それと足踏んでます」

「誤解なんかでは無い! 会長は可愛いこそ正義を貫いているだけだ! あと足を踏んでいるのはわざとだ」

 わざとかい! 


 もうなんなんだ本当にこの三年生は。

 会長の事になるとすぐムキになってこうやって迫ってくる。

 さっきも、というか今も俺のことをヤリチンだの糞野郎だのと罵ってくるし、腕噛むし、足踏むし。


 猟犬チワワなんて可愛い仇名つけたのはどこのどいつだよ。

 俺ならそうだな・・・・・・、ツインテヒトラーと命名するだろう。

 ん? 別にドイツに引っ張られた訳じゃ無いぞ。この押しつけがましい正義感がそれっぽいと思っただけだ。


「会長の同性愛は普通の同性愛とは比べものにならない領域に達しているだろ」

「普通の同性愛とはどういうことを指すのよ。一般的な男女のカップルがするようなことをするだけで特別なモノに成り代わるわけ?」

「その一般的な男女の行為というのが検討つかないのだが、分かりやすく教えてくれますか先輩?」

「こういうときだけ先輩扱いしてム・カ・つ・く! ヤリチンのアンタなら私よりも億万倍詳しいでしょうよ!」

「まあ先輩の貧弱な身体つきを見る限り俺の方が詳しいのは火を見るより明らかだな」

「はあぁ!? これでも人気アイ・・・・・、コホン、一部の層では神レベルに人気なのよ」

「すまないが俺はロリと妹には興味がないもんでな、年上のお姉さんにしか目が無いんだ」

「それってつまり会長の事かしら? なんだ、本当は妹を近づけさせたくないんじゃなくて妹に会長を取られるのが怖いだけなんだ」

「そんなんじゃ・・・・・・って、なんで妹の件を夕日が知っているんだよ!」


 あ、しまった、と口元に手を当てて瞳を泳がせる夕日。

 俺がさらに問い詰めようとしたところで夜風が、

「お二人とも少し頭を冷やしてください」

「つめたっ!」

「ひゃっ冷たい!」

 頭に血が上っていた二人の頭上から冷水が被せられた。


 夜風はイスの上に靴を脱いで立ち、どこから持ってきたのか分からないミニサイズのバケツを二つ手にぶら下げていた。

 俺と夕日は冷水を浴びて一先ず冷静になる。

「廊下を水で濡らすのは学校規則に反しますよ」


「「誰のせいだ!!」」


 二人の鋭いツッコミに、テヘ、と首を傾けてとぼける夜風であった。

 この後ちゃんと三人で水浸しになった廊下を拭きました。


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