表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

3.集合

投稿した後でも気に入らないところは修正していきます。

物語に支障はありません。

  俺達が学校につくと数人の先生と上級生が新入生に指示を出していた。


「もう集合時間は過ぎていまーす新入生の方は早めに受付を済ませてくださーい!」


「やばい、大地!はやく行こーぜ」

「わかってるよ!」


 足早に俺達が受付前までいった時、近くの上級生らしき人が俺達に声をかけてきた。


「遅刻よ?貴方たち」


 俺達に話しかけてきたのはとても綺麗な黒髪をした女生徒だった。腕に生徒会長と書かれた腕章があるため、この人が生徒会長であることがわかった。


(話してきたのは生徒会長か…逆行前は遠くからしか見たことなかったが、まさか入学式早々に目をつけられるなんてな)


「遅刻してすみませんでした」


 俺は悪目立ちしたくないためすぐに謝った。しかしその打算的な謝罪を、生徒会長は聞き分けのあるいい子だと感心してくれたのか、うんうん頷き上機嫌だった。


「すぐ謝れるのは偉いことですよ♪」


 そういいながら生徒会長は俺の頭に手を乗せてよしよししてきた。


「えっ!」


 俺は生徒会長の突然の行動に驚き、流石に恥ずかしすぎだと思い手を振り払ってしまった。


(中身は成人なのに女子中学生によしよしされるってやばくないか?)


  しかし生徒会長は手を振り払った事など意に介した様子もなく隣の彼はどうかな?と話題を戻した。


「ごっごめんなさい」

「よろしい!じゃあ次からは遅れないようにね」


 そういいながら田中の頭をポンポンした後、生徒会長は元の場所に戻っていった。しかし田中はどうしてか生徒会長を呼び止めた。


「まっ待ってください」

「ん?どうしたの?」


 生徒会長のは振り返り答えた。振り返るのを確認した田中は深呼吸をして鬼気迫る表情で言った。


「すぅーはぁーっ、あの!名前を…お名前を教えてください!」


 なぜ田中がこんなに真剣なのか、俺は思い当たる節があった。田中の初恋の人が生徒会長だったことを思い出したのだ。田中の初恋に落ちた瞬間を間近で見た俺は少しドキドキしていた。


(名前を聞くとは、田中頑張ったな)


 俺は保護者の気分でこの様子を眺めていた。そしてこの状況でいきなり名前を聞かれた生徒会長は不思議そうな顔をしていた。

逆行前の記憶がある俺は田中の心情を汲み取る事が出来たが、田中の心情がわからない生徒会長が不思議に思うのは当然だろう。


「私の名前?」


 自分を指差す生徒会長にブンブンと首を縦に振る田中。

 その必死な様子にクスッと笑いながら生徒会長は答えた。


「私の名前は花宮(はなみや)華蓮(かれん)入学式でも在校生代表として演説すると思うけど、ここ生徒会長をやっています。二人がいい中学生活を送れるようにサポートしていくからこれからよろしくね」


「花宮 華蓮さん…ありがとうございます!」

「用はそれだけ?じゃあ私はもう行くね」


 そういって元の場所に戻っていく生徒会長を田中は呆然と眺めていた。


「なあ大地、生徒会長…花宮さんすごかったな」

「…ああそうだな」


 生徒会長は3年でそんなに関わらないと思うので、田中の初恋は成就することはないんだろうと思ってしまった。


(田中、お気の毒に…)


 まだ少し上の空の田中を引っ張って俺達は受付をすました。

 受付では自分のクラスはどこなのか教えてもらい、そのあと新入生の証として胸にコサージュをつけてもらった。

 クラスはAからDまであり、俺はB組で田中はD組だった。


(逆行前と変化がない事はわかってはいたけど…)


 俺は逆行前と変わらないこの状況が、本当に逆行してしまった事の裏付けであるような気がして少し怖くなってしまった。しかしその方が自分の野望のためには好都合であると自分を鼓舞することでこの事を深く考えないようにした。



受付を終えた俺と田中は校内の誘導に従って他の新入生が集合しているところに辿り着いた。

 そこではクラスごとに分かれていたらしく俺達は自分の集合場所を探した。クラスの集合場所ごとにプラカードがついていたので、俺も田中もどこに集合するのかすぐにわかった。

 俺と田中はここで別れることにした。


「じゃあD組はこっちだから行くわ、またな」

「ああ じゃあな」


軽く別れの挨拶をして俺は集合場所に行こうとした。しかし俺は多くの若々しい中学生を見て、精神は大人で体が子供であるでたらめな状態な俺が混じっていい所なのかと思ってしまい、そこへ行くのを躊躇ってしまった。


(いや、そんなこと考えてもしょうがないのは分かってるだろ)


 やり直すって決めたんだと、決意を固めている時、俺の躊躇った様子を見ていたのか別れたはずの田中が俺の胸に拳を当てこんな言葉をくれた。


「大地、俺達は離れていても一蓮托生だからな」


 俺は田中が励ましていることがわかった、俺がどんな理由で躊躇っていたのかは分かってないだろうが単純にその行為が暖かかった。そんな田中に俺は、一蓮托生は重すぎるわ!、と軽く突っ込みをいれると田中は笑いながらD組の方へ戻っていった。

俺は軽口を叩いたことでさっきよりも心が軽くなった気がした。


(気が楽になった…ありがとう、田中)


 俺は田中に感謝してB組の場所へと歩きだした。

































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ