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プロローグ

どうも蒼骨渉です。


新作をなんとなく考えて書いてみました。

実は同時にもう一作も新作で試し書きしています。

皆さんに読んでいただいて、評価の高かった方をじっくり連載していきたいと思ってますので、コメントや評価もをお願いいたします。


並びに、絶賛連載中の冒険ファンタジー『aラストティア』もよろしくお願いします。

シャカシャカシャカシャカ

 よく泡立てたシャンプーを髪にしっかりと馴染ませるようにして研ぐ音がする。

「あ、もうちょい下の方も、そうそうその辺っておい! 耳の穴をいじくるな!」

 俺の指示に従って動いていた太い指がマドレーヌのように小さく可愛らしい耳の穴をいじくりまわす。

「女の子の髪はちゃんとケアしないとキューティクルを保てないから怠らないようにね、お兄ちゃん」

 腰まで伸びた長く黒い髪を手のひらで挟むようにして、肩から腰まで撫で洗われる。

 湯船に張った湯から湯気が立ちこめるだけでなく、狭い一室に二人の人間がいることで目の前にある鏡もモザイクのように曇る。

「そろそろシャワーで流すよ」

 コックを上げて、シャワーヘッドの多数の細かい穴から勢いよくお湯が飛び出す。

 その水泡が鏡に当たるとさっきまでかかっていたモザイクが晴れて、二つのお椀型の膨らみと華奢な身体が鮮明に映し出された。

 その映し出された未完成でこれからの成長に期待大の小悪魔ボディを、俺は一つも表情変えることなく目視する。

「そんなにまじまじと鏡に映った妹の身体を見ちゃって欲情しちゃったのかな? 浴場で欲情しちゃったのかな?」

 髪についたシャンプーを洗い流しながらクスクスと笑う後ろの人。

「お湯の中に一つだけ冷水が混じっていたぞ。冷たすぎてその一滴だけで凍え死んじまうかと思った」

「あら、妹の身体に対しては何も感想を述べてくれないなんて随分と冷たいですね。このまま凍え死んでしまっては困りますので私が温めてあげます」

 後ろの人は冗談っぽく微笑んでからシャワーヘッドを壁に架けると、俺の体を包み込むように後ろから抱きしめて顔を寄せてくる。

 背中に厚い筋肉質の胸板が感じられる。

「ど、どうですか・・・・・・。温かいですか。お、お兄ちゃんが後ろから抱きしめているのは可愛い妹ですよ」

 鏡越しに見える真横の顔は恥ずかしそうに赤らめて口元まで肩に隠している。

「自分でやっておいて自分で恥ずかしがるな妹よ。お兄ちゃんが悪かった、許してくれ。決してお前の身体に感心が無いのではなく、見慣れてしまっただけだ」

「見慣れたとは失礼ですよ! 私なんて未だに慣れなくて、特に下の方が・・・・・・」

 今度は完全に顔を隠して恥ずかしがる後ろの人。

「おい、妹よ。お兄ちゃんも見慣れたとは言ったが、慣れたとは一言も言ってないぞ」

 ついでに言っておくが俺がそんなに恥じらう顔をしたことは一度も無い。ましてや自分の顔だ、たとえ恥ずかしいと思ってたとしてもその表情を自分で確認することなど人生に一度たりともないはずなのだ。

「そ、そうなんだ。良かった・・・・・・。」

 何が良かったなのかさっぱり分からないが妹は安堵の息を漏らした。

「それはそうと妹よ。一体どうしたんだ? 急に一緒にお風呂に入ろうだなんて」

「ふぇ!? あ、えっと、あれだよ、昔みたいに一緒に背中流し合いっこしたいなって」

「まぁ確かに小さい頃は今と同じ感じで鏡の前に座って背中を流し合っていたが流石にお互いに高校生にもなって、しかもこのタイミングでってことは何か他の理由があるのだろ?」

「流石鋭いねお兄ちゃんは。あのね、実は・・・・・・」

 妹は俺に絡めていた腕を離すと今度は肩に手を置き「こっち向いて」と耳元で囁く。

俺は言われたとおりに椅子に座ったまま身体を半回転させた。

目の前にはいつもの見慣れた身体がある。

「お、お兄ちゃんは身体洗うときどうしてるのかなって思って」

「お兄ちゃんは普通にいつも通り洗っているぞ」

「そ、そうなんだ・・・・・・」

「どうした妹よ。歯切れが悪いぞ。言いたいことがあるならはっきり言ったらどうだ」

「う、うん。あのねお兄ちゃんはお兄ちゃんのアレが無くなってソレがついたくらいで、もしかしたら一度や二度経験があるかも知れないから平気なのかも知れないけど、私にはソレが無くなってアレがついたわけで、その・・・・・・。まだ慣れないというか、自分で洗うのが恥ずかしいんだよね」

 もじもじしながら妹は股の辺りを両手で隠し、目線を泳がせている。

「なんだそんなことか。気にしなくて良いぞ。お兄ちゃんのアレは丈夫だから自由にやってくれ。だが妹よ、一つ誤解がある。お兄ちゃんはまだ一度も経験をしたことはないぞ」

「えっ、そうなんだ。てっきりお兄ちゃんなら噂の百人切りとか八岐大蛇説とかを平気でやってるのかと思ってた」

「おい妹よお兄ちゃんをなんだと思ってるんだ。そこら辺の穴があったら入れたいだけの猿と一緒にするでない」

「冗談だよお兄ちゃんっ」

「お風呂場で兄妹がする冗談話ではないと思うがな」

「そんなことよりお兄ちゃん、やっぱり恥ずかしいからお兄ちゃんに洗って欲しいな」

「仕方ないなちょっと指南してやろう。ほら股を開け」

「一応外面はお兄ちゃんでも中身は妹なんだからその言い方は無いと思うよ」

「教えを請う者は黙って言うことを聞くものだ」

「や、やさしくお願いします」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 誰が想像つくだろうか。

 高校生である俺と妹が狭いお風呂場の中で、アレやソレなどの文言口にしながら互いの頭・体を洗い流し合う光景が。

 誰が想像つくだろうか。

 その風呂場に居る美男美女の兄妹の中身だけが入れ替わっているということが。

 誰も想像などできやしない。

 しかし今、現実にそれが起きている。

 この状況を一片の狂いも無く正確に、論理的に、科学的に証明することが可能だというなら是非教えて欲しい。

 この状況は一体何なんだ!

 確かに俺も今は大分慣れてきたが、いつものところに無いものがあって。いつものところに有るものが無いのは違和感でしかない!

 それに思春期真っ盛りな男女なのだから互いの身体について興味が湯水のように湧いてくるのは当然のことだし分かる。

 分かるがしかし! 血の繋がった実の妹とアレやソレの話をし、挙句にアレを洗う妹姿の俺とアレを洗われる俺姿の妹。

 何故俺は恍惚な表情を浮かべる俺自身の姿を見なければいけないのか!

 何故妹は俺の体でそんなに恍惚な表情と甘い吐息を漏らすことができているのか!

 なんだこの状況は! 嬉しい? 嬉しいわけ無いだろ!

 どこぞやの妹物のエロゲーじゃあるまいしこんな展開ごく普通の男子高校生は望んじゃいない!

 加えて俺は妹萌えとかいう分野には一切共感ができない。

 現実に妹がいる人間なら分かるはずだが妹が恋愛対象になるなんてことはあり得ない!

 決して俺の妹が可愛くないワケでは無い、清廉潔白という言葉は妹のためにあると言っても過言でないほど純粋で汚れを知らない美少女だ。

 腰まである黒髪ロングストレートヘアに前髪は眉にかぶる程度でぱっつん。透き通るような真っ白な肌はマシュマロのように柔らかい。ぱっちりと開いた大きな瞳は見る人を数秒石化させる効果が付与されている。高い鼻のしたにある唇は小さくプリッとしている。お椀型の程よい膨らみがあるおっぱいにそこから続く引き締まったくびれ。思わず手を伸ばしたくなるような腰とお尻に、細長いけどしっかりと体重を支えられる筋肉も備えた脚。

 可愛くないわけ無いのではなく、可愛いそのものである。

 しかしそんな妹に恋愛感情が湧くことは一切無い。

 家族は家族、妹は妹に変わりは無いのである。

 一応大事な事だからキチンと言うが、俺はロリコンでもシスコンでもない。

 ちゃんと同級生の女の子が好きだしどちらかと言えば年上のお姉さんが好きだ!

 はぁ・・・・・・ハァ・・・・・・はあぁぁぁぁぁぁ!

「どうしてこんなことになってしまったんだ!!」

 パンツ一枚姿の清廉潔白な妹(中身は兄)は今日も頭を抱えて叫ぶのであった。


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