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5.HR

『』←の部分の言葉は主人公の頭の中での出来事です

分かりにくかったらすみません


入学式が終わり俺達はクラスの教室まで誘導され、一旦HR(ホームルーム)が始まるまで自由時間となった。

周には見知ったクラスメイト達がいて、それに懐かしさを感じた俺は話しかけようかと思ったが、それをしないで、自分の席に座りおとなしくすることにした。なぜならその行為は危険だと感じたからだ。


(まだ昔のことを完璧に覚えてる訳じゃないし、うっかり知り得ない情報を話してしまったら入学式の奏みたいな事になりかねない…このまま一人孤独にHRまで待つことにするか)



そう思っていたのだが、俺と同じように前の席に座っていたマッシュヘアの人物が俺に話しかけてきた。


「もしかして君、僕の後ろの席?僕は(やなぎ)拓真(たくま)よろしく!」


スッ

 

自己紹介してきた拓真は手を俺の正面に出してきた。これは握手をしてほしいサインだろうと容易に推測できた。

初対面でこの挨拶ができる人はなんてフレンドリーな人だろうと思ってしまう。()()()()()()()()()()()()()()()()()


なぜそんなことを思ったのか、それは柳拓真という人間が握手をしてくるような気さくな人間ではないことを知っていたから。

俺の記憶では今まで拓真に良い印象を持ったことはなかった。俺が何かやらかした際にみんなに聞こえるよう大声で大げさに伝えたり、根も葉もない悪意のあるうわさ話をするようなやつだったから。

一度だけ俺は拓真に我慢の限界が来て、本気で怒ったことがあった。その時俺は一つの質問をした。そして拓真が答えたあの言葉を聞いた時、こいつとは一生分かり合えないと思った。


『人の嫌がる事をするのがそんなにたのしいのか!?』

『うんたのしい、人の不幸は蜜の味だよ』


あっけらかんとした表情であのおぞましい言葉を言い放った拓真を見て、俺は初めて底知れない悪意に恐怖した。

だから俺はそんなやつが握手を求めることに何か裏があるんじゃないかと疑っていた。しかしだからといって相手を無視する選択はあり得なかった。


(次から接触を避けるようにしたいが今回ばかりはしょうがない…無難に対応しよう)


いかにあの拓真といえど初対面の相手に変なことはしないだろうと楽観的に考えることにし、俺も自己紹介し、相手と握手をしようとした。


「俺は山崎大地よろしく」


スカッ


しかし差し出した俺の手は空を切った。なぜなら握手する瞬間、和真の手は放物線を描きながら手を遠ざけてしまったからだ。


「ナイキー」

(…イラッ)

「ねえねえ怒った?」

「…」


(いや落ち着け俺、反応したら相手の思う壺だ)


「ううん、怒ってないよ」

「ふーん、そう」


俺は苛立っている態度をおくびにも出さずに、こんな事なんともないぞというふうに笑顔で対応した。

この対応には意味があり、今の相手の行為は俺の事を試していて、俺という人間を格付けしようとしていたのだ。そのため自分の評価付けを上手く躱すための弱味を見せない立ち回りが必要だった。

相手の何気ない行為には意図があることを俺は今までの人生の中で学んだ。もしこの行為の意図が察せられずに


「別に怒ってないし…」


とすねた顔をしながら言うものなら


「マジで怒んないでよー、君、冗談が通じない人なんだね」


なんて言われてしまうだろう。


恐ろしいのはここからで、そんな対応をし続けていると冗談が通じない奴というレッテルが張られそれがクラス内へ蔓延する。結果クラス内での自分の立ち位置がいつの間にか定められてしまうのだ。

相手の反応に逐一反応していたらいじられキャラとして定着していたみたいな事と同じ原理である。


「それ面白いから俺も今度やっているよ」

「えー僕のネタパクんないでよー」


相手に主導権をとらされない様に会話をしていると、教室内全部に響き渡る大きな声が聞こえた。


「えっイレーネちゃんってB組だったの?!」


その言葉を聞いたクラスにいる人達はみなイレーネのいる場所を探した。


「えっあのペリトット社の令嬢って同じクラスなの?どこどこ?あっ、じゃあザッキーこれからよろしくねー」 


和真もそう言い残してイレーネを探しに行ってしまった。


「ザッキーって…もうあだ名呼びかよ」


やはりあいつには気をつけようと心に決めた。


先ほどの声が引き金にわらわらとイレーネの周りに人が集まり始めた。イレーネはみんなから質問攻めされていた。


「好きな食べ物は?」

「日本に来たの初めて?」

「なんか英語しゃべってみてー」

「なにもってるのーみせてー」


(うわー人気者だなー)


しかしイレーネがそれらの質問に対して答えてる様子はなかった。


いつの間にか大分時間がたっていたらしく休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。


 キーンコーンカーンコーン

 ガラガラ

「はいはーい、みんな席についてー、HRを始めますよー」


そのチャイムと共に先生が入ってきた事でイレーネの周りにいた人は席へ戻っていった。


「先生きたー」

「イレーネちゃんまた後でねー」


(あれ?たしか一年の担任って…)


「1ーBの担任を勤めさせていただく佐藤(さとう)理恵(りえ)です。英語を担当しています。これからよろしくお願いします」


(担任って佐藤先生じゃん!すっかり忘れてた…)


この人は生徒によって態度の違いがあり、自分が気に入った生徒には甘く、気に入らない生徒には厳しかったため好きではなかった。

昔の俺はその中でもダントツに気に入られてなかったので苦労したのを覚えている。

佐藤先生は外国では下の名前を呼ぶのが一般的だからという理由で生徒をみんな名前で呼んでいた。


『大地~またあなたがやったの~?』


あの呆れた声で名前を呼ばれるのが本当に嫌いだった。


(よく考えるとこのクラス危険人物多すぎないか?)


まだこれが中学生活初めてのHRだというのに、俺はこれから良い中学ライフを送ることができるのかと不安になってしまった。


(いや、俺は今度こそ甘酸っぱい青春送るんだ!弱気になるな俺!)


自分自身を鼓舞していると、いつの間にか佐藤先生の自己紹介が終わっていてプリントを配り始めた。その中のひとつに自己紹介カードというものがあった。


(あれ?このカード確か…)


俺はこの自己紹介カードを見て、次にすることを思い出した。


「皆さんには自己紹介をしてもらいます」


「えー自己紹介するのー」

「恥ずかしいなー」


みんなは一人ずつ立ち自己紹介するスタンダードなものと思っていた。しかしこれがただの自己紹介ではないことを俺は知っていた。先生は続けてこういった。


「しかしただの自己紹介ではつまらないと思ったので貴方達には他己紹介というのをしてもらいます」

「「他己紹介?」」

 

ついに来てしまった最初の試練が…

登場人物が多すぎるため人物紹介をやった方がいいですかね?

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